名前から探す

オリゴ乳酸の効果とその作用

サトウダイコンやテンサイなどの野菜に含まれる天然糖類を原料にした、多機能成分「オリゴ乳酸」についてご紹介しています。これまで乳酸は「疲労の原因」といわれてきましたが、近年の研究で疲労を回復に必要なエネルギー源だということが明らかになりました。ここでは、オリゴ乳酸がエネルギーとなる仕組みや腸内環境を改善して体内の善玉菌を増やす作用などについて、わかりやすく解説しています。オリゴ乳酸の効果効能や安全性に関する情報もまとめています。

医学・薬学博士 田口茂先生監修

オリゴ乳酸とはどのような成分か

オリゴ乳酸とは、トウモロコシやテンサイ、サトウダイコンなどの野菜に含まれる天然の糖類を乳酸菌で発酵させて抽出した乳酸を原料にして、特殊な技術で脱水縮合させ、粉末化した成分です。

抗がん剤の研究をする過程で偶然発見された成分で、30年以上も前から特定の疾患がある患者さんへの臨床などにも応用されてきた経緯があります。

乳酸と聞くと、「疲労の原因となる物質」というイメージが強いと思いますが、近年の研究では疲労を回復するエネルギー源のひとつであることがわかっています。[※1]

乳酸に関する昔の研究情報

  • 糖をエネルギーとして利用したあとにできる老廃物
  • 体に溜まると疲労の原因となる

2004年以降の研究で明らかになった情報

  • 糖を分解する際に生まれる物質
  • 酵素のはたらきによってエネルギーに変換される
  • エネルギーに変換されなかった乳酸は、血流にのって肝臓へ移動する
  • 肝臓に行きついた乳酸は糖に再合成されるため、エネルギーとして何度でも利用できる

オリゴ乳酸は、その名前からオリゴ糖や乳酸、乳酸菌と混同されがちです。それぞれの違いもわかりやすく説明していきます。

(1)オリゴ糖とオリゴ乳酸の違い

「オリゴ」とは、複数個の分子が結合している状態を意味します。

オリゴ糖は複数の糖が結合したもの(分子量は300~3000程度)ですが、オリゴ乳酸のオリゴは「オリゴマー」の略で、比較的少ない数の分子(3~22程度)が結合した成分、という違いがあります。

(2)乳酸とオリゴ乳酸の違い

  • 乳酸…炭素原子が結合してできた有機化合物
  • オリゴ乳酸…乳酸分子が複数個結合した成分

つまりオリゴ乳酸は、複数個の乳酸をまとめて効率よく摂取できる成分です。ただし、乳酸分子の数が多すぎるオリゴ乳酸は分解しづらく、体に吸収されにくい傾向があります。

そのため、健康食品には、最も体に吸収されやすい構造のオリゴ乳酸(3~22個の乳酸分子を直鎖状に結合したもの)が使用されています。体に吸収された分だけ体内で利用されるため、乳酸よりも高い効果が期待できます。

(3)乳酸菌とオリゴ乳酸の違い

乳酸菌オリゴ乳酸
  • 乳酸をつくる微生物
  • 糖を食べたあとに乳酸を生み出す
  • 胃酸で死滅する
  • 腸内環境を整える
    (※ただし腸に住みつきにくい)
  • 乳酸を濃縮したもの
  • 分解・吸収されずに腸まで届く
  • 乳酸菌を増やすはたらきがある
  • 腸内環境を整える

オリゴ乳酸は乳酸菌よりも腸に届きやすいのが特徴です。腸に届いたオリゴ乳酸は、エネルギーとして利用されるほか、乳酸菌(善玉菌の一種)を増やす役割も担っています。

腸内環境を整える効果が高く、健康維持に役立ちます。

オリゴ乳酸の効果・効能

オリゴ乳酸は、次のような症状・疾患を改善する効果が期待できます。[※2][※3]

