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クレアチニン(Cr)

腎臓機能の衰えが分かる項目

クレアチニンはいわゆる体内の老廃物。筋肉を動かすエネルギーとなるクレアチンリン酸が体内で分解されることでつくられます。クレアチニンは血液中に含まれ、腎臓でろ過されたのち尿として体外へ排出されます。しかし、腎臓に何かしらの異常が起きた場合、その機能は低下。血液中のクレアチニンが排出されにくくなり、体内に溜まってしまいます。つまり、血液中のクレアチニン濃度が高い場合、腎臓が十分にはたらいていないことを意味するのです。

基準値と異常値

クレアチニン値が低いほど、腎機能が低下している

クレアチニンの数値をあらわす場合、単位はmg/dL。クレアチニンの基準値は各検査機関によって異なりますが、人間ドック学会では、男性は1.00以下、女性では0.70以下を基準値として採用しています。 男性の場合1.01~1.29は要注意、1.30以上が異常と診断。女性は0.71~0.99が要注意、1.00以上が異常とされます。
腎臓のはたらきは、推算糸球体ろ過量(eGFR)で測定できます。eGFRとは、腎臓がどれだけ体内の老廃物を尿として排泄できるかを示す指標のこと。血清クレアチニン値、年齢、性別などによって算出されます。腎臓機能区分としてはG1~G5に分類。eGFRの数値が90以上であれば腎機能は正常~高値とされ、値が低いほど腎機能が低下していることになります。

異常値になる原因

クレアチニン値異常の原因は不規則な生活にアリ

クレアチニンが異常値になる原因はさまざまですが、代表的なものとしてメタボや過剰飲酒、過労などがあげられます。
なかでも、メタボ(メタボリックシンドローム)は慢性腎臓病の発症に関わっていて、特に内臓脂肪が多い腹部肥満では腎臓のはたらきを低下させるおそれがあるのです。
また、適度な飲酒は良いのですが、アルコールの摂り過ぎは血圧を上昇させるため腎臓に負担がかかりやすくなります。過労も腎臓の血流量を低下させることにつながり、腎臓のはたらきを悪くします。
そのため、不規則な生活をしている人は、普段の生活習慣の見直しが必要です。

放っておくとこんな病気に

異常値が続くとさまざまな腎臓疾患をまねく

クレアチニンは腎臓が正常にはたらいているかを示す手がかり。しかし、クレアチニンが体内で溜まり数値が高い状態が続くと、身体にさまざまな変化を引き起こすおそれがあるのです。ここでは、異常値が続いた時に起こりやすい病気についてご紹介します。

  • 急性腎炎

    急性腎炎は、腎臓が炎症を起こすことにより、突然血尿が出る病気です。軽度の腎機能低下に加え、高血圧やむくみなどの症状をともないます。抗生物質の使用と安静により約1か月以内で改善されることが多いです。
  • 慢性腎炎

    慢性腎炎は、血尿に加えたんぱく尿が長期間続くのが特徴です。進行すると腎不全を発症するおそれが。特にたんぱく尿が多いほど腎不全になりやすいとされています。
  • 腎臓結石

    腎臓内にできた結石のことを腎臓結石と呼びます。腎臓に結石ができた場合、痛みはほとんどありませんが、結石が腎臓から移動して尿管や膀胱で詰まってしまうと、腰から背中にかけて痛みをともなうことがあります。この痛みは結石が尿とともに排泄されるまで続きます。
  • 腎不全

    腎臓のはたらきが正常時の30%以下になった状態を腎不全と呼びます。腎不全は、数日~数週間で発症する「急性腎不全」と、数年以上かけて発症する「慢性腎不全」の2種類。急性腎不全は治療で回復可能ですが、慢性腎不全は腎機能の回復が急性腎不全よりも困難です。
  • 尿毒症

    尿毒症は、腎臓機能が極度に下がることで生じる全身の変化のこと。急性または慢性の腎臓障害が進行した時に生じる症状です。体がだるくなったり疲れやすくなったりするほか、むくみや呼吸困難、食欲低下、睡眠障害、けいれんなどの症状を引き起こします。

