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冬虫夏草の効果とその作用

冬虫夏草は、昔から不老長寿や滋養強壮の薬として重宝されてきました。現代でも漢方薬として、様々な効果が期待される生薬です。

最近の研究では、血流改善効果や筋肉増強、さらには抗がん作用まで発見されています。冬虫夏草の効能や作用、副作用の有無や摂取方法などを詳しく解説します。

冬虫夏草とはどのような成分か

冬虫夏草(シネンシストウチュウカソウ)は、コウモリ蛾に寄生して棒状の子実体を伸ばすキノコのことを言います。

チベットやネパールなどの高山地帯に生息しており、冬は虫の姿をしていますが、夏に草(キノコ)の姿になるため、冬虫夏草と呼ばれています。

本来の冬虫夏草は、このシネンシストウチュウカソウのことのみを表していましたが、広義では昆虫に寄生して発芽するキノコを総称して「冬虫夏草」と呼んでいます。

世界には約500種類の冬虫夏草が発見されており、そのうち約400種類が日本でも確認されています。[※6] [※7]

冬虫夏草の主な成分は、糖アルコールの一種「D-マンニトール(Cordyceptic acid/キナ酸の異性体)」、核酸系の抗生物質「コルジセピン」、ステロールの一種で紫外線を受けるとビタミンDに変化する「エルゴステロール(ergosterol)」などがあります。

古くから漢方薬として活用されており、俗に滋養強壮や免疫向上の有効性がうたわれています。[※1]

冬虫夏草の効果・効能

冬虫夏草は、漢方では鎮静や鎮咳の効果があるとして、病後の衰弱や肺結核などの治療に用いられています。

近年では、がん患者が化学療法後に冬虫夏草を摂取すると、QOL(生活の質)と細胞性免疫が向上したという研究結果が発表されています。

また、B型肝炎患者に冬虫夏草を使用すると肝機能の向上が認められました。[※2]

生態や効能についてはまだまだ未知の部分が多い生薬ですが、今後も新しい薬理作用の発見や薬への応用などが期待されています。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

古来より漢方薬として利用されてきた冬虫夏草。近年の研究により、様々な効果が発見されています。

■血流改善効果

冬虫夏草には糖アルコールの一種であるD-マンニトールという成分が含まれています。D-マンニトールには、血管を拡張する作用も確認されています。血管が拡張されることにより血流が良くなり、心筋梗塞や狭心症の予防にもつながります。[※1] [※3]

■骨密度UP、筋肉増強

冬虫夏草には、何種類かのステロール成分が含まれています。中でもエルゴステロールは紫外線を受けるとビタミンDに変化します。ビタミンDはカルシウムの吸収を高め、丈夫な骨を作る役割があります。

また、ビタミンDには筋肉中のたんぱく質の合成を促進する機能もあり、筋肉増強にもつながります。[※1] [※2]

■抗がん作用への期待

冬虫夏草には、コルジセピンという成分が含まれています。このコルジセピンには悪性腫瘍の分裂を阻害してくれる効果があり、近年では抗がん作用があるという研究結果が発表されています。[※1] [※3]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

冬虫夏草は、体の様々な不調に役立つ漢方薬です。特に副作用も確認されておらず適切に使用する場合には安全なものであるため、健康に気を使う万人が使用できる生薬です。

ただし、妊娠中や授乳中の人、小児には十分な安全性が確認されていないため、摂取は控えましょう。[※1] [※3]

冬虫夏草の摂取目安量・上限摂取量

冬虫夏草は1日、1~2gの摂取が目安です。[※8]

ただしサナギタケ冬虫夏草については、内閣府の発表する食品完全関係情報において「一日当たりの摂取上限量は600mg以下とする(乾燥重量)」と明記されています。[※9]

冬虫夏草のエビデンス(科学的根拠)

天然のシネンシストウチュウカソウは、乱獲による有用生物資源の保護などから、極めて入手が困難な漢方となっています。

そこで近年注目されているのが、サナギタケから作られる冬虫夏草。このサナギダケ冬虫夏草に含まれるコルジセピンという化合物に、抗がん作用があることが示唆されています。

101名の肝細胞がん患者を対象として、冬虫夏草を平均13.4か月投与した結果、がん細胞のサイズ減少やがん細胞マーカーの減少、5年以上の生存率延長などが観察されました。

治療剤としてのヒト試験はまだ見当たらないものの、がん治療の有益な成分として今後ますます期待されています。[※7]

研究のきっかけ(歴史・背景)

冬虫夏草はチベットやネパールなどの限られた地域の高山に自生するきのこで、古来より貴重な生薬として高価格で取引をされてきました。

古代中国では、不老長寿や滋養強壮の妙薬として、皇帝や皇族など限られた人たちだけが口にでるものでした。

そうした一部の人のみが知る冬虫夏草でしたが、近年、あることがきっかけで一大ブームとなりました。1993年、ドイツで行われた世界陸上で、中国の選手たちが次々と世界新記録を出し、メダルを独占したのです。

彼らが摂取していたのが冬虫夏草を含んだドリンクだったという話が広がると、それによりスポーツ選手の間で、冬虫夏草が大流行。さらには、一般的にも健康食品として爆発的に普及するようになりました。[※4]

しかし、元々希少性が高い上、高額で取引されことから乱獲された冬虫夏草は、需要に対して供給が間に合わなくなりました。粗悪品に加え、中には偽物まで流通するようになります。

そこで研究者たちは、冬虫夏草を養殖する研究を進めました。日本ではコウモリガと同じ属種であるサナギダケを使った冬虫夏草が多く栽培され、独自成分の発見などでも注目されています。

専門家の見解(監修者のコメント)

現代人に必要な、様々な効能が期待される冬虫夏草。九州大学大学院農学研究院環境農学部門教授で食用ならびに薬用キノコ研究の第一人者である大賀祥治先生は冬虫夏草の機能性成分について次のように述べています。

漢方薬として東洋医学では,古来,医薬に重用され,結核,黄疸,アヘン中毒の解毒薬としても用いられてきた。我が国には,中国からの本草綱目(1578)で渡来した。

近年の治験の結果,抗腫瘍,免疫増強,鎮静,抗酸化作用が確認され,含有されるコルジセピン,マンニトール,ポリサッカロイド,メラトニン,スーパー・オキサイド・ディスムターゼなど機能性成分が見いだされ,世界中で注目されている。[※6]

冬虫夏草の摂取方法

冬虫夏草には細菌などが付着しているため、生食は推奨されていません。漢方薬として摂取する場合は、煎じて飲むのが一般的です。

800ccの水に5~10gの冬虫夏草を入れて30分程煮詰めたら完成です。煮出した後の冬虫夏草自体も食べる事ができます。そのままでもいいですが、みそ汁や炒め物の具としても美味しく食べられます。[※5]

もっと気軽に摂取したい場合には、粉末にしたものを飲んだり、サプリメントになったものを摂取したり、という方法もあります。

相乗効果を発揮する成分

冬虫夏草は単体でも十分効果が期待できる生薬ですが、滋養強壮などの効果をさらに欲する場合は、マカなどのスタミナ成分と共に摂取すると、相乗効果が期待できます。[※10]

冬虫夏草の副作用

冬虫夏草は、一般的に適切に使用する際には特に副作用もなく、安全性が確認されています。

しかし、シクロスポリン (免疫抑制剤) 、アミノグリコシド系抗生物質、サイクロホスファミド (免疫抑制剤) 、プレドニゾロン (ステロイド) などの薬剤と併用すると、免疫抑制作用を減弱させる可能性があるため、併用については避けるべきです。[※1]