プロテオグリカンの効果とその作用

プロテオグリカンは高い保水力をもち、コラーゲンやヒアルロン酸に匹敵する美肌効果をもつ新しい美容成分です。保湿を始め、美白や肌の若返りなど、複数の美容効果をもつことから、美容雑誌や美容マニアのあいだで「夢の美容成分」と呼ばれることも。また、高い抗炎症作用をもち、軟骨や骨の代謝にも大きく関わっていることから、医薬品の分野でも今後の応用が期待されています。

プロテオグリカンとはどのような成分か

プロテオグリカンは、糖とたんぱく質が結合した「複合糖質(糖たんぱく質)」の一種です。魚や動物をはじめとする多細胞生物の皮膚や軟骨などに含まれている成分で、わたしたち人間の皮膚や軟骨にも多く含まれています。コアたんぱく質と呼ばれる長いたんぱく質の糸に、グリコサミノグリカン(多糖類の一種)という糖鎖が何本も結合したブラシのような形状をしており、コラーゲンやヒアルロン酸同様、細胞同士を支え、細胞間の物質伝達を仲介するはたらきをする「細胞外マトリックス」という役割を担っています。

プロテオグリカンの効果・効能

プロテオグリカンには次のような効果・効能があるといわれています。

■シミ・しわ・たるみの改善

プロテオグリカンはヒアルロン酸同様、高い保湿効果があります。乾燥による肌荒れやシワを改善し、弾力のある肌を作ります。また、紫外線によるダメージから肌を守り、色素沈着を改善する美白効果があります。

■肌細胞の新陳代謝を活性化し肌を若返らせる

コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促し、上皮細胞の増殖と成長を活性化させるため、肌のアンチエイジングに高い効果を発揮します。

■変形性関節炎の改善

減ってしまった軟骨の生成や維持を助け、関節炎の予防や症状改善に効果があります。
また、動物実験では以下のような効果があることもわかっており、今後の臨床試験の結果が期待されています。

■炎症性腸疾患の改善

抗炎症作用をもつため、炎症性腸疾患の症状改善に効果があります。[※1]

■骨粗しょう症の予防

骨代謝を正常化する作用があり、骨粗しょう症を予防します。[※2]

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるのか

プロテオグリカンの一番の特徴は、ヒアルロン酸に匹敵する保水力の高さです。その秘密はプロテオグリカンの構造にあります。ブラシ状に連なる糖鎖のすき間に水分子を取り込み、多量の水分を保持することができるのです。そのため、ヒアルロン酸同等の高い保湿効果を発揮します。

コアたんぱく質の両端にも、美容に効果的な特徴があります。片方の端にはヒアルロン酸やプロテオグリカン同士と結合しやすい構造をもっており、複数の分子が絡み合いながら細胞間をしっかり支えられるようになっています。このことによって、プロテオグリカンは肌の弾性を保つという重要な役割を果たしています。

もう一端は、EGF(Epidermal Growth Factor:上皮細胞増殖因子)という細胞の分裂・成長の調整する物質に類似した構造をもっています。そのため、EGFと同じように、表皮の新陳代謝を促進したり、真皮の線維芽細胞を活性化してコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促したりする作用があり、美白・美肌に高い効果を発揮するのです。[※3]

プロテオグリカンはまた、Ⅱ型コラーゲンとともに軟骨を構成する主成分でもあり、関節の機能や軟骨細胞の生成にも深く関わっています。高い保水力と弾力で関節が滑らかに動くよう助けるだけでなく、軟骨細胞の元となる軟骨前駆細胞を増加させるはたらきがあるのです。詳しいメカニズムは解明されていませんが、軟骨前駆細胞が軟骨細胞へ成長するのを促したり、軟骨細胞が石灰化するのを防いだりする作用もあり、関節が正常に機能するよう軟骨の代謝を調整する役割を担っています。[※4]

現在注目されているのは、プロテオグリカンのもつ抗炎症作用です。体内に炎症を起こすサイトカインなどの「炎症物質」の産生を抑制するはたらきがあるため、がんやアレルギー疾患への効果が期待されています。ここ数年の研究結果では、抗炎症作用によって紫外線のダメージを抑えるメカニズムが少しずつ明らかになってきました。[※5]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

プロテオグリカンは、保湿、美白、肌の若返りなど、1つの成分でさまざまな美容効果を実感できることから、肌荒れやシワ、たるみなど、加齢による複数の肌トラブルを抱えている方におすすめの美容成分といえます。