病気にならないためにも食生活や生活習慣の見直しが大切

クレアチニン値が基準よりも高くなると、腎臓のはたらきが悪くなりさまざまな病気を引き起こします。そのまま放っておくと、病気が進行し透析治療が必要になることも。そうならないためにも、まずは普段のクレアチニン値を把握しましょう。日々の食生活や生活習慣の見直し・改善が治療の基本となります。

正常値に戻す方法

身体に優しい食事を心がけ利尿効果を上げて、腎臓を元気にしよう

手間をかけずに改善できるよう、クレアチニン値を上げる食生活や、取り入れたいコンビニ食、運動方法、生活習慣の見直し方を解説しています。クレアチニンを正常値に戻したい方はもちろん、日頃から食生活に気をつけている人や健康的な生活をしている人にも参考にして下さい。

食事

腎臓に負担をかけない食事を心がけよう

腎臓は体内のミネラルや水分のバランス調整を行っている臓器。クレアチニンの数値が高い場合、腎機能に負担がかかっている状態です。腎臓のはたらきが悪くなると、上手に水分や塩分の排泄ができなくなります。
そんな腎臓の状態でたんぱく質や塩分を摂り過ぎると、さらに腎臓に負担がかかります。クレアチニン値を上げないためにも塩分やたんぱく質の摂取量を調整しましょう。
また、アルコールも腎臓に負担をかける要因の一つ。お酒が好きな人は飲み過ぎに注意し、節酒を心がけましょう。クレアチニン値が高い場合は、尿の排泄が衰えていることが多いので、利尿効果のある豆類を意識的に摂るのもおすすめです。

手軽に対策できるおすすめのコンビニ食

おだしをきかせた筑前煮
おだしをきかせた筑前煮

引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/sidedishes/2230313.html

筑前煮に入っているごぼうやれんこんなどは食物繊維やカリウムを豊富に含んでおり、老廃物の排出をサポートしてくれます。
ちらし寿司弁当
ちらし寿司弁当

引用元:セブンイレブン
http://www.sej.co.jp/i/item/320100047647.html?category=&page=1

れんこんやごぼう、黒豆など、クレアチニン値を正常値に戻す成分が含まれた食材が盛り込まれている弁当です。
根菜とひじきのごまマヨサラダ
根菜とひじきのごまマヨサラダ

引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/salad/1220728.html

にんじんやごぼう、れんこんなどをひじきと炒め、マヨネーズで和えた惣菜サラダ。食物繊維を豊富に含んでいます。
しじみ
しじみの味噌汁

引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/processed_foods/3930625.html

しじみには、アンモニアの解毒作用があるオルニチンが豊富に含まれています。スープ一杯でしじみ100個ぶんのオルニチンが摂取できます。
こうや豆腐
こうや豆腐

引用元:セブンイレブン
http://www.sej.co.jp/i/item/300101101387.html?category=166&page=1

おだしがしっかりと染み込んだ高野豆腐。高野豆腐には腎機能の回復と高血圧改善効果が期待できる成分・サポニンが含まれています。
おはぎ(つぶあん)
おはぎ(つぶあん)

引用元:ローソン
http://www.lawson.co.jp/recommend/original/detail/1303872_1996.html

お弁当と一緒に購入しやすい北海道産きたろまん小豆を使用したおはぎです。小豆は尿の排泄を促すはたらきがあります。

腎臓に良い食材を普段の食事にプラスしよう

小豆やれんこん、ごぼうなど、腎臓のはたらきをサポートする食材はたくさんあります。このような食材を普段の食事にプラスして、積極的に摂るようにするのがベスト。近年ではコンビニに惣菜やパックなどで販売されていることも多いので、コンビニで買えるものから少しずつ取り入れるのが良いでしょう。
ただし、塩分やたんぱく質の摂り過ぎはかえって腎臓に負担をかけてしまうおそれがあるので、その点は注意してください。また、アルコールの摂取量もきちんと守ることが重要です。

運動

簡単にできる運動で正常値に戻せる

正常値に戻すには「毛管運動」が効果的です。
「毛管運動」とは、仰向けになって体に対して手足を垂直に上へ伸ばし、小刻みに動かす運動。この運動によって毛細血管への血流が改善されます。
1分ほど動かしたら休憩。これを3セット、朝晩2回行うと良いでしょう。
また、有酸素運動を取り入れるのもおすすめ。1~2駅前で電車を降りて歩いたり、階段を利用したりすることで、簡単に有酸素運動を取り入れられます。
ただし、腎臓に関する検査を行う前に激しい運動をするとクレアチニン値を高めてしまうので、検査前の運動は控えましょう。

