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ビタミンEの効果とその作用

ビタミンEはナッツ類や植物油などに多く含まれる脂質性のビタミンで、すぐれた抗酸化作用が知られています。がんや生活習慣病の予防、老化防止効果が期待されることから、「若返りのビタミン」と呼ばれることも。美容や健康の維持に欠かせない成分として注目されています。

ビタミンEとはどのような成分か

ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつで、強力な抗酸化作用が知られている成分です。別名トコフェロールとも呼ばれます。

ビタミンEは、α、β、γ、δトコフェロールとトコトリエノールの、全部で8種類の異なる物質の総称です。

それぞれの作用の特徴として、トコトリエノールは炭素の結合が二重になっているため、細胞膜へ侵入しやすく即効性があり、トコフェロールは持続性があると考えられています。[※1]

なかでもヒトに対する抗酸化作用がもっとも強いのがαトコフェロールです。[※2]

抗酸化作用とは、体内で増えすぎた“活性酸素”を抑える作用のことで、この活性酸素はシミやシワなどの肌の老化や、がんや動脈硬化などの病気の原因となるものです。

活性酸素の害から体を守ろうとするビタミンEは、“若返りのビタミン”との異名もあります。

不妊をはじめ、病気や美容の面においてもさまざまな効果が期待されるビタミンE。老化や生活習慣病の予防に有効なビタミンとして注目されています。

ビタミンEの効果・効能

ビタミンEには以下のような効果・効能が期待されています。

■がんや生活習慣病の予防効果

ビタミンEは、酸化ストレスからからだを守るため、がんや生活習慣病の予防に効果的だといわれています。血管の細胞膜を保護することから、動脈硬化を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞などの病気のリスクを減らす効果も期待されます。

■美肌効果

ビタミンEは、活性酸素の害からからだを守ることから、肌の老化を予防する効果も期待されています。増えすぎた活性酸素は、シミやシワ、たるみなどの肌の老化を引き起こします。

■冷え症や肩こりの改善効果

ビタミンEは血流を促す作用が認められていて、血流の悪化を原因とする冷え症や肩こりなどを改善する効果が期待されています。[※3]

■生理痛やPMSの緩和効果

ビタミンEは女性ホルモンに作用することで、生理痛や生理不順の改善、PMSや更年期障害の緩和効果なども期待されています。[※4]

■不妊症への効果

ビタミンEは、もともと不妊の研究で発見されたビタミンです。胎児の骨盤形成を促したり、男性の精子の量や運動量を上昇させることなどが研究されています。[※5]

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

ビタミンEは摂取されると小腸で吸収され、小腸で合成されるキロミクロンというたんぱく質のかたまりに取り込まれます。そして、リンパ管を通って肝臓に運ばれます。

肝臓では8種類のビタミンEのうちαトコフェロールだけが輸送たんぱく質(α-TTP)と結合されます。ほかの種類は肝細胞で代謝され、胆汁や尿に排出されます。(ただし、最近の研究では肝臓のシトクロムP450という遺伝子により代謝されることが示唆されています[※6]

輸送たんぱく質と結合したαトコフェロールは、今度はVLDL(超低密度リポたんぱく質)に取り込まれて分泌され、血流中に入ります。VLDLは血液中で代謝され、LDL(低比重リポたんぱく質)に変換され、各組織に運搬されていきます。[※6]

細胞は、2重の脂質とたんぱく質で構成された細胞膜でおおわれています。

ビタミンEは脂溶性ビタミンです。そのため細胞膜の脂質(不飽和脂肪酸)のあいだに入り込み、抗酸化作用を発揮することで、細胞の酸化を防いでくれると考えられます。

そのほかにも、血中のLDLコレステールの酸化を防いだり、過酸化脂質が作られるのを防いだりする作用があることから、血流を促し、血管の健康を維持する効果なども知られています。[※7]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

ビタミンEは以下のような人におすすめされる成分です。

  • がんや生活習慣病の予防をしたい人
  • 老化による肌の衰えが気になる人
  • 生理不順や生理痛、PMSなどにお悩みの人
  • 血流が悪く冷えや肩こりなどにお悩みの人