■メタボリックシンドローム

血液中のコレステロール量を減らすはたらきが確認されており、メタボリックシンドロームの予防に効果的です。また、脂肪燃焼を促す効果があるといわれています。

■高血糖・糖尿病

オリゴ乳酸を摂取すると血糖値の上昇が抑えられるため、高血糖や2型糖尿病の予防に有効です。

■アレルギー

オリゴ乳酸の整腸作用によって、アレルギー反応を引き起こす物質が分解されやすくなります。その作用により、花粉症や発疹などのアレルギー症状を抑える効果が期待されています。

■胃炎・胃潰瘍

オリゴ乳酸にはピロリ菌の増殖を防ぐはたらきがあるため、胃炎や胃潰瘍の予防ができると考えられています。

■がん

オリゴ乳酸を摂取すると、がん細胞の活性が弱まり、がんの転移を抑制する効果が得られるという研究結果があります。

また、オリゴ乳酸は、放射能によって発生する活性酸素(一重項酸素)のはたらきを弱める作用があるため、細胞を守り、がん細胞が発生リスクを下げる効果があります。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

オリゴ乳酸には、善玉菌を増やして腸内環境を整えるはたらきがあるため、次のような作用が連鎖して起こります。

■腸内環境が改善することで期待できる作用と効果

  • 栄養の吸収率が高まる→体の健康状態が保たれる
  • 老廃物の排出が促される→便秘改善
  • たんぱく質やアミノ酸代謝物質が適切に分解される→アレルギー症状が軽減
  • ビタミンB群やポリアミンが増える→肌の新陳代謝が高まる
  • 免疫細胞が元気になる→免疫力が高まる

とくに注目すべきは免疫力を高める作用です。体全体にある免疫細胞のうち、6割は腸内に存在するため、腸内環境が整えば6割の免疫細胞が元気になります。元気になった免疫細胞は細菌やウイルス、悪性のがん細胞と闘い、感染症やがんの羅患リスクを下げてくれます。

また、オリゴ乳酸を摂取すると、細胞内小器官・ミトコンドリアの機能が高まることが推測されています。ミトコンドリアには酸素を取り込んでエネルギーをつくるはたらきがあるので、体温調節や脂肪燃焼などに役立ちます。結果、生活習慣病の改善につながるのです。

さらに、オリゴ乳酸は膵臓β細胞を保護するはたらきをもっています。膵臓β細胞からは血糖値の上昇を抑えるインスリンが分泌されるため、高血糖や2型糖尿病を予防することが可能です。[※4][※5][※6][※7]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

オリゴ乳酸は、腸内環境を整えたい人や免疫力を高めたい人におすすめです。とくに60歳を超えると悪玉菌の割合が増えやすい傾向があるため、体調不良や病気を発症するリスクが高まります。60歳前後の人は定期的にオリゴ乳酸を摂取して、腸内環境を整えておきましょう。

生活習慣病のほかにアレルギーなどで薬を飲んでいる方も、腸内環境や代謝改善の作用がはたらいて、症状が軽くなる場合もあるようです。ただしその場合は、必ず担当の医師に確認してから摂取するようにしましょう。

オリゴ乳酸の摂取目安量・上限摂取量

オリゴ乳酸には国が定める目安量や上限摂取量はありません。しかし、1日200~300mgほどの摂取で効果が得られることが、研究の結果から明らかになっています。

そのため、サプリメントや健康食品としてオリゴ乳酸を摂取する場合は、製品の用量用法を守って利用するのが良いでしょう。

オリゴ乳酸のエビデンス(科学的根拠)

医薬品および健康食品素材の研究開発を行っている株式会社GLART は、オリゴ乳酸の効果を証明する臨床試験を実施しています。[※6]

■便秘解消効果のエビデンス

オリゴ乳酸を使った便秘解消(便通改善)効果の比較試験です。20代の女性33名を対象に、低用量のオリゴ乳酸(1日300mg)、中用量のオリゴ乳酸(1日900mg)、偽薬(プラセボ)を摂取する3つのグループに分けて2週間経過を観察しました。

その結果、オリゴ乳酸を摂取していたグループの平均排便回数は、試験前に比べて増加。偽薬のグループは摂取前後で平均排便回数の改善がみられなかったことから、オリゴ乳酸を摂取すると便通が改善することが示されました。

