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シソの効果とその作用

さわやかな香りで食べ物のおいしさを引き立てるシソ。食塩と一緒に使用すると防腐効果が高まるので、赤紫蘇は梅干しと一緒に漬け込まれます。またその高い防腐効果ゆえ、刺身のツマとして使われているのです。シソにはビタミン、カルシウム、カリウムなどのミネラルも豊富に含まれ、特に青紫蘇にはβカロテンが豊富です。

シソとはどのような成分か

シソは独特の香りを持つシソ科シソ属の植物です。青紫蘇は緑色の葉を持ち、別名を大葉といいます。赤紫蘇は赤みを帯びた緑色の葉を持ちます。漢方では赤紫蘇の葉を「蘇葉(そよう)」「紫蘇陽(しそよう)」と呼び、「神秘湯」「半夏厚朴湯」「香蘇散」などの薬に配合されています。同じく漢方では紫蘇の熟した果実は咳やぜん息、便秘などの治療にも使います。また、日本の民間療法では、シソの葉が風邪、不眠、切り傷、貧血などの治療や改善に用いられてきました。赤紫蘇も青紫蘇も夏が旬の植物ですが、青紫蘇は大葉として年中手に入るようになり、さまざまな料理に使われ、シソは私たちにとって非常に身近なジャパニーズハーブのひとつになっています。
近年はシソに含まれる成分にも注目が集まっています。シソにはビタミンB1、B2、B6、C、E、K、ナイアシンなどのビタミンのほか、カルシウム、カリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれます。特に青紫蘇にはβカロテンが豊富です。また、シソの種子から抽出される「シソ油(えごま油)」にはαリノレン酸が多く含まれ、その健康作用が非常に注目されているのです。

シソの効果・効能

シソにはたくさんの効果・効能があります。どんな効果があるか見ていきましょう。

■抗アレルギー効果

シソの中でも種子に含まれているα-リノレン酸やロスマリン酸には、体内でEPAに変わることで、アトピー性皮膚炎や花粉症といった、アレルギーを和らげる効果があることが報告されています。[※1]

■脳を活性化する効果

脳を活性化する働きもありますので認知症予防に役立ちます[※2]。(一般的なシソの効果効能ではなく、研究段階でありロスマリン酸の研究によるもの。参考サイトも根拠にならないので削除)

■免疫アップ効果

大場にはβカロテンが豊富に含まれ、体内でビタミンAに変わります。ビタミンAは細胞膜や粘膜を強化することで、粘膜の免疫を上げたり、美肌作用もあります。ガン因子を抑えるとも考えられています。[※1]

■食欲増進効果

シソの香りのもと「ペリラアルデヒド(シソアルデヒド)」には食欲増進効果があります。[※3]

■防腐効果

シソには防腐効果があります。また、シソと食塩を一緒に使うと、防腐効果が高まります[※4]

■抗酸化効果

シソにはビタミンCが豊富に含まれており、抗酸化の働きがあります[※3]

■貧血予防と血液サラサラ効果

シソには鉄分相性の良いビタミンCが含まれ、相乗効果によって体内で血液中のヘモグロビンを作ることに役立ちます。多く含んでいて貧血予防ともなります。血液サラサラ効果で心筋梗塞や動脈硬化を予防します[※1]

■新陳代謝アップ効果

シソには体の代謝に不可欠なビタミンB1や利尿作用のあるカリウムが多く含まれるので、代謝をサポートし、疲労回復にも役に立ちます。[※1]

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

シソにはたくさんの効果・効能がありますが、一体どのようなメカニズムで効果・効能を発揮するのでしょうか。それはシソに含まれる多彩な成分それぞれの働きによるものです。

シソやシソの実に含まれるフラボノイドであるロスマリン酸やルテオリンには、抗アレルギー作用が報告されておりますが、これはシソの葉を食べて、ではなくシソの抽出物による研究報告であるため、シソを食べれば即アレルギーが抑制されるというということではありません [※5]

シソの香りのもとであるペリルアルデヒド(シソアルデヒド)とは、嗅覚を刺激することで胃酸の分泌を高めるので、消化を助けたり、食欲を増進させたりします。またこの成分には強い抗酸化作用があることが確認されています。

シソには抗酸化作用があるとされますが、これはシソにビタミンCやβカロテンが豊富に含まれているからです。特に青紫蘇にβカロテンは多く含まれています。βカロテンは体内でビタミンAに変わり、ビタミンAは皮膚や粘膜の細胞が酸化を防ぐため、老化予防に役立ちます。ちなみにβカロテンは油と一緒に摂取すると吸収率が高まるので、シソの天ぷらは理にかなった食べ方です。

他にもシソにはビタミンB群、マグネシウム、亜鉛など、日頃の食生活で不足しがちなさまざまな栄養素が含まれており、積極的に食べておきたい食材のひとつです。

シソは葉の部分と種子の部分で含まれる成分が異なりますが、ここ数年で最も注目を浴びているのが「シソ油(えごま油)」です。この油にはαリノレン酸が豊富に含まれています。αリノレン酸はオメガ3系であり、私たちの体内では合成することのできない必須脂肪酸のひとつです。

このαリノレン酸は体内でEPEやDHAといった成分に変換され、それぞれがさまざまな機能性を発揮するのです。

EPAやDHAのよく知られる機能性といえば「血流を促進する作用」で、これにより血管の炎症を予防したり、血中の中性脂肪を減少させたりします。またEPAには抗アレルギー作用も報告されています。つまりシソ油は「良い油」として注目を浴びているのです[※6]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

