ユニチカ株式会社のハナビラタケ開発秘話

必要なサプリメントが見つかる情報サイト

vol02 ユニチカ株式会社 こんにゃくセラミドなどの独自素材で商品開発を行うユニチカさんでお話を聞いてきました。

相楽 まりこ SAGARA MARIKO

立教大学コミュニティ福祉学部卒業後、大学院では臨床心理学を学ぶ。その後、臨床心理士となり教育現場でのスクールカウンセラーとしての活動や、EAPにおける産業カウンセリングに従事。メディカルサプリメント指導士・食育指導士の資格を取得するなど、栄養指導の知識も有し、心身両面からのメンタルサポートをモットーに活動中。

福田 誠 HUKUDA MAKOTO

ユニチカ株式会社 生活健康事業部 営業グループ部員。ハナビラタケやセラミドなど自社の原料を使った健康補助食品や食品、生活雑貨を扱う通信販売の運営を行っている。ハナビラタケの「白幻鳳凰」シリーズ、ハナビラタケやこんにゃくセラミドなどを使ったサプリードシリーズを展開。

山元 英樹 YAMAMOTO HIDEKI

ユニチカ株式会社 生活健康事業部 製造・品質管理グループグループ長。自社工場で栽培するハナビラタケをはじめ、機能性の食品素材として、こんにゃく由来のセラミド、乳糖発酵物であるラクトビオン酸、みかん由来のβ-クリプトキサンチン、アラビノースなどの製造から品質管理、機能評価を管理・統括している。

ハナビラタケについて

相楽

「幻のキノコ」と呼ばれているハナビラタケは、まだ市場に出回るようになってからの期間も短いですし、身近なスーパーとかではなかなかお目にかかれないですよね。
いったいどんなキノコなのか、色々と教えてください!

福田

ハナビラタケは基本的に標高1,000メートル以上の高いところに生息しているキノコです。一般的なキノコは秋以降に採れるんですけど、ハナビラタケに関しては夏から秋にかけて、ちょっと早めに採れます。もともと天然のキノコとして、針葉樹の根元とか切り株に発生するんですね。みなさん、まだあまりご存じないキノコなのは、ハナビラタケの生育環境が非常に限られていて、なかなか見つからないというのが一番大きな理由です。実際、キノコ好きの方が山に探しに行っても天然のものはほとんど見つからないんです。栽培自体も非常に難しくて、今まで市場にあまり出回っていなかったんですけど、人工栽培に成功しまして、今は愛知県の豊橋市の工場で栽培することができています。

相楽

そもそもハナビラタケに注目したのには、何かきっかけがあったんですか?

福田

もともと弊社は繊維メーカーですが、40年くらい前からバイオ系の研究も行っていたんです。
例えば、水処理をするためのバイオの研究。また、バイオの技術を活用した医用材料であるカテーテルと呼ばれる管ですとか、キチン(※1)を使った創傷被覆保護材を開発し販売しています。その流れの中で、更なる新しい事業を立ち上げるためのプロジェクトチームが発足し、

バイオとうまく結び付く健康素材を探し始めました。色々な商材を研究した中から、この生理活性の高い(色々な働きがある)ハナビラタケに着目しまして、人工的に栽培して販売できないか、というのが始まりです。こちらに福島さんという方が紹介されているんですけど、もともと埼玉県の農業高校の先生だったこの方が、世界で初めてハナビラタケの人工栽培に成功しました。ただ、その栽培技術は小さい規模のものだったので、それを商業ベースにできないかということで、弊社と一緒に取り組ませていただきました。

(※1)
キチンとは、かに、えび、しゃこ、おきあみなどの甲殻類の殻、昆虫の外皮、きのこの細胞壁などを主原料とし、タンパク質、炭酸カルシウム、その他の余分な物を取り除いたもの。万能的な健康食品の素材としてだけでなく、人体との親和力に優れているという特長を活かし、人体に安全な医療用素材としても開発が進んでいる。人工皮膚や手術用の縫合糸、人工血管、人工臓器など、医療用現場で幅広く利用されている。