健康を維持するためには、子どもからお年寄りまで、すべての人に必要な栄養素です。

ビタミンEの摂取目安量・上限摂取量

ビタミンEは体内では合成することができず、食事から摂取しなくてはなりません。

ビタミンEは8種類の異なる物質の総称ですが、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」[※8]では、αトコフェロール量をビタミンEとしています。

その理由は、ヒトの血液や組織に存在するビタミンEのほとんどがαトコフェロールであり、ヒトに対する活性がいちばん強いと考えられているからです。

ビタミンE(αトコフェロール)の
1日の目安量は
成人男性で6.5mg、成人女性で6.0mg
1日の上限量は
成人男性で750~900mg、成人女性で650~700mg

と発表されています。

ビタミンEが不足すると、感覚障害、歩行困難や筋力の低下などがみられることがあり、未熟児では、深刻な貧血が起こる場合があります。

ビタミンEの欠乏症を発症することは先進国ではまれですが、発展途上国や過激なダイエットでは発症リスクが高まります。[※9]

また、ビタミンEは過剰に摂取することで、出血のリスクが高まる傾向があります。ただし、通常の食生活では心配する必要はほとんどありません。サプリメントなどから摂取する場合は、定められた用法容量を必ず守りましょう。[※2]

ビタミンEのエビデンス(科学的根拠)

強力な抗酸化作用が認められているビタミンEですが、意外なことに病気の予防効果などを示す根拠となるエビデンスは、今のところ示されていません。[※10]

ビタミンEは日常的に摂取するさまざまな食品に広く存在し、体内にも潜在的にあります。また、抗酸化作用が発揮されるためには、生活習慣や食品に含まれるほかの成分との影響が複雑に絡み合っている可能性があります。[※11]

そのためビタミンEの作用には個人差が大きく、サプリメントなどによる試験で明確な効果を得ることが難しいという問題があるのです。

研究のきっかけ(歴史・背景)

ビタミンEはもともと、不妊治療の動物実験で、不妊を防ぐ栄養素として発見されました。

1820年に脱脂粉乳で飼育されたラットが繁殖できなくなることがわかり、1922年にレタスを与えると繁殖機能が回復することが発見されます。そしてのちにビタミンEの存在が明らかになります。

ビタミンEの名前は、1924年にアメリカのキャサリン・ビショップによって命名されました。化学名の「トコフェロール」は、ギリシア語でTocos「子どもを生む」、phero「力を与える」が語源となっています。[※12]

専門家の見解(監修者のコメント)

多くの専門家や医師は、ビタミンEはサプリメントよりも食品で摂取することが望ましいとの見解を示しています。

実際、ビタミンEが豊富に含まれているナッツには、がんの予防効果を示す研究結果が報告[※13]されていますが、サプリメントとしてのビタミンEには、明確なエビデンスがないばかりか、脳出血や前立腺がんのリスクを高めるといった報告もされています。[※11]

「微量栄養素の1日あたりの推奨摂取量を大幅に超えるサプリメントの中には癌リスクを増加させるものもあると確信しています。(中略)今ではビタミンEとセレンも同様の作用を示すことを認識しています」

(海外がん医療情報 リファレンス「セレンとビタミンEのサプリメントで前立腺癌リスク増加の可能性/ フレッドハッチンソンがん研究センター」より引用)[※14]

フレッドハッチンソンのAlan Kristal博士は、このように述べて、高用量のビタミンEサプリメントの摂取は前立腺がんのリスクを高めることから、とくに男性は使用を中止すべきであるとの見解を示しています。[※14]

東京大学病院・地域医療連携部の循環器専門医である稲島司先生も、食品から成分だけを「抜き出して摂取しても目立った効果は期待できない」(引用)[※15]として、サプリメントではなく、食事からビタミンEを摂取することをすすめています。

「その成分とやらが良いなら、市販のサプリは良いものだらけということになります。(中略)本来はきちんと臨床試験を経て宣伝すべきです。以前お話ししたβカロテンやビタミンEは効果がないどころか、一部有害事象が多いという結果も出ています」

(ダイヤモンドオンライン「医者も食べている「がんリスクを減らして若返る」3つの食材」より引用)[※15]

また、米政府が発行する「アメリカ人のための食生活指針2010」においても

「栄養は主として食事から摂取すべきである。栄養分を豊富に含む食品(多くは未加工品)には、サプリメントに含まれることの多い必須ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維や体によい天然成分も含有している」

