いりたに内科クリニック 院長 入谷 栄一先生

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予防からはじめることが大切 自分に必要なケアを見極めて

いりたに内科クリニック 院長 入谷 栄一先生

経歴

昭和1974年福島県生まれ。帝京大学医学部卒業後、2001年4月より東京女子医科大学第一内科(呼吸器科)に勤務。同院で消化器内科、循環器内科、神経内科、リウマチ・膠原病内科など内科医として一通りのスキルを学ぶ。東京都職員共済組合青山病院、済生会栗橋病院に出向し、救急医療から専門にとらわれない内科全般、がん治療やアレルギーの最先端医療までの経験を積む。在宅分野には研修医時代から現在まで携わる。2013年に「いりたに内科クリニック」開院する。

インタビュー

急性疾患から慢性疾患までさまざまな経験を積んでこられた入谷先生。とくに在宅診療の経験は13年以上にも及び、患者さんとの信頼関係を築くことが医療現場においてもっとも重要なことであると語る。内科・呼吸器科・アレルギー科が専門ではあるが、臓器や専門性にとらわれず「家庭医」としてなんでも相談できる医師である。クリニックでは予防医療から検査、病院紹介、在宅診療など幅広い医療を提供している。

昨年クリニックをオープンさせたそうですが
その経緯とコンセプトを教えてください

長く在宅診療に従事していると、患者さんだけではなくそのご家族のケアをする必要性や予防に力を入れる必要性に気づきます。できるだけ健康な時からみなさんと関わることで、もし治療が必要になっても信頼関係があればより効果的な医療が提供できますし、その患者さんの情報があれば必要最低限の薬だけを処方することもできます。この「予防に力をいれたい」という思いは開業する大きなきっかけとなりました。実際開業して以前より地域の方と深く関わることができ、学校や地域のケアマネージャーさんたち、地域包括センターさんとも勉強会や講演会で交流しています。

「予防」をするために私たちに一番必要なことは
いったいどんなことなのでしょうか?

やはり教育ですよね。一人ひとりが健康について正しい知識を身につける必要はあると思います。そのためにいろいろなところで勉強会や講演会をさせていただき、私の持っている医療知識をできるだけわかりやすくお伝えしています。おもしろいところでは地域の教職員向けに禁煙授業などもします。他にも「風邪をひいてすぐに医者にくるべきではない」ということも言ったりします。

風邪をひいたら、ひき始めはまずセルフケアが必要です。手作りの葛根茶などを飲んで養生する。それでも治らなかったら病院というのが受診のタイミングです。でも多くの人がセルフケアの方法を知らないようです。私はそこの情報を発信するようにしています。受診のタイミングが自分でわかるようになってほしいのです。薬もむやみに飲むべきではありません。普段こういう指導をしているので、信頼関係が生まれ、患者さんは飲むべき時にはしっかり薬を飲んでくれるようになるのです。

先生はハーブの本を出版されていますが、
医療に使われているのですか?

ここはハーブの治療機関ではありませんし、販売もしていません。しかし食事指導の一貫として情報を提供することはあります。世の中には薬ではなかなか治らない症状があったり、薬を飲んでも良くならない人がいます。そこに有効な情報の1つとしてハーブやアロマ、鍼灸といった代替医療があるのです。例えば眠れない患者さんに対し、睡眠剤を増やしていくのではなく、カモミールのハーブティの情報をお伝えする。膀胱炎を繰り返す人に、その日は抗生剤を処方しても、予防的にクランベリーがあることをお伝えする。「薬を出して終わり」にはしないで、日常で予防できる方法もお伝えしています。

院内にはアロマの香りがしますがこれも予防になるのですか?

院内ではオリジナルブレンドの精油を炊いていますが、これは天然の抗菌作用があります。アロマを炊いておくことは自分の予防にもなりますし、呼吸器系で相談にくる患者さんを楽にしてあげることにも役立ちます。

例えば風邪が良い例ですが、家族のなかで1人風邪をひくと次は誰が移るのかとヒヤヒヤしますよね。でもまだ風邪をひいていないから薬は飲めない。しかし全員が予防をすることはできる。エキナセアなどのハーブティを飲んだり、アロマで空間を抗菌・殺菌したりして予防することは家族の健康を守ることになるのです。とにかく予防にも意識を向けてほしいのです。

先生ご自身も喘息をお持ちと聞きましたがどのようにケアしているのですか?

喘息、花粉症、アトピー、膠原病といったアレルギー性疾患は「これを飲んだら完治」という薬も残念ながらありません。だからこそ日々のストレスコントロールで予防することが大事なのです。発作が出そうになったら早めにケアして予防する。僕自身、喘息が治ったとは思っていないし、コントロールしているのです。そこにアロマやハーブは役立っていますが、かといってアロマやハーブだって本当に自分にとって必要なのか見極める必要があります。医薬品嫌いの人が代替医療だけに偏りがちですが、かといってサプリメントを10種類も飲んでいたりするのはおかしいです。まずは自分の症状、病名をきちんと知る必要があります。自分が思っているものと、実際の診断が違っていることも多いのです。情報に惑わされて何かに飛びつくのではなく、まずは勉強すること。そして自分に本当に必要なことかどうかをよく考えて上手にセルフケアをしてほしいと思います。

基本情報


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  • 所属いりたに内科クリニック
  • 所在地東京都杉並区和泉4-51-6
  • 最寄り駅方南町
  • TEL03−5305−5788
  • ホームページhttp://www.iritani.jp

著書