また、オリゴ乳酸を300mg摂取したグループと900mg摂取したグループで排便回数に大きな差がみられなかったことから、オリゴ乳酸は300mg程度の摂取量で効果があると考えられます。

■肥満予防のエビデンス

オリゴ乳酸のミトコンドリア機能向上作用による肥満予防効果を調べる試験です。ミトコンドリアは細胞内にあり、エネルギー生産を行っています。ミトコンドリアの機能が向上することは、体内の脂肪酸や糖が溜まらず、エネルギーに変わりやすくなるということです。

試験ではメタボ予備軍と診断された壮年期(55歳〜64歳)の日本人男性40名を対象に、オリゴ乳酸を摂取するグループと偽薬(プラセボ)を摂取するグループにランダムに分けて3か月連続摂取(1日300mg)する比較検査を行いました。

その結果、オリゴ乳酸を摂取したグループは偽薬を摂取していたグループに比べて酸化ストレスが減少し、メタボによっても引き起こされる動脈硬化指数が低下。さらに、善玉コレステロールの増加がみられ、血中コレステロール値が改善しました。

このことから、オリゴ乳酸にはミトコンドリアの機能を高めてメタボリック症候群を改善するはたらきが期待できるとしています。

未病や統合医療の専門新聞Medical Nutritionには、オリゴ乳酸が免疫細胞であるナチュラルキラー細胞活性増強効果があるという記事が掲載されています。[※8]

記事によると、マウスにオリゴ乳酸を投与(体重1kgあたり500mg換算)したところ、オリゴ乳酸を投与されていないマウスに比べてナチュラルキラー細胞の活性が認められました。また、5名の対象者に行った臨床試験では、1日1gのオリゴ乳酸を1か月投与したところ、5名中3名のナチュラルキラー細胞が活性化しました。また、5名中4名は肝機能の改善効果も認められました。

こうした結果から、オリゴ乳酸にはナチュラルキラー細胞を活性化させ、免疫機能を向上させるはたらきがあるとしています。

研究のきっかけ(歴史・背景)

がん治療の研究でがん細胞を培養していた際、がん細胞を死滅させる因子が見つかり、その正体がL型乳酸を濃縮した化合物(オリゴ乳酸)であることが判明しました。

オリゴ乳酸の研究が本格的に始まったのは1992年頃。オリゴ乳酸には腸内環境を整える力があり、腸内環境が整えられると免疫機能の向上、血流改善などの効果が得られることがわかりました。そのため、がんやメタボリックシンドローム、アレルギー疾患の症状改善などに利用できる可能性が示唆されています。

まだ医薬品の素材としては研究段階ですが、すでに健康食品の素材としての利用は進められています。[※9]

また、最近の研究では、腸内環境を整え免疫機能をアップさせる効果のほかに、細胞内でエネルギー生産を行うミトコンドリアのはたらきを向上させる効果も確認されています。[※6]今後、ますます注目を集める成分となっていくでしょう。

専門家の見解(監修者のコメント)

東京薬科大学で薬学博士号と医学博士号を取得したのち、未病(病気を発症する前の状態)にアプローチする医療の研究を続けている田口茂博士は、腸内環境を整えるオリゴ乳酸について次のように解説しています。

「最も興味を惹かれたのは、『腸内の乳酸菌を増やす』ということです」

「最近、『腸内フローラ』という言葉をよく耳にするようになりました。これは腸に棲んでいる善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスをお花に見立てたものです」

「この3つの菌群がバランス良く分布しているかどうかが問題であり、理想的な割合は善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割となります」

(『HEALTY&BEAUTY vol.2』より引用)[※10]

田口博士のお話の中にある、善玉菌、悪玉菌、日和見菌とは以下の腸内細菌のことです。

  • 善玉菌…消化吸収を助け、免疫力を高める菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)
  • 悪玉菌…ガスや発がん物質をつくりだす菌(ブドウ菌や有毒株の大腸菌など)
  • 日和見菌…善玉菌と悪玉菌のうち多いほうに味方する菌(バクテロイデスや無毒株の大腸菌など)