相楽

栽培が始まったのは今からどのくらい前の事ですか。

山元

研究を始めたのが今から約12年前で、栽培に成功してプラントが稼働したのが2003年です。
栽培に成功するまで3年ほどかかったことになりますね。

福田

人工栽培に時間がかかったのは、ハナビラタケの成長が非常にゆっくりという特徴も関係しているんですよ。普通のキノコですと、1ヶ月くらいでできてしまうんですけど、ハナビラタケは3ヶ月から4ヶ月かかってしまうんですね。成長するまでに期間がかかってしまうので、研究もなかなか進まない、時間がかかるという部分がありました。栽培に非常に手間がかかる分、値段が高くなってしまうという点もあります。

山元

よく松坂牛と比較されますよ(笑)

相楽

キノコ界の松坂牛クラスってことですか!
キノコは安いものだという固定概念がありますから、驚かれるかもしれませんね。でも、実はキノコには現代人にとって足りないものがたくさん詰まっていますから、栄養価でいえばとても高い価値がありますよ。あと、ハナビラタケって、「このまま食べられる」という点も魅力的ですよね。多くの健康素材が、そのまま食べても、おいしいものではなかったりするじゃないですか。だから、粉末にしたりとか様々な加工が加わりますけど、ハナビラタケはそのものがおいしいんですもんね。

山元

おいしいですね。歯ごたえがあります。

福田

食感は、キクラゲに近い感じで、こりこりしています。

相楽

そんなに歯ごたえがあるんですか!

福田

はい。
しかも火を通しても食感が落ちないんですよ。その上、多くのキノコは調理するとべちゃっとしますけど、ハナビラタケは嵩(かさ)が減らないという特徴があります。香りは独特です。

相楽

販売当初はめずらしいということで、中華料理とかフランス料理とか、高級料理のお店で扱われていました。白い色でこれだけの嵩がある食材があまりないので、重宝されていました。

ユニチカ公式サイトはこちら

免疫賦活作用について

相楽

ハナビラタケは他のキノコと比較して、栄養面で優れているとお聞きしたのですが。

山元

一番に挙げられるのがβ-グルカンの含有量ですね。実はハナビラタケといっても一種類じゃなくて、我々の研究の中では50くらいの菌株を集めて、その中で、栽培に適したもの、β-グルカン量の多いもの、それから肉厚で見た目もきれいなものを選んでいます。菌株によって厚みがペラペラなものもありますし、きれいな花びらになるものもあるし、ペタンとなってしまうものもあるんでね。その中から我々は3、4種類をピックアップして、特許を取得して栽培しているという状況です。

相楽

奥が深いですね!
数ある菌の中でも、成分面に一番優れたものを栽培して商品化しているんですね。
実際、β-グルカンは他のキノコと比較して何倍くらい含まれているんでしょうか。

福田

例えばアガリクスという一時期とても人気の出たキノコがあるんですけど、その3倍から4倍は含まれています。ハナビラタケ自体が乾燥体になった時に、大体40%以上、100g中43g程がβ-グルカンなので、つまり半分近くがβ-グルカンということですよね。

相楽

約半分ですか!それは多い!!

福田

更にですね、β-グルカンには色々な構造のものがあるんですけど、ハナビラタケは免疫調整作用が高いβ-(1,3)グルカンが70%以上と非常に多く含まれているので、この点も特異なキノコですね。

相楽

やはりこのβ-グルカンの量というのは、キノコの中ではハナビラタケが頭一つ出る感じなんですね。

山元

こちらに比較的β-グルカンの含有量が多いキノコを比較したデータがあるんですけど。
β-グルカンの量が多いキノコ同士を比較しても、ハナビラタケが一番ですね。
少し聞き馴染みのないキノコの名前ばかりかもしれません(笑)

相楽

私にとってはそうでもないですよ(笑)
でも一般的に、霊芝とかは「そんなキノコあるの?」って思う方がいるかもしれないですね。

福田

β-グルカン自体はキノコの細胞壁に含まれているものなので、多かれ少なかれどのキノコにも含まれてはいるんですけど、それがハナビラタケに関してはダントツに多くて、更に先程もお話したβ-(1,3)グルカンという構造のものが圧倒的に多いというのが特長ですね。

相楽

β-グルカンの話がずっと出ているんですけど、β-グルカンという成分は一般的には少し難しい印象を与える成分ではないかなぁといつも思うんですよ。もう少し分かりやすく、β-グルカンっていったい何?という部分が聞けたらなと思うんですけど(笑)

