肝脂肪の基礎知識、原因と予防法について解説します。病気の原因や症状、対策方法まで、健康づくりに役立つさまざまな情報など。

気になる病気や症状がある場合は調べてみましょう。

【肝脂肪の基礎知識、原因と予防法】

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なんと成人している日本人の20%に見られるとされる「肝脂肪」。その名の通り、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態で、これが生活習慣病のリスクを高めたり、肝硬変や肝臓がんに移行するケースもあることがわかっています。アルコールだけでなく食べ過ぎによって引き起こされるケースも多く、また偏ったダイエットによる「低栄養」も肝脂肪の原因となることがわかっています。

脂肪肝ってどんな状態?

脂肪肝とは、その名の通り肝臓に中性脂肪が溜まる病気です。肝臓では脂肪酸から中性脂肪をつくり、肝細胞の中に貯蔵し、エネルギーのもととして必要とされる分を放出しています。しかし使うエネルギーよりもつくられた中性脂肪のほうが多いと、肝細胞にどんどん溜まっていきます。
生活習慣の欧米化にともなう肥満の増加により、脂肪肝は今や日本人の成人の約20%を占めるようになりました。
以前、脂肪肝は良性の病気で進行も遅いものとされ軽く見られていました。しかし最近になり脂肪肝が肝硬変や肝臓がんへと進行する例が報告され、あなどれない病気として問題視されるようなってきました。また、さまざまな生活習慣病のリスクも高めることがわかってきました。


脂肪肝の原因は?

脂肪肝は、お酒の飲み過ぎが原因の「アルコール性脂肪肝」と、食べ過ぎによる肥満、糖尿病、薬などが原因の「非アルコール性脂肪肝」に大きく分けられます。

・「アルコール性脂肪肝」
お酒の飲み過ぎが原因の脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」といいます。大量な飲酒については個人差がありますが、毎日約3合以上の日本酒(ビールで大ビン3本以上、ウイスキ一ならダブル3~4杯以上)程度が目安になります。

・「非アルコール性脂肪肝」
実は日本人の脂肪肝の原因で多いのは、飲み過ぎではなく、食べ過ぎによるものです。このアルコールを原因としない脂肪肝を「非アルコール性脂肪肝」と言います。
肥満や糖尿病の人は、インスリンの働きがにぶくなり、肝臓に脂肪がたまりやすい状態になります。また、いわゆる肥満体型ではない人の“隠れ脂肪肝”も増えてきています。食べ過ぎだけではなく、無理なダイエットも体がエネルギーをつくるために体内の脂肪を肝臓に集めるため、「低栄養性脂肪肝」と呼ばれる脂肪肝になることがあるのです。

脂肪肝の症状はあるの?

脂肪肝は痛みなどの自覚症状はありませんが、血流が悪くなるために、疲れやすくだるい、肩がこる、体が冷える、頭がボーッとするといった症状が出ることもあります。 また、生活習慣病の中でも狭心症や心筋梗塞など心疾患の合併率が高いこともわかっています。

脂肪肝を予防するには?

・脂肪肝と生活習慣の関係
肝臓についた脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪と違ってとれやすい反面、つくときも内臓脂肪や皮下脂肪より先につくという特徴があります。そのため生活習慣の影響が表れやすいのです。生活習慣が原因となっている脂肪肝は、生活習慣を改善することで治すことができます。アルコール性脂肪肝は禁酒により改善することができますし、過食による肥満が原因となっている非アルコール性脂肪肝は食生活を見直して減量することで改善できます。また、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝は共存していることもあるため、その場合は禁酒と減量に努めましょう。

軽い有酸素運動などの適度な運動習慣も、体脂肪を減少させ脂肪肝の予防に役立ちます。腹筋、背筋、スクワットなどの筋力トレーニング(無酸素運動)は、体脂肪減少には有酸素運動ほどは効果が得られませんが、インナーマッスルを鍛えることで基礎代謝が上がり、肥満になりにくい体質になります。

脂肪肝を予防する食事で心掛けること

1、良質なタンパク質の摂取
ダメージを受けた肝臓の機能を修理回復させるためには、肝細胞の材料となるタンパク質の摂取が必要です。脂質の少ない魚や鶏のささ身、牛豚の赤身肉などがおすすめです。サバやイワシなどの青魚には中性脂肪を減らすオメガ3(n-3系脂肪酸)が多く含まれています。

2、脂質の多いものは避ける
揚げ物や肉類の脂身など、脂肪分が多いものは控えましょう。良質な油は必要ですが、酸化した油などは摂り過ぎると肝臓に負担をかけます。

3、野菜から先に食べるか血糖値をコントロールする
食事によって急激に上がった血糖値を下げるために働くインスリンは、余った糖を中性脂肪として蓄えてしまいます。そのため血糖値を急激に上昇させないようにすることも、脂肪肝を予防するうえで大切になります。食事の際は、野菜から先に食べ始めると血糖値の上昇が穏やかになると言われています。また、よく噛んでゆっくりと味わうことも食べ過ぎを防いでくれます。

4、糖質を摂り過ぎない
脂肪肝にならないための食事で見落とされがちなのは「糖質」の摂り過ぎです。糖質を多く取り過ぎる食生活を続けると、脂肪肝になりやすいことがわかっています。特に果物の果糖は吸収がよく肝臓で中性脂肪になりやすいため、過剰摂取には気を付けましょう。

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