認知症の種類&認知症のセルフチェックと初期症状について解説します。病気の原因や症状、対策方法まで、健康づくりに役立つさまざまな情報など。

気になる病気や症状がある場合は調べてみましょう。

【認知症の種類&認知症のセルフチェックと初期症状】

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加齢とともに誰でも認知機能は衰えますが、自分一人では生活ができなくなるほど認知機能が衰えてしまっては本人も周りも大変です。認知症にはアルツハイマー型だけでなくいくつもの種類があり、適切な治療を行うことで進行を遅くすることができることや、治療効果が感じられることをまずは知りましょう。また本人が「認知症」を疑い自ら病院に行きたいと言い出すことはあまりないため、家族がサポートして早期発見することが大切です。


「認知症=アルツハイマー」と思われがちですが、実は認知症にはいくつかの種類があり、原因や症状が異なります。ただし認知症の半数が「アルツハイマー型」であるためアルツハイマー型認知症がよく知られているのです。認知症の種類は全部で数十あるとも言われていますが、中でも、“3大認知症”として広く知られているのは「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」です。

アルツハイマー型認知症とは?

認知症患者のうち約50%以上を占めるのがアルツハイマー型認知症です。原因は現在でも不明で、アルツハイマー型認知症の原因となる根本疾患に関しては、治療する方法は今のところまだ見つかっていません。年齢は40~90歳の間に発症することが多く、65歳を境にして65歳未満は「アルツハイマー病(若年型や初老期発症型)」、65歳以上は「アルツハイマー型老年期認知症(老年期発症型)」と分けられます。アルツハイマー型認知症の症状としては以下のような特徴があります。

・ 最初は症状の進行がゆっくりとしていてわかりづらい
・症状が軽度の時期からでも診断が可能
・ 「日時がわからなくなる」といった軽度の記憶障害から始まる
・ 重度になると身体機能の低下(運動麻痺や歩行障害、失禁などの症状)も起こる

アルツハイマー型認知症は発症までには5〜6年かかりますが途中から進行のスピードが早くなり、寝たきりになるまでには10年もかからないことがあります。そのため早めに進行を遅らせることが大切です。

脳血管性認知症とは?

認知症患者のうち約20%を占めるのが脳血管性認知症です。脳血管性認知症は、脳の血管が詰まったり、破れたりなどの、脳血管の異常が原因で発症します。脳血管の異常は高血圧、動脈硬化症、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が関係していて、根本原因は脳梗塞の多発によるものが約70%を占めます。
認知症患者の特徴として、脳の血管のどこの部分が障害されたかによって症状が異なるということがあります。そのため初期では「記憶力が低下しているのに、時間や場所はきちんとわかる」などといった“まだら認知症”の症状が現れることがあります。脳血管性認知症の症状には以下のような特徴があります。

・急性の発症で、症状は階段状に悪化する
・意欲の低下やめまい
・麻痺やしびれ
・知覚障害
・パーキンソン病などの神経症状
・言語障害など

レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症は認知症患者のうち約20%を占めます。脳内の脳幹や大脳皮質に、レビー小体という異常な細胞内蓄積が起きることで発症するとされ、その原因は今のところ十分にわかっていません。老年期に多く発症します。
物忘れの症状もあるため一見するとアルツハイマー型認知症と間違いやすく、またパーキンソン病と似た症状も出ることがあり、かつてはパーキンソン病の特徴的なものだとみなされていました。しかし最近はパーキンソン病の症状がない患者にも見られることがわかり、別の疾病とされています。
レビー小体型認知症は、早い段階で診断を確定することができれば、治療効果が期待できる病気です。男性は女性よりも2倍も発症率が高いこともわかっています。レビー小体型認知症の症状として以下のような特徴があります。

・物忘れ
・虫や動物が動き回るなどといった幻視
・日や時間帯によって、はっきりとしている状態とぼーっとしている状態が入れ替わり起こる
・パーキンソン病に似た症状(歩きにくい、転びやすい、動きが遅いなど)

認知症のセルフチェックをしてみましょう

認知症は早期発見・早期治療がとても重要な病気です。日常生活で「もしかしたら認知症かも……」と不安を感じたことがある方は、下のチェックリストを行ってみましょう。五個以上チェックがつくようであれば、医療機関の受診をしてみると安心です。認知症は早期に気付いて適切な治療を開始できれば、その後の症状の進行を遅らすことができる可能性があります。
認知症のチェックリスト
□日付がなかなか思い出せない
□いつも使っている通い慣れた道なのに突然迷ったり、わからなくなったりすることがある
□車やリモコンなど使い慣れている道具の使い方が突然わからなくなったりする
□引き算や足し算などの簡単な計算に手間取ったり、わからなくなったりする
□親しい人との付き合いが減り、外出するのがなぜか面倒になる
□料理や洗濯など、段取りが必要なことがなぜかできなくなる
□鍋を焦がしたり、ガスの火を消し忘れたりする「うっかり」が増えた
□知っているはずの名前や、言葉がうまく出てこない
□イライラや不安が強くなるなど、情緒が不安定
□買ったことを忘れて同じ物をたびたび買ってしまう
□同じことを何度も話したり尋ねたりしているのに、自覚がない
□お風呂に入るのを嫌がるようになった
□置き忘れやしまい忘れが目立つ
□待ち合わせの時間や場所がよくわからなくなる
□趣味や楽しみに対する関心が急になくなった

上記チェックテストは編集部の調査により独自で作成した簡単なチェックです。「認知症予防協会(http://test.ninchishouyobou-k.com)」からもより正確なチェックテストが発表されていて、インターネットを使用して簡単にチェックすることができます。また最近の医療機関では「もの忘れ外来」や「認知症外来」を置いているところも増えています。本人が自らこのようなチェックテストを行ったり、外来に行こうと考えることはなかなかありませんので、周りにいる家族の方が一緒にサポートし、早期発見に努める必要があります。

認知症の初期症状~こんな「物忘れ」には注意して

「物忘れ」は認知症の初期症状ですが、通常でも人は物忘れをするので、認知症の症状として見落としがちです。たんなる物忘れと認知症による物忘れの大きな違いは、物事の内容を思い出せないか、物事そのものを思い出せないか、です。例えば単なる物忘れでは「何を食べたか」忘れてしまいますが、認知症では「食べたかどうか」まで忘れてしまうのです。他にも、物忘れでは知人の名前がとっさに出てこないことがありますが、認知症では知人の顔を見ても知人であるかもわからなくなります。
思い当たることがあれば、「自分は忘れっぽいから」では済まさずに認知症の初期症状を疑ってみたほうがよいかもしれません。

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