ビタミンCの推奨量
高等植物や藻類は自分の力で糖分からビタミンCをつくることができます。しかし、ヒトやサル、モルモットなどはビタミンCをつくるための酵素がなく、自分の力でビタミンCをつくることがません。そのため人間は植物などから確実にビタミンCを摂取する必要があるのです。では、いったい1日にどのくらい摂れば良いのでしょう。
下の表は「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によるものです。
年齢 | 男性(推奨量 mg/日) | 女性(推奨量 mg/日) |
---|---|---|
1~2歳 | 40 | 40 |
3~5歳 | 45 | 45 |
6~7歳 | 55 | 55 |
8~9歳 | 65 | 65 |
10~11歳 | 80 | 80 |
12~14歳 | 100 | 100 |
15~17歳 | 100 | 100 |
18~29歳 | 100 | 100 |
30歳以上 | 100 | 100 |
妊婦(付加量) | - | +10 |
授乳婦(付加量) | - | +50 |
表より、年代によって異なることがわかりますが、青年期以上は最低でも100mgは補った方がよいということになります。
12歳以上の男女においても、1日のビタミンCの推奨量は100mgです。ビタミンCの含有量を食品で例えると、みかん1個に30mg、いちごは大きいもので1個20mg、じゃがいもは30mg、さつまいもは中1本70mgぐらいです。ビタミンCは水に溶けやすい、熱に弱いという性質上、生で丸ごと食べられる食品が最も効率よく摂取できます。食事中にはサラダなどの野菜を摂りいれるほか、食後や間食としてフルーツを摂りいれることで、日々の食生活の中でこまめにビタミンCを補給する習慣をつけましょう。
また、喫煙者は非喫煙者よりもビタミンCの必要性が高く、同様のことが受動喫煙者でも認められています。気を付けて頂きたいことは、推奨量と言うのは最低摂取推奨量という意味だということです。つまり、壊血病を予防する最低限の量が推奨量です。ビタミンCの理想摂取量は人によって違います。後述しますが、ビタミンCは人により体内の濃度が大きく異なるビタミンなのです。そのため、喫煙者や受動喫煙者は推奨量以上のビタミンCを摂取量の目標とすることが望ましいとされています。ストレスを感じながら生活している人も同様です。
また、ビタミンCと風邪予防でその効果についてご説明した通り、風邪の予防としてビタミンCを摂取する場合も、推奨量より多めに摂取することをおすすめします。ビタミンCは1度にたくさん摂っても2~3時間で尿と一緒に体外へ排泄されてしまいます。サプリメントで補う場合は1日の量を数回に分けて飲むことでビタミンCの効果を持続させることができます。
ビタミンCの効果効能でもご説明いした通り、ビタミンCは私たちの健康維持に不可欠で、足りなければさまざまな不調が現れます。過剰摂取は食品からの摂取では起こりにくいですから、心配せずにビタミンCを含む食品を意識的に食べると良いでしょう。
過剰摂取・大量摂取には注意しましょう
ビタミンCは摂り過ぎても尿と一緒に排泄されるので、過剰摂取は心配ないのでは?という意見も多く聞かれます。もちろん、普段の食事から摂取する場合は心配ありません。
しかし、1日に3~4gのアスコルビン酸を与えて下痢や腹痛といった胃腸への影響が認められていることから、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、サプリメント類からビタミンC(アスコルビン酸)を1日1g以上摂取することは推奨できないとされています。確かにビタミンCサプリメントは胃に対する刺激性が強く、胃刺激症状を呈する方がいますし、一度に摂るビタミンC量が多すぎて飽和量に達すると、腸管からの吸収ができなくなり下痢を起こします。前者に対しては低刺激性にphを調節したものや、タイムリリースといって吸収がゆっくりになるように調節したサプリメントを試してみるのも手ですし、下痢に対しては少量を頻回に摂取することで防げる場合もあります。
いずれにしてもサプリメントで摂取する場合は、用法・用量を守って正しく服用し、さらに多く服用したい場合には専門科に相談すると良いでしょう。詳しくはビタミンCの副作用でもご紹介します。
血液、尿、唾液など生体から得られる情報と十分な問診をもとに、治療を行なうクリニックです。標準的な治療以外にサプリメント、天然ホルモンを用いた栄養療法、食事指導を重点的に行なっています。病気を根本から治療するのにあたって正確な診断が必要です。そのために当院では様々な方法をとっており、重篤な疾患の場合でもその根本原因に対する治療を行なっていきます。