山元

難しいなー(笑)
ブドウ糖が連なったもの、ということなんですよね。

福田

糖質の一番小さいものが単糖類と呼ばれるブドウ糖などで、それの繋がり方、結合の仕方によってα結合とかβ結合というものがあり、β結合したグルカンの1番目と3番目の所が枝のようなものが分かれて繋がった構造をしているのがβ-(1,3)グルカンです。

山元

β-(1,3)グルカンがなぜ良いのかという一つの理由としましては、キノコ由来の抗腫瘍剤というものがありまして、この構造と、ハナビラタケのβ-(1,3)グルカンが良く似た構造をしていると言う事です。
構造が似ているので、同じような働きで、効果があるのではないかと考えています。

相楽

体内での働きで似たような効果が得られるということですね。
臨床上の使用目的というのは抗がんですか?

福田

そうですね。
β-グルカンというものは何らかの生理活性があるということで、シイタケとかカワラダケとかスエヒロダケとかから抽出されたβ-グルカンを使ったがんの薬が存在します。
キノコは多かれ少なかれβ-グルカンを含んでいますので、薬の場合はそれを精製して非常に濃いβ-グルカンとして利用しているということですね。
ハナビラタケにはそれがもう自然にもともと含まれているということです。

相楽

キノコのパワーはやっぱりすごいんですね~。

あの、私は良く思うんですけど、これだけβ-グルカンが豊富に含まれているとなると、どうしても抗がん作用だけに注目が集まりがちじゃないでしょうか。
一般的には、「○○を食べると○○に効く」とか、「ダイエットには○○が良い」というフレーズが分かりやすくて好まれがちですから。
でも、本当は、β-グルカンを豊富に含むハナビラタケを食べる
と、体内で免疫力を活性化する働きかけがある、そこが一番重要な真実ですよね。

山元

そうですね。

福田

抗腫瘍に関しては、がん細胞を持ったラットの動物試験で、ハナビラタケの粉末を投与したらどうなったかというデータがあります。
結果として、腫瘍のサイズが大きくならなかったんですね。

山元

通常ですと、がん細胞はどんどん大きくなっていくんですけど、ハナビラタケを同時に摂取することで、大きくなるスピードが抑えられたということですね。あと、がんはよく転移すると言われていますけど、それもハナビラタケの摂取によって抑制することができたとのデータがあります。機構的に重要な作用は二つありまして、一つは、免疫のバランスを保って免疫力を亢進する作用。もう一方は、がんは血管が異常に発達する事でエネルギーが供給されどんどん発達してしまうんですけど、この血管新生を抑える作用です。

以上の二つの作用によってβ-グルカンが抗腫瘍活性を持つという風に考えています。あと、実はもう一つ重要なのがあるんですけど、それはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)(※2)を増強する作用です。

(※2)
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは、自然免疫の働きを持つ大型のリンパ球の一種。生まれつき(ナチュラル)外敵を殺傷する(キラー)能力を備えた細胞、という意味で名付けられた。肝臓や脾臓に比較的豊富に存在しつつ、体内で広く活動し、腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの異常細胞を単独で直接破壊する性質を持つ。いかにすればNK細胞が活性化され様々な病気の治癒につながるのか、研究が盛んに行われている。

相楽

NK細胞が活性化されるということは、がんに限らず様々な病気と闘ってくれるということですよね。

福田

こちらは人で試験ができるので、データがあります。
ハナビラタケを食べた事でNK細胞が実際に活性化されたデータです。食べている間は数値が上がって、食べるのをやめたら下がったんです。

相楽

では、食べ続けるってことも大切なんですね。

福田

そうですね。
健康な方の場合でしたら、毎日体の中で発生する有害なものを排除する力がバランス良く発揮されているんですけど、ストレスがたまっていたり歳をとったりして免疫力が低下してしまっている方は、ハナビラタケを摂取して免疫力を維持していくことが大事です。

ユニチカ公式サイトはこちら

その他の作用について

山元

ハナビラタケにどのような働きがあるかは、がん以外にも色々なデータと文献があります。
抗アレルギーと、美肌、美白などの美容に関してですね。
あと抗酸化活性に関してもデータがあります。