特に、EGF同様、真皮線維芽細胞のはたらきや表皮のターンオーバーを活性化させる作用は、加齢によるたるみや肌のくすみに非常に効果的です。EGFは20代以降急激に減少し、40代では2分の1から3分の1近くまで減ってしまいます。[※6] 加齢による肌トラブルのほとんどはEGFの減少によって起こるともいえます。プロテオグリカンはそれらを軽減してくれるのです。

健康成分としては、軟骨細胞の減少や石灰化を防ぎ、軟骨細胞を増やすはたらきが認められています。関節軟骨への負荷や加齢によって起こる変形性関節症の症状に悩まされている方に効果が期待できるでしょう。

プロテオグリカンの摂取目安量・上限摂取量

メーカーごとに多少の差はありますが、多くは1日5~10mgが目安のようです。上限摂取量は特に設定されていません。弘前大学の共同研究チームが行った安全評価試験によると、1日あたり600mgを5日間連続で摂取しても、臨床上は特に問題がないという結果が出ています。[※7] プロテオグリカンは少ない量で高い効果が期待できることも魅力の1つです。多く摂取したから効果が上がるという成分ではないので、1日5~10mgを目安にするのが望ましいといえるでしょう。

プロテオグリカンのエビデンス(科学的根拠)

美容・健康成分としてプロテオグリカンが知られるようになったのはここ数年ですが、産学官が連携してさまざまな研究が進められており、エビデンスとなる動物実験、臨床試験の結果も増えてきています。

化粧品や健康食品の原料となる天然由来成分の研究開発メーカーとして知られる一丸ファルコス株式会社が、20~50代の男女19人を対象に行った実験では、プロテオグリカン入りのカプセルとプロテオグリカンなしのカプセルを2週間飲用してもらい、「たるみ」「シワ」「肌の弾力」「肌の水分量」の変化を測定した結果、プロテオグリカン入りのカプセルを飲んだグループは、すべての状態が改善していることがわかりました。[※8]

また、魚鱗コラーゲンペプチド、豚皮コラーゲンペプチド、ヒアルロン酸との美容効果を比較する実験では、「弾力改善」「たるみ改善」「シワ改善」「保湿」「バリア機能改善」「シミ改善」のすべての項目について、プロテオグリカンは他の美容成分と比べ、少量、短期間で高い有効性があることがわかりました。[※9]

プロテオグリカンは美容・医薬品分野ともに注目されている話題の成分であり、その効果を裏付けるデータが数多く発表されています。今後も研究が進めば新たなエビデンスが出てくるでしょう。

研究のきっかけ(歴史・背景)

プロテオグリカンは、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸に代表される「グリコサミノグリカン」と呼ばれる多糖類の研究中に発見されました。グリコサミノグリカンの構造を解析しようとしていた1970年、その多くが、じつは単体分子としてではなく、糸状のたんぱく質に結合した複合糖質の状態で存在していることがわかり、それをプロテオグリカンと呼ぶことにしたのです。

研究が始まった当時は、ウシの気管軟骨からごく少量しか抽出されない貴重な物質でした。熱に弱い成分のため抽出には特殊な薬品を使うしかなく、製造コストは1g当たり3000万円もする高価な素材だったのです。

しかし、1990年、青森県産業技術センターを中心とした研究チームの調査により、サケの鼻軟骨にプロテオグリカンが高濃度で存在することが判明。2000年に弘前大学が、食用酢酸とアルコールだけを使いプロテオグリカンを抽出する技術を確立しました。このおかげで、低コストで高純度のプロテオグリカンを量産できるようになったのです[※10]

その後、民間企業がアルカリ抽出で純度90%以上のプロテオグリカンを取り出す技術を開発。[※6] 現在は、美容・健康成分として幅広く商品化が進み、次の一手となる医薬品への応用に向けて研究が進められています。

専門家の見解(監修者のコメント)

美容雑誌やネットで人気のプロテオグリカンについて、専門家も肯定的なようです。弘前大学大学院特任教授の中根明夫先生は、健康雑誌の取材で次のようにコメントしています。

「プロテオグリカンは分子構造が複雑で水酸基を多く持っているため、水を捕まえやすい性質があります。その力は、1gで6Lの水を保持するヒアルロン酸より1.3倍程度高いというデータも。また、動物実験では紫外線を浴びてダメージを受けた肌を回復する作用があることがわかっています。たるみも改善しますよ」[※11]

美容分野におけるエビデンスは大学やメーカーの研究で一通り出そろってきましたが、医療分野ではまだ臨床試験が続いています。プロテオグリカンは今後、医薬品として期待さており、専門家もその評価には前向きのようです。