善玉菌は年齢とともに減少するため、体外から摂取して腸内のバランスを保ち続けましょう。オリゴ乳酸菌を摂取して善玉菌を増やせば、日和見菌を味方につけられ、腸内環境を良好に保てます。

さらに田口博士は、腸内環境を整えることの重要性やミトコンドリアを活性化するオリゴ乳酸のはたらきについても解説しています。

「腸には免疫細胞の約6割が集中しているといわれています。腸内環境が整っていれば、こうした免疫機能も正常に働き、外敵であるウイルスが侵入してきても悪さをさせないというわけです」

「細胞内のミトコンドリア機能を活性化することで、脂質代謝以外にも、血糖値にかかわる糖質代謝、血圧ほかを改善し、メタボリックシンドロームの改善あるいは肥満予防にもオリゴ乳酸が活躍するということになります。その結果、腸内環境さらには腸管免疫が元気になり、病気になりにくいということです」

(『HEALTY&BEAUTY vol.2』より引用)[※10]

免疫細胞が集中している腸内環境を良好に保ち、免疫機能を正常にはたらかせることで、感染症や病気の発症リスクを抑えられます。

また、オリゴ乳酸がミトコンドリアを活性化するとエネルギーがつくられて脂質や糖質の代謝が促進されます。オリゴ乳酸のはたらきを上手に利用して、病気になりにくい体をつくっていきましょう。

オリゴ乳酸を上手に摂取するには

オリゴ乳酸は主にサプリメントに配合されています。本来の乳酸は液体なのですが、それを粉状にする技術が開発され、健康食品への添加が容易になりました。

サプリメントは錠剤や粉、カプセルなどさまざまな形状があります。飲みやすい・続けやすいものを選んで購入するとよいでしょう。

相乗効果を発揮する成分

相乗効果が期待できる成分は食物繊維です。便通改善を目的として販売されているサプリメントには、オリゴ乳酸に加えて食物繊維が一緒に配合されています。食物繊維は便の通りをよくするだけでなく、腸内細菌のエサにもなる成分。オリゴ乳酸のもつ腸内環境を整えるはたらきをサポートしてくれるでしょう。

オリゴ乳酸の副作用

オリゴ乳酸を摂取することによる副作用は確認されていません。ラットを使った安全試験もクリアしています。

しかし、腸内環境を整え免疫力を上げる効果が高いとされているため、過剰摂取してしまうと免疫バランスが崩れるおそれがあります。免役力が強くなりすぎると過剰反応が起き、腫れやかゆみ、じんましんなどの症状を引き起こすため、摂取する場合は用量用法を守るようにしましょう。

参照・引用サイトおよび文献

  1. 公益財団法人長寿科学振興財団「乳酸とは」
  2. 健康美容EXPO「オリゴ乳酸(ラック)」
  3. 体質改善コンサルタントの体質研究所「オリゴ乳酸とは?」
  4. 田淵久美子ほか「健常女性を対象としたオリゴ乳酸(LAC)摂取による便通改善効果の二重盲検比較法で行った用量設定試験」(機能性食品と薬理栄養 No.5 Vol.6 2011年)
  5. 田淵久美子ほか「オリゴ乳酸(LAC)の健常日本人女性における日本語版便秘評価尺度を用いた便秘評価の試用アンケート調査試験」(機能性食品と薬理栄養 No.6 Vol.6 2011年)
  6. 松井敬一発行『健康美容素材エビデンスカタログ 2016年版』(有限会社太陽エージェンシー 2016年11月発売 p2-p28)
  7. 阿部和典発行『健康美容素材エビデンスデータファイル 2012年度版』(健康情報ビジネス出版(株) p1-16)
  8. Medical Nutrition 「オリゴ乳酸『LAC』の機能性と臨床応用」(2008年3月1日発行 第108号)
  9. 健康と美容の業界情報誌 健康ジャーナルweb「希有の機能性素材「オリゴ乳酸[LAC]」豊富なエビデンスデータ揃え機能性証明−−−GLART」
  10. 阿部和典編『HEALTY&BEAUTY vol.2』(星雲社 2016年2月 p16-19)