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ALT(GPT)

数値が上がってしまうのはなぜ?

ALTは、自覚症状が出にくいと言われる肝臓の異常を判断するための数値。たんぱく質を分解しアミノ酸をつくるはたらきをしています。体内にあるALTのほとんどが肝臓に存在し、肝細胞が壊れることで血液中に漏れ出してしまいます。この数値が基準値より高い場合、脂肪肝や肝硬変など肝臓に何かしらの異常が発生しているという疑いが強くなります。

基準値と異常値

基準値以内でも注意が必要って本当?

ALTの基準値の判断は検査機関や測定方法によって異なりますが、特定検診では30 IU/L以下を正常値、31~50で要注意、51以上は異常値と定められています。 ただし、数値が基準値以内であっても20 IU/Lを超えている場合は注意したほうが良いかもしれません。その人の食生活や体格によっては、基準値より低くても肝臓がダメージを受けている可能性があるためです。「基準値を超えていないから大丈夫」と安心して変わらない生活を続けていると、知らずのうちに肝臓ダメージが蓄積してしまうおそれがあります。そうなる前に食生活や生活習慣を見直し、肝臓の健康状態を改善していきましょう。

異常値になる原因

肝臓に何らかの障害が起こっている場合に上昇するALTの値。明らかな異常値の場合は、医師の治療を必要とする病気である疑いが強いですが、やや高めな数値になる原因でいちばん多いとされる症状が「脂肪肝」です。脂肪肝の原因は、メタボ・肥満・食べすぎ・飲みすぎ・運動不足が原因となり発症することが多いと言われています。
脂肪肝を招く肥満やメタボの原因はさまざまですが、そのひとつとして糖質の取りすぎが考えられます。糖質はエネルギーとして使用されなかった場合、中性脂肪として蓄えられやすいという特徴があります。特に肝臓に溜まりやすく、肝臓に中性脂肪がたまることで発症する脂肪肝は、アルコールの飲みすぎや食べすぎが原因と言われています。

放っておくとこんな病気に

ALTの上昇はいろいろな病気のサイン

生活習慣の乱れからくる高ALT値は、食生活や運動不足を改善することですぐに良くなります。そのため、医師も患者もあまり深刻には捉えていないことが多いのですが、放置は禁物。 そのままにしておくと、いろいろな病気へ進行してしまうおそれがあります。
高ALT値が原因で発症しやすい病気をいくつか見ていきましょう。

  • 慢性肝炎

    ALT・ASTともに100IU/L前後の場合、肥満・糖尿病などで肝細胞に中性脂肪が蓄積され脂肪肝になり、慢性肝炎の一種である脂肪性肝炎を引き起こしてしまうおそれがあります。
  • 肝硬変

    ALT・ASTともに100IU/L前後の場合、脂肪性肝炎やその他の慢性肝炎が続いたり、内臓組織が以上に増殖する「線維化」が進んでしまったりすると、肝硬変に進行してしまう可能性があります。
  • 胆石

    ASTよりALTが高い場合に起こりうる症状。胆汁(肝臓でつくられ胆のうへ送り出される消化液)にコレステロールが過剰に含まれていると、胆汁が結晶化してコレステロール胆石になります。
  • アルコール性肝障害

    ALTよりASTが高い場合に起こりうる症状です。飲みすぎが原因で最初に発症するのが脂肪肝で、放置するとアルコール性肝炎やアルコール性肝硬変などに発展します。重篤なアルコール性肝障害へと進行してしまうことも多いので、ビールなら1日にロング缶2本、日本酒なら2合程度を上限として飲むようにしましょう。
  • 肝臓がん

    ALTよりASTが高い場合に起こりうる症状です。慢性肝炎や肝硬変で肝臓の線維化が進んでしまうことで、肝臓がんを発症するリスクが高くなります。
  • 心筋梗塞

    ASTは心臓や骨に多く存在するため、ALTの上昇が軽度でASTがとても高い数値を示すと、心臓で異常が起こっている可能性が非常に高くなります。

基本は生活習慣の改善

いろいろな病気と深く関わるALTの値は、生活習慣を改善し、肝臓への負担を減らすことが治療の基本となります。バランスの取れた食生活と適度な運動を心がけ、健康的な生活を送るようにしましょう。