(「統合医療」情報発信サイト「ビタミンE」より引用)[※10]

との見解が示されています。

ビタミンEを多く含む食べ物

ビタミンEは、アーモンドなどのナッツ類、植物油、うなぎやたらこなどの魚介類、かぼちゃやアボカドなどに豊富に含まれています。[※2]

ちなみに、混同されやすいのですが、ピーナッツはナッツ類ではなく、マメ科の植物です。ビタミンEの含有量が多いのはピーナッツではなくアーモンドです。

アーモンドはそのままよりも、液体のアーモンドミルクにするとより吸収率が高くなります。砕いてシリアルに入れたり、食材に絡めて料理に使うのもおすすめです。[※16]

相乗効果を発揮する成分

ビタミンEは、おなじく抗酸化作用をもつビタミンAやビタミンC[※17]と摂取することで、相乗効果が期待できます。

ビタミンAはβ-カロテンとしてにんじんなどに多く含まれ、ビタミンCは果物や緑黄色野菜に豊富に含まれています。

ビタミンEを含む油でさまざまな種類の野菜を炒めた野菜炒めには、すぐれた抗酸化作用が期待できます。

ビタミンEは加熱に強いため、調理によって失われる心配がないのもうれしい点です。[※7]

ビタミンEの副作用

最近の研究によると、ビタミンEの過剰摂取により、骨粗しょう症を引き起こす可能性が示唆されています。

慶応義塾大学らのチームが行った実験によると、ラットに通常の摂取量の5倍のビタミンEを8週間摂取させたところ、骨を壊す細胞の働きを強め、骨粗しょう症が発症したということです。[※18]

実験で使用されたビタミンEの量は、体重50kgのヒトで換算すると1日1,000mgだということです。

厚生労働省の定めるビタミンEの上限量は、多くても1日900mgとされています。しかし海外のサプリメントには、この量を超えるビタミンEが含まれていることがあります。

高用量のビタミンEサプリメントでは、骨粗しょう症のほかにも、前立腺がんのリスクを高めるという報告もあります。[※11]

ビタミンEのサプリメントを使用するさいには、過剰摂取にならないよう注意が必要です。

1日の摂取上限量は性別や年齢によって異なります。厚生労働省のホームページ[※8]で確認できるので、自分にあてはまる目安量や上限量をチェックしてみましょう。

注意すべき相互作用

ビタミンEは、抗凝血剤や抗血小板薬との併用で、出血を起こすリスクが高まります。[※10]

がんの放射線治療中の場合、ビタミンEなどの抗酸化サプリメントを摂取すると、治療に影響が出る恐れがあります。[※10]

薬を服用している人や病気の治療中の人がビタミンEのサプリメントを使用する場合、必ず医師や薬剤師に確認、相談しましょう。

参照・引用サイトおよび文献

  1. オーソモレキュラー.jp 栄養素の説明-ビタミンE
  2. グリコ 栄養成分ナビ ビタミンE
  3. PR TIMES プラスEプロジェクト プレスリリース
  4. アーモンドミルク研究会 効果と働き
  5. ヨミドクター [ビタミンE]抗酸化で幅広い効果
  6. 【PDF】日本生化学会 「ビタミE特異的輸送タンパク質α-TTPによる 体内ビタミンEレベルの制御」
  7. 健康長寿ネット ビタミンEの働きと1日の摂取量
  8. 【PDF】厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015年版)
  9. MSDマニュアル家庭版 ビタミンE
  10. 「統合医療」情報発信サイトビタミンE
  11. 「統合医療」情報発信サイト 抗酸化物質と健康
  12. 日本ビタミン学会 やさしいビタミンの話
  13. DtoDコンシェルジュ 「木の実「ナッツ」摂取でがん再発と死亡率が大きく低下 豆類のピーナッツでは効果が認められず」
  14. 海外がん医療情報 リファレンス「セレンとビタミンEのサプリメントで前立腺癌リスク増加の可能性/ フレッドハッチンソンがん研究センター」
  15. ダイヤモンドオンライン「医者も食べている「がんリスクを減らして若返る」3つの食材」
  16. 日経電子 WOMAN SMART ナッツや穀物の栄養を飲む 話題の「植物性ミルク」
  17. e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン
  18. 慶応義塾大学宇病院 医療・健康情報サイト「ビタミンEは骨を減らす?」