「免疫寛容」というメカニズム
そもそもサプリメントには「不足している栄養素を補う」という目的があります。関節が気になる方がグルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントを摂取するのもそのためです。
しかし非変性Ⅱ型コラーゲンは、栄養補給素材としてではなく免疫機構に働きかけるという、全く違った役割があることが期待されています。これは非変性Ⅱ型コラーゲンが、経口摂取した後、胃酸や酵素によって部分的には分解されるものの、ある程度の高分子コラーゲンのまま、しかも免疫機能である抗体が認識する「エピトープ」を保ったまま腸管に届くという特異性があるからです。エピトープを持ったⅡ型コラーゲンが継続的に腸管に届くことにより、免疫細胞はこれを異物ではなく栄養として再認識することができるようになり、それまで異常活性していた免疫機能が正常に戻り、関節軟骨の破壊を抑制するのです。つまり、この「免疫寛容」を起こすためにも、摂取するⅡ型コラーゲンが「非変性」であることはとても重要です。そしてこの「免疫寛容」こそ、これまでの「補う」だけの手法とは異なった根本治療につながる可能性があると期待されているのです。
非変性Ⅱ型コラーゲンの「免疫寛容療法」による優れた作用
非変性Ⅱ型コラーゲンを用いた免疫寛容療法については、この研究の第一人者とされているハーバード大学のデビット・トレンタム博士らがヒト臨床試験を多数行い、その成果を学会や学術誌でも発表しています。同博士の実験によれば、関節リウマチ患者10名に90日間、非変性Ⅱ型コラーゲンを経口摂取してもらったところ、1名は完治、6名に関節の痛みや晴れ、手足の硬直、握力、歩行時間に顕著な改善が見られたことを報告しています。
急性毒性試験、変異原性試験、亜急性毒性試験などあらゆる安全性の試験もパスしており、副作用などのリスクも一切報告されていません。
ロコモや関節痛にも期待されている
2007年頃から注目されている「ロコモティブシンドローム」。骨や関節などの運動器官の障害により、要介護になるリスクが高い状態になることを指していますが、東京大学の調査によればロコモ原因疾患有病者数は4,700万人にものぼるといわれます。高齢者が膝変形関節症や関節痛などに罹患してしまうと、そのまま要介護に進行する可能性も少なくありません。少しでも症状を緩和させるためにサプリメントを摂取する中高年が増えていますが、非変性Ⅱ型コラーゲンはグルコサミンやコンドロイチンよりも少ない摂取量で作用することも明らかとなっています。
非変性Ⅱ型コラーゲンは、関節リウマチ以外の関節痛やロコモの症状、あるいはスポーツなどが原因となった関節痛の軽減にも有効と考えられています。これらの症状は整形外科などに通ったからといってすぐに完治するものではなく「うまく付き合う」ことを余儀なくされている人も少なくありませんが、非変性Ⅱ型コラーゲンは関節全般の悩みに対する選択肢の1つになりえるのです。
血液、尿、唾液など生体から得られる情報と十分な問診をもとに、治療を行なうクリニックです。標準的な治療以外にサプリメント、天然ホルモンを用いた栄養療法、食事指導を重点的に行なっています。病気を根本から治療するのにあたって正確な診断が必要です。そのために当院では様々な方法をとっており、重篤な疾患の場合でもその根本原因に対する治療を行なっていきます。