正常値に戻す方法

まずは食生活改善と軽い運動を始めましょう

上がってしまったALTの数値を下げるには食生活や適度な運動が大切です。正常値に戻すために心がけたい食生活や運動、生活習慣について紹介します。基本的な生活習慣から「忙しくて自炊している時間がない」という人でも生活に取り入れやすいおすすめのコンビニ弁当の情報は、すでに改善対策を行っている人も参考になるようまとめました。

食事

節酒と糖質の摂取量の5%削減を目指そう

食事量を現在の8割程度に抑えて、糖質の過剰摂取を避けましょう。パンやご飯、ラーメンなどの炭水化物やジュースなどの甘い飲み物には糖質が多く含まれるため要注意です。
また、アルコールは健康を害しない程度に飲むことが大切。1度にたくさんの量を飲まないよう心がけることはもちろん、週に1~2日は休肝日を設けましょう。またアルコールを飲むときは、唐揚げやナッツ類、スナック菓子などのおつまみ、飲んだ後のラーメンや牛丼などで糖質や脂質を摂りすぎてしまいがち。飲酒の際はアルコール量だけではなく食べ物にも気をつけましょう。

手軽に対策できるおすすめのコンビニ食

しじみの味噌汁
しじみの味噌汁

引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/processed_foods/3930625.html

毎日飲み続けやすい味噌汁です。しじみに含まれるオルニチンは、肝臓にダメージを与えるアンモニアを尿素に変えてくれます。
牛すき丼
牛すき丼

引用元:ローソン
http://www.lawson.co.jp/recommend/original/detail/1328344_1996.html

豆腐の原材料である大豆に含まれるサポニンは脂質の酸化を抑制してくれるので、高脂質の食事の際に併せて摂るとオススメ。
炙り焼さば御飯
炙り焼さば御飯

引用元:セブンイレブン
http://www.sej.co.jp/i/item/12000004070400.html?category=343&page=1

さんまやサバなどの青魚に含まれる成分は、肝臓にダメージを与える活性酸素を除去するはたらきがあります。
1/2日分の野菜が摂れるちゃんぽん風スープ
1/2日分の野菜が摂れるちゃんぽん風スープ

引用元:もぐなび
https://mognavi.jp/food/1715778

緑黄色野菜に多く含まれるビタミンは脂肪の代謝や分解をサポートしてくれるので、肝臓に脂肪が溜まるのを予防してくれます。
グリルチキン&彩り野菜
グリルチキン&彩り野菜

引用元:ローソン
http://www.lawson.co.jp/recommend/original/detail/1331838_1996.html

脂質の少ない鶏肉とビタミンを多く含む緑黄色野菜は、ヘルシーで肝臓に優しい組み合わせです。
サラダチキン(シトラスレモン)
サラダチキン(シトラスレモン)

引用元:セブンイレブン
https://7premium.jp/product/search/detail?id=3932

鶏むね肉とレモンのクエン酸の相乗効果で消化酵素のはたらきがUP。肝臓の代謝が良くなります。

肝臓に良い食材を上手に組み合わせる

ほうれん草や人参、しじみをはじめ、肝臓に良いとされる食材はたくさんあります。食材を上手に組み合わせて普段の食事に取り入れましょう。
続けていくことで肝臓の負担が減り、溜まってしまった脂肪を排出できる体づくりを目指せます。肝臓の状態を悪化させてしまう代表的な原因は糖質や脂質、アルコールの摂りすぎです。適切な食事量と飲酒量をきちんと守り、ALTを正常値に戻していきましょう。