「プロテオグリカンには、過剰な免疫反応を抑える働きがあることが判明しています。免疫のメカニズムは非常に複雑で、すべての自己免疫疾患に効くとは言えないのですが、動物実験ではヒトの多発性硬化症と似た症状や、軽度の糖尿病で症状を抑えられました。今後は難病のクローン病や、良い治療法が確立されていない潰瘍性大腸炎など重い病気の治療にも道を開くことが期待されています」(中根明夫先生)[※12]

プロテオグリカンを多く含む食べ物

プロテオグリカンはサケやサメなど動物の軟骨に多く含まれています。これらは基本的に加熱調理しないと食べられませんが、プロテオグリカンは熱に弱く、加熱するとコアたんぱく質が短く切れて効力を失ってしまいます。プロテオグリカンを効率良く体に取り入れるなら、加工食品や化粧品を利用するのが一般的です。

ただし、唯一加熱せずに食べられるものもあります。それは氷頭なますです。氷頭なますは、プロテオグリカンを安価で量産する抽出法のヒントになった食べ物で[※13]、サケの鼻先の軟骨(氷頭)を薄くスライスし、大根やニンジンなどと一緒に酢漬けにしたものです。加熱処理していない氷頭を入手できたら食事に取り入れてみるのもよいでしょう。

相乗効果を発揮する成分

一般的に、プロテオグリカンとコラーゲンを一緒に摂取することで相乗効果を発揮するといわれています。その理由は、この2つが肌や関節軟骨を構成する二大要素だからです。肌も軟骨も、網目状になったコラーゲンのすき間を、保水力の高いヒアルロン酸とプロテオグリカンが絡み合いながら支えることで、弾力を保っています。[※8][※14] そのため、両者をバランスよく摂取することで、より高い効果が得られるのです。

プロテオグリカンに副作用はあるのか

現在まで、アレルギーや副作用などプロテオグリカンによる健康被害は報告されていません。弘前大学が行った安全性評価試験の結果、1日あたり600mgを5日間連続で摂取しても臨床上の問題となる影響は一切ありませんでした。[※7] プロテオグリカンは皮膚や関節軟骨だけでなく、脳や神経細胞など体のさまざまな部位に含まれている成分なので、過剰に摂取しない限り特に問題はないといえるでしょう。

ただし、サケ軟骨からとれるプロテオグリカンを謳う商品のなかには、プロテオグリカン以外のサケ由来成分が含まれている可能性もあります。こうした商品は、抽出技術が低く成分が劣化していたり、他の成分でかさ増しされて肝心のプロテオグリカンの含有量が少なかったりすることがあるため注意が必要です。サケに対するアレルギーがある方はもちろん、それ以外の方も、サプリメントや化粧品を買う際にはパッケージの成分表に必ず目を通し、純度の高いプロテオグリカンを使用した商品を選ぶようにしてください。

参照・引用サイトおよび文献

  1. 東奥日報「炎症性腸疾患に効果大/弘大」
  2. 東奥日報「プロテオグリカンに骨粗しょう症予防効果」
  3. 一丸ファルコス株式会社「プロテオグリカンの美容効果」
  4. 一丸ファルコス株式会社「プロテオグリカンの関節軟骨訴求効果」
  5. 応用糖質科学 第6巻 第2号「サケ鼻軟骨熱水抽出物の経口摂取による日焼け抑制効果 ―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―」【PDF】
  6. バイオマテックジャパン 奇跡の成分「ナチュラルプロテオグリカン」【PDF】
  7. 日本食品科学工学会誌58 巻 (2011) 11 号「プロテオグリカンを主成分とするサケ鼻軟骨粉末の安全性評価」【PDF】
  8. サントリー健康情報レポート「リフトアップとプロテオグリカンの密接な関係」
  9. 一丸ファルコス株式会社「プロテオグリカンと美容成分(コラーゲン、ヒアルロン酸)比較・・・経口摂取試験」
  10. 青森県発!機能性素材 プロテオグリカン「あおもりPG」
  11. 雑誌・月刊「からだにいいこと」2015年7月号「からだにいいコトバ辞典【プロテオグリカン】」より引用
  12. 雑誌・月刊「からだにいいこと」2015年7月号「からだにいいコトバ辞典【プロテオグリカン】」より引用
  13. 健・美・爽・歓、プロテオグリカン「プロテオグリカンヒストリー」
  14. 共立出版社「蛋白質核酸酵素」40号「特集:骨形成と崩壊 関節軟骨と骨関節炎」【PDF】