シソは多くの効果・効能があるのでどんな人が食べても良いですが、特に取り入れてほしいのは夏バテなどをして食欲不振の方でしょう。シソには食欲増進効果があるので、食欲を回復させることが期待できますし、そうめんなどの薬味にすれば食欲がなくても食べやすく、またいくつもの栄養素をたくさん摂ることができるからです。お弁当のおにぎりやご飯にシソからできたゆかりをふりかけるなら食欲増進効果と共に防腐効果も得られ一石二鳥です。他にも、肌の美しさを保ちたい人、粘膜の健康を保ちたい人、疲労を回復させたい人などには積極的に食べて欲しい食品です。アレルギーが気になる方や生活習慣病を予防させたい方、健康的に油を摂取したい方は「エゴマ油」をとりいれてみるのも良いでしょう。ただし、エゴマ油は加熱に弱いのでドレッシングでの使用がおすすめです。

シソの摂取目安量・上限摂取量

シソの摂取目安量は1日20~30枚です。[※7]シソは1枚0.5gなのでこれくらい食べないと確かな効果を期待できないのです。しかしこれだけの量を食べられる人は少ないでしょう。つまり食品として食べる分には、上限摂取量に関する心配いりません。シソを食べ過ぎて重篤な症状になったという症例はないです。

シソのエビデンス(科学的根拠)

シソに関する様々な研究が行われています。1981年には千葉大学生物活性研究所の栗田啓幸氏と千葉県立栄養専門学院の小池茂氏によってなされた実験では食塩水とシソときゅうりを用いた実験でシソの防腐効果が明らかになりました[※4]

その他にもシソに含まれるαリノレン酸やβカロテン、アミロイドβ[※8]、ロスマリン酸[※9]の研究が引き続き行われています。アミロイドβに関してはアルツハイマー病予防の効果が期待されていますし、ロスマリン酸に関しては血糖値上昇の抑制の観点で研究が続けられているのです。

研究のきっかけ

シソ科シソ族に属していて中国やヒマラヤ、ミャンマーが原産とされています。日本にも縄文時代から自生していたことが確認されています。独特のさわやかな香りがあり、平安時代にはすでに香味野菜として栽培されていました。シソには花が咲き、紫色あるいは白い花をつけます。

シソにも品種があります。青紫蘇、赤紫蘇、チリメンジソ、マダラジソといった品種です。特に馴染み深いのは青紫蘇と赤紫蘇です。青紫蘇はその名の通り青い葉をつけ大葉とも呼ばれます。赤紫蘇は赤紫色の葉をつけます。どちらも食材として馴染み深いでしょう。シソの旬は夏だとされています。夏によく食べられるそうめんに入っているのはこのためです。

シソの熟した実は「蘇子(そし)」と呼ばれ、こちらも咳止めやぜんそく薬、便秘を改善する薬に使われています。民間療法でも風邪の症状を和らげるために使われたり、貧血を改善したりするのに使われています。このようにシソは古くから健康に役立つとされ重宝されてきた植物です。

シソを多く含む食べ物

シソは薬味として使われてきましたので、そうめんに入れたり、冷奴にのせたりして使うのが一般的です。他には梅干しに入れて防腐効果を高めています。

その他、ゆかりというふりかけ状の赤紫蘇も市販されています。ふりかけになっていますので、手軽に使うことができ、おにぎりにまぶしたり、お弁当のご飯にふりかけたりするこいとができ便利です。

七味唐辛子の中にアカジソの葉が刻まれたものが使われています。含有量としては少ないですが、七味唐辛子はそばやうどんなどの麺類を食べるときに簡単に使えます。

さらに青紫蘇の天ぷらを食べる人も多いでしょう。青紫蘇の葉は刺身のツマにもなっていますので、出てきたら残さずにいただきましょう。

青紫蘇の花のつぼみも花穂紫蘇(はなほじそ)と言い、刺身のツマに使います。シソの若い芽を芽紫蘇(めじそ)、赤紫蘇の双葉を紫芽(むらさきめ)、青紫蘇の双葉を青芽(あおめ)と呼び、刺身の薬味として使われているのです。いずれも食べてしまって大丈夫なので、醤油に混ぜてそれを刺身に付けていただきましょう。

カレーライスの添えられる福神漬けにもシソの実が入っています。

相乗効果を発揮する成分

シソはどんな食べ物にも薬味として添えることができますが、次のような使い方をすれば相性が良く効果的です。

●抗菌作用

梅干しや生姜、お酢と合わせると、それぞれの殺菌作用や抗菌作用が高まります。

●貧血対策

レバー、ほうれん草とシソを一緒に食べると血液を作るのに必要な材料を効果的に摂取することができます。

●疲労回復や夏バテ予防に

夏になるとシソジュース(赤紫蘇)を作るご家庭も多いと思いますが、クエン酸(お酢、レモン水)との相乗効果が期待できます。

シソの副作用

シソを摂取することによる副作用に関しては心配する必要はありません。これまで症例として報告されていないからです。しかしシソを扱うときに手がかぶれることがあります。皮膚の弱いかぶれやすい体質の人がシソをたくさん扱うときにはビニールの手袋をして扱うのが良いでしょう。