運動

肝臓の脂肪には運動が効果的

肝臓内に蓄積された中性脂肪は有酸素運動で減りやすいという特徴があります。「ひとつ手前の駅から歩く」「自転車で通勤する」などで1回30分の有酸素運動を週3回ほど行いましょう。また筋肉量が増えると代謝が高まり中性脂肪がつきにくい体になるので筋力トレーニングもおすすめです。どちらも続けることが大切ですので、無理せず自分が楽しく運動できる方法を見つけてください。
ちなみに、血液中のALTの値は運動や疲労によって変化するため、ALT検査前は激しい運動を避けてください。

生活習慣

禁煙や節酒を心がけましょう

過剰飲酒はもちろん、節煙・禁煙を心がけてください。 喫煙は血流を悪くするため肝臓への血流も悪くなりALTのはたらきを落としてしまいます。慢性的になると肝障害に陥ってしまう可能性もありますので、禁煙を目指していきましょう。タバコをガマンできない方は本数を減らすことから始めてみてください。
他にも、しっかりと睡眠をとることで脂肪を燃焼しやすい身体へとシフトチェンジされます。肝臓への負担を減らしたい場合は「休肝日を週1~2日設ける」「禁煙」「6時間以上の睡眠」という生活習慣を心がけましょう。

積極的に摂りたい成分

オルニチン オルニチンは肝臓に害のあるアンモニアを尿素へと分解します。食べすぎやアルコールの飲みすぎでオルニチンが不足すると、アンモニアが増え肝臓がダメージを受けてしまうため、積極的に摂取したい成分です。
亜鉛 亜鉛は、肝臓の回復に必須。ストレスや多飲が原因で不足し、肝臓のダメージを修復する機能が低下。ALTのはたらきが弱ってしまいます。肝臓は自己再生能力が高い臓器なので、亜鉛を摂って肝臓の機能回復を図りましょう。
タウリン 貝類や甲殻類に多く含まれるタウリンは、肝臓の細胞を再生するのに必要な成分です。タウリンが不足すると肝臓の自己再生能力が落ちてしまい、肝臓の機能低下を招くおそれがあります。
必須アミノ酸 人間の体内ではつくることができない9つのアミノ酸で、肝障害のある人は必須アミノ酸のバランスが崩れがち。バランスが良くなるように摂取することで肝臓の状態の改善が期待されます。
必須アミノ酸 緑黄色野菜や果物に多く含まれています。代謝を良くしてくれるはたらきを持っており、脂肪の燃焼を促進。そのため、肝臓に脂肪が蓄積されるのを予防してくれます。

成分の効果的な摂取方法

肝臓に良い食べ物を積極的に普段の食事に取り入れ、野菜中心の食生活に改善することで肝臓の状態は良くなっていきます。しじみや牡蠣の味噌汁は手軽に取り入れられる市販のインスタント食品がおすすめです。 仕事などで忙しい生活を送っていると、毎回食事に気を遣うというのは簡単ではないという方も多いハズ。その場合は、肝臓に良い成分を含むサプリメントを摂取してみるのもひとつの手です。

引っかかりやすい人の特徴と割合

  • お酒が大好きで飲む回数や量が多い
  • 忙しくてコンビニ弁当をよく食べる
  • たばこを吸う習慣がある
  • 慢性的な睡眠不足
  • 健康診断で肥満・メタボを指摘された

仕事中心の生活を送っている方はご用心

このような特徴から「仕事で忙しく食事がおろそかになりがち」「付き合いでの飲酒の機会が多い」というはたらき盛りの男性の割合が非常に高くなります。
ほかにも甘いものやお菓子が好きな人、食事量を極端に制限したダイエットをしている人、ストレスを溜め込んでしまう人も要注意です。

まとめ
  • 野菜中心の食生活にする
  • オルニチン・亜鉛・タウリンを摂取する
  • 運動するよう心がける
  • お酒の量や飲む回数を控える
  • 禁煙する

食生活と生活習慣の改善が大切

ALTの値を下げるには食生活の改善と体に悪い生活習慣を改めることが大切です。その中でもいちばん気をつけたいのは食事です。特にダメージを受けてしまった肝臓を改善するために、修復に必要な成分を摂取していきましょう。食事での摂取は難しいという人もサプリメントであれば手軽に効率良く摂取できるので検討してみてはいかがでしょうか。