生活習慣

節煙・節酒で腎機能の低下を抑える

お酒を飲み過ぎるとクレアチニン値が高くなります。とはいえ、いきなり禁酒するのは無理な話。ストレスが溜まらないよう、まずは節酒からはじめましょう。
また、喫煙も腎機能低下に関与しています。負担を軽減するためにも節煙・禁煙を心がけましょう。
自宅で簡単に取り入れられる対策として、足ツボも腎機能アップにおすすめ。足裏中央付近の「湧泉」と呼ばれるツボを刺激することで、腎機能低下の予防や改善が期待できます。
ほかにも、足首からひざにかけてふくらはぎをマッサージすることで血流が改善。腎機能の改善につながるとされています。

積極的に摂りたい成分

サポニン マメ科の植物に多く含まれるサポニン。水に油脂を溶かす界面活性作用があり、腎臓の毛細血管に溜まった古い脂質を溶かしてくれます。このはたらきにより、腎機能の回復と高血圧の改善が期待できるのです。
カリウム カリウムは大豆や小豆などの豆類をはじめ、海藻やいも類などに多く含まれています。カリウムには腎臓でナトリウムの再吸収を抑えて尿中への排出を促す作用が。そのため、血圧を下げる効果が期待できます。
ノコギリヤシ ヤシ科の植物であるノコギリヤシには、β-シトステロールやオクタサノールという成分が含まれています。これらの成分は排尿障害の改善に役立つことから、腎機能の向上が期待できます。
L-シトルリン L-シトルリンはアミノ酸の一種。シトルリンには体内で発生した有害なアンモニアを無害化して、体外へと排出する作用があります。これにより腎臓の負担を緩和することができるのです。
オルニチン しじみやきのこに多く含まれているオルニチンは、アミノ酸の一種です。オルニチンにはアンモニアの解毒作用があり、肝臓内で尿素に分解する作用をサポート。腎臓のはたらきを助け、負担を減らしてくれます。
桑の葉 桑の葉にはビタミン類やミネラル、食物繊維、カロテンなど、栄養が豊富に含まれています。ビタミンB1には利尿作用を助けるはたらきがあり、カリウムには血圧上昇を抑え腎臓の塩分・老廃物の排泄を促す効果が期待できます。

クレアチニン値を正常に戻したいなら成分に目を向けるべし

腎臓のはたらきが低下した場合、腎臓の負担を減らすために食べるものや摂取量などを見直す必要があります。そうなる前に、クレアチニンを正常値に戻す成分が含まれた食材を取り入れるようにすると良いですね。また、手軽に取り入れられるサプリメントで不足しがちな栄養を補うのも良いでしょう。

引っかかりやすい人の特徴と割合

  • 高血圧症
  • 糖尿病
  • メタボリックシンドロームまたは予備軍
  • タバコを吸う
  • お酒をたくさん飲む
  • 尿検査の蛋白の項目もひっかかった

家族歴や尿蛋白の結果にも注目しましょう

上記に該当する人、または家族に上記の項目が当てはまる人は、慢性腎臓病にかかりやすいと言われています。また、クレアチニン値が正常値でも尿検査の蛋白の項目にひっかかった人はご注意を。蛋白は本来尿に含まれない成分ですが、腎機能が低下していると尿と一緒に排出されてしまいます。お心当たりのある方は、ぜひこの機に対策してみてください。

まとめ
  • 塩分やたんぱく質の摂り過ぎに注意
  • 食生活や生活習慣を改善しよう
  • 節煙や節酒を心がけよう
  • 有酸素運動を取り入れよう

食生活や生活習慣を見直して正常値維持を心がけよう

腎機能は低下すると回復が難しいとされています。普段の食事や生活習慣を見直して、正常なクレアチニン値を維持することを心がけましょう。日頃から軽い運動を取り入れるほか、正常値に戻すのに効果的な成分を含んだ食材を摂取しましょう。近年ではサプリメントなども充実しているので、好きなものを食べたいという方は活用してみるのも手です。