下肢静脈瘤の原因について解説します。病気の原因や症状、対策方法まで、健康づくりに役立つさまざまな情報など。

気になる病気や症状がある場合は調べてみましょう。

【下肢静脈瘤の原因】

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現在、国内には約1,000万人の罹患者がいると推定される下肢静脈瘤。足の静脈の弁が壊れてしまう血管の病気です。静脈に血液が溜まり瘤のように血管の一部が膨らみます。40代以上の女性に多く見られますが妊娠・出産が原因となることもあり、立ち仕事や座り仕事といった長時間同じ姿勢でいることの多い男性にも見られます。また肥満や便秘などの人は下肢静脈瘤のリスクが高くなります。誰にでも起こりうる身近な病気の1つです。


下肢静脈瘤はどうして起こるの?

私たち人の体を流れる血管には2種類あります。一つは動脈、もう一つが静脈です。動脈は心臓から送り出された動脈血を体の各部に運ぶ血管で、静脈は心臓から押し出された血液を再び心臓に戻す血管です。下肢静脈瘤は足の静脈の弁が壊れてしまう血管の病気です。静脈に血液がたまり、そのたまった血液が原因で、静脈の一部が瘤(こぶ)のように膨らんでしまいます。

下肢静脈瘤の原因には、足をあまり動かすことがない立ち仕事や座りっぱなしの仕事をしている、運動不足である、妊娠・出産時などが上げられますが、遺伝が関係している場合もあるとされます。年齢と性別で見ると、40歳以降の女性に多くみられる病気です。女性は男性に比べてもともと血管が柔らかく静脈弁に異常が生じやすいことが、下肢静脈瘤が女性に多い要因となっているのです。 2005年に愛媛大学によって40歳以上の男女約9000人を対象に行った調査によれば、全体で8.6%(男性3.8%、女性11.3%)に下肢静脈瘤が認められ、患者数は推定で1000万人以上とされています。また出産経験のある女性の二人に一人は発症しているともいわれ、下肢静脈瘤は誰でもかかる可能性のある身近な病気なのです。

下肢静脈瘤の危険因子とは?

・立ち仕事をしている
一カ所に立ってあまり動かない仕事(調理師・美容師・販売員など)に従事している人は発症しやすい傾向があります。長時間同じ状態が続くと、静脈の流れを滞らせてしまうからです。下半身の血行が悪くなる環境で生活を送っていると下肢静脈瘤のリスクが高くなります。特に1日10時間以上立っている人ほど重症化しやすいという報告もあるので、注意が必要です。当然座りっぱなしでいることが多いデスクワークの場合も同様のことが言えます。

・妊娠、出産歴
妊娠時には黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響により下肢に流れる血流量が増加するだけでなく、静脈も柔らかくなるため弁が壊れやすくなり、下肢静脈瘤を発症しやすくなります。妊娠中に発症した下肢静脈瘤が産後も治らないケースも多く、出産経験のある女性の半数である2人に1人が発症するというデータもあります。

・加齢
下肢静脈瘤は歳を重ねるほど増えていきます。加齢とともに血管は脆くなりますが、静脈の弁の働きが弱まってしまうこともあるのです。また年齢とともに歩いたり体を動かしたりする機会が減り、血流が停滞することで血管に負担をかけてしまうことも要因になります。

・遺伝
遺伝的な特徴から静脈瘤が発症しやすい人がいると言われています。両親とも下肢静脈瘤の場合には将来的にはその子供も90%発症するというデータもあります。ただし現在のところ、下肢静脈瘤の発症と遺伝との間に明確な関係は見いだされていません。

その他にも肥満や便秘も下肢静脈瘤を悪化させる因子と考えられています。肥満の場合、血液中の脂質、コレステロールや中性脂肪が高くなるため血管に負担がかかり、動脈硬化だけではなく静脈にも影響します。便秘は下半身の血行が悪くなってしまうため、下肢静脈瘤が発症しやすくなります。

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