マグネシウムとは?
カルシウムと一緒に耳にするのが「マグネシウム」です。マグネシウムもカルシウム同様、金属のミネラルの一つで、体内には成人の体重の約0.005%存在しています。つまり、体重50kgの人の体内には約25g存在していることになります。体内のマグネシウムの約60%はカルシウムとともに骨や歯の構成成分となり、丈夫な骨・歯を維持する役割があります。その他、約30%は筋肉に存在し、筋肉の収縮や神経での刺激の伝達に関与しています。約1%は細胞外液に、残りは細胞内液に存在し、カリウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン濃度の調節を担っています。マグネシウムは、カリウムに次いで細胞内に多く存在しているミネラルです。マグネシウムは300種類以上の酵素反応に関係しており、補酵素として糖質や脂質のエネルギー代謝、たんぱく質の合成にも関与しています。マグネシウムが不足すると以下のような症状が見られます。
骨や歯の強度がもろくなる
筋肉の収縮異常
不整脈
神経疾患、精神疾患
マグネシウムは通常の食事をしていれば、不足することはほとんどないのですが、アルコール中毒の人や利尿薬を服用している人は、不足がちになります。
カルシウム、マグネシウム、リンの関係
マグネシウムは、体内でリンと結合し、リン酸マグネシウムとして骨や歯の構成成分となるとともに、その強度を増す役割があります。体内のマグネシウムが不足すると、カルシウムの時と同様に、骨に蓄えられているマグネシウムが使用されます。しかし、骨にあるマグネシウムが血液中に流出する際は、骨にあるカルシウムも一緒に流出してしまうため、結果として骨が弱くなります(カルシウムと骨粗しょう症)。また、カルシウムやリンを多く摂取しすぎると、マグネシウムの吸収が阻害されることも知られています。また、リンの過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害します。そのため、カルシウム、マグネシウム、リンはバランスよく摂ることが大切になるのです。
カルシウムとリンは1:1の割合で摂るのが良いとされており、リンがカルシウムの2倍を超えないようにすることが理想とされています。カルシウムとマグネシウムは1.5~2:1の割合で摂取するのが理想とされています。リンやマグネシウムを多く摂取した場合はカルシウムもしっかり摂取することが必要なのです(カルシウムの吸収率)。カルシウムは日本人に不足しがちで、特にダイエットをしている女性に不足がみられます。カルシウムが不足すると太りやすいという報告もあるので(カルシウムとダイエット)、過不足なく適量を日々摂取することが大切です。
豊橋市民病院や名古屋大学医学部付属病院 腫瘍外科(第一外科)、国立がん研究センター中央病院 外科などで、3000人以上の消化器系の疾患(主に腫瘍)の患者さんに対して、外科医として治療に携わってきました。 現在は、ナチュラルクリニック代々木で、サプリメントを併用した食生活改善の指導を行っています。