相楽

全部2000年代のデータですね。
どの資料もしっかり実験に基づいたデータなのでとても信頼性がある上、分かりやすいです。
個人的には美肌効果が気になるので、詳しくお伺いしたいんですけど(笑)

山元

ハナビラタケの美肌作用を評価しているのは、「コラーゲン産生促進」と「血管新生抑制」と「創傷治癒(そうしょうちゆ)促進作用」などです。
血管新生はがんの所でも話が出ましたけど、シワの発生に関係していると言われています。

福田

あと、創傷治癒に関連するんですけど、紫外線で受けたダメージに対して効果があって、メラニン色素を抑えてくれるんです。ハナビラタケの美肌効果は、お肌の表面というよりか、コラーゲン産生など体の内部の真皮に働きかけるものですね。免疫の活性によって体が健康になってもらい、それがお肌の健康にも繋がってくるだろうという考えです。

相楽

美肌っていっても、お肌のたるみであったりシワであったりシミであったり、色んな問題が

あるんですけど、ハナビラタケのデータを拝見していると、そういった部分にトータルで効果が期待できそうですね。美肌メニューとしてハナビラタケを使った料理を出してくれる料理店があったら多くの女性が喜ぶだろうな~。

福田

あと、アトピーや花粉症などのアレルギー症状が和らぐというデータもありますよ。
マウスの実験なんですけど、アトピーのマウスに対しハナビラタケを与えたマウスは与えなかったマウスと比較して皮膚をひっかく回数が減ったというデータがあります。

山元

アレルギーも免疫のバランスが崩れているから起こるのであって、ハナビラタケが含んでいる免疫を調整する因子によって効果が得られる、というメカニズムです。

相楽

花粉症などのアレルギーで悩んでいらっしゃる方は今非常に多くて、みなさん色々なものを試していらっしゃるでしょうけど、ハナビラタケをまだ試した事のない方は一度トライしていただきたいですね。

山元

そうですね。
ハナビラタケはやはり免疫系の活性を期待して興味を持ってくれる方が多くいらっしゃると思いますので、アレルギー関連など、今後もっとヒトでのデータを蓄積していけたらなと思いますね。

福田

私は、まず「ハナビラタケはおいしい」という事をもっと多くの方に知ってほしいです。
元々ハナビラタケの栽培に尽力した福島先生も、ハナビラタケはおいしいキノコであるということを、みんなに知ってもらいたくて、栽培を頑張ったという経緯もあるくらいなんです。味も非常においしいです。

相楽

私も、今日実際にハナビラタケを目の前にして、見た目からもすごく味が気になって食べてみたいと思いましたし、話を聞いて更に食べたい気持ちが強まりました。
純粋においしそう、というのは、健康食品としては珍しいですもんね。

福田

実際に販売しているものを用意していますので、ぜひ召し上がってください。ハナビラタケを使ったレシピのパンフレットがあって、これはHPにも公開しています。香りが楽しめるのは炒め物なんかがおすすめです。歯ごたえで言えば、サッとゆでてサラダにしてもいいですしね。

山元

β-グルカンは熱を加えたりしてもほとんど壊れない安定した成分なので、鍋などもおすすめです。

福田

料理すると簡単に失われる成分もありますけど、ハナビラタケはその点でも本当に嬉しい素材ですね。家に帰ったら早速料理していただこうと思います!
今日は本当にありがとうございました。

三人

ありがとうございました。

ユニチカ公式サイトはこちら

編集後記

今回の取材で最も印象に残ったのは、「ハナビラタケは他のどのキノコとも違う特別なおいしさがある」という事です。
取材後、実際に家で「ユニチカハナビラタケレシピ」を参考に、「ハナビラタケとホウレンソウのサラダ」と「ハナビラタケと豚肉の中華丼」を作りました。食べてみたら、話で聞いて期待していた通りの歯ごたえと、じわっと感じるうま味で、本当においしかったです。これで健康にも美容にも抜群の効果があるんだと思うと、もっと市場に出回って多くの方に食べてもらいたい!と切に感じました。見た目の美しさもあり、ハナビラタケはまさに「キノコの女王」です!