ペパーミントの効果とその作用

ペパーミントは、ピリッとした味とさわやかな清涼感のある香りが特徴のハーブで、リフレッシュ・リラックス効果、消化促進、抗菌・消臭効果などがあります。
そんなペパーミントの効果効能、作用のメカニズムや歴史、上手な使い方や相乗効果、副作用などの情報をまとめています。

ペパーミントとはどのような植物か

ペパーミントは、シソ科ハッカ属のハーブ・ミントの代表的な種類の一つです。

ミント類は非常に繁殖力が強いので、自然に受粉して品種が入り混じった雑種が多く、数百種以上あるといわれています。

ペパーミントもスペアミントとウォーターミントが、自然に交配してできた品種です。

ペパーミントとスペアミントは、同じハッカ属の仲間であるため混同されがちですが、主な違いは香りです。ペパーミントにはスーッとする強い清涼感があり、舌をピリッと刺激します。スペアミントは、ソフトな清涼感と甘さがあります。ガムや歯みがき粉に利用されているのは主にペパーミント、料理に利用されるのが主にスペアミントです。

清涼感のある香りは、ペパーミント精油の主成分である「l-メントール」によるもので、リフレッシュとリラックスの両方をもたらしてくれます。

ペパーミントの効果・効能

ペパーミントには、下記のような効果・効能があるとされています。[※1][※2][※3][※4]

■リフレッシュ効果

清涼感のあるl-メントールの香りが眠気を吹き飛ばし、脳の働きを活性化して、集中力を高めます。

■リラックス効果

l-メントールには、高ぶった神経を鎮める働きもあり、精神的な疲労や抑うつの回復に役立ちます。

■消化促進効果

消化機能を調整する働きがあり、便秘と下痢両方に効果があります。暴飲暴食による胃腸の不調のほか、乗り物酔いや二日酔い、食中毒、過敏性大腸症候群などにも用いられます。

■風邪やアレルギー症状の改善

暑いときには体を冷やし、寒いときには温めるという両方の作用があり、風邪の症状に対して効果があります。ハーブティーや温湿布などで気を吸入すると、鼻づまりの風邪やアレルギー症状を改善してくれます。

■抗菌効果

殺菌・毒の効果があり、キッチンやお風呂・イレなど水回りの掃除に利用すると効果的です。

■消臭・防虫効果

臭み消しや臭予防の効果があり、料理やお菓子の風味付け、ポプリや匂い袋などに用いられます。また、ノミやダニを防ぐ効果もあります。

■鎮痛効果

頭痛や歯痛などの痛みを和らげる効果があります。

■抗炎症効果

皮膚の炎症やかゆみを抑える効果があり、日焼けあとの肌のほてりを緩和します。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

ペパーミントの精油成分l-メントールには、中枢神経を刺激する作用があり、これがリフレッシュやリラックス効果をもたらします。

l-メントールが体内に入ると、脳内ドパミン濃度が高くなり、中枢神経を刺激します。その結果、脳の働きを活性化し、抑うつ症状の改善に効果を示します。[※5]

l-メントールのほか、精油成分にはメントン、メントフランが含まれており、l-メントールと合わせて、消化促進、鎮痛、抗炎症などの効果もあらわします。

l-メントールは、大腸菌に対する抗菌効果も昭和薬科大とロッテ中央研究所で研究されており、効果があることがわかっています。[※6]

精油成分のほかに、ペパーミントに含まれているタンニンの一種、ロスマリン酸にも胃腸の調子を整える働きがあります。

ペパーミントには、ポリフェノールの一種であるルテオリンが含まれています。ペパーミント特有の成分で、他のミント類にはほとんど含まれていません。そのためペパーミントポリフェノールとも呼ばれます。ルテオリンは、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの分泌を抑制し、花粉症などのアレルギー症状の緩和に役立ちます。[※7]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

ペパーミントには、リフレッシュや消化促進、抗菌・殺菌などさまざまな効果がありますので、体調不良を感じたときや毎日の家事など生活のいろいろな場面で利用することができます。

胃腸に不調を感じたときにハーブティーにして飲んだり、お腹の上にハーブティーを浸した温かいタオルをのせてパックすると消化器の調子が整います。乗り物酔いしやすい人は、ペパーミント精油をごく少量垂らしたハンカチをあてると、吐き気の予防によいでしょう。

風邪やアレルギーによる鼻づまりにはハーブティーを飲むとよいです。さらに、立ち上る湯気を鼻から吸い込む(蒸気吸入)と効果が高まります。頭痛には、ホホバオイルやオリーブオイルなどの植物油に精油を少量混ぜ、こめかみに塗ります。

リフレッシュ効果と同時にリラックス効果もありますので、神経が高ぶっているときや、寝付けないときなどにハーブティーにして飲むと、よく眠ることができます。

ペパーミントの摂取目安量・上限摂取量

ペパーミントには決められた摂取目安量や上限は定められていませんが、使用に際してはいくつかの注意が必要です。[※8]

  • 体温を下げることがあるので、広範囲に使用しない
  • 連続して長期間使用しない
  • 精油は直接塗ったりせず、濃度1%以下になるよう植物油や無水エタノール・精製水などで薄めて使用する
  • 妊娠中は使用を避ける

ペパーミントのエビデンス(科学的根拠)

ペパーミントはいろいろな形で、食品や化粧品・医薬品に利用されていて、さまざまな機関で研究されています。

ペパーミントのエビデンスとして、アレルギー性鼻炎に対する作用、消化器症状の改善、大腸菌に対する抗菌効果について研究されたものをまとめました。

ペパーミント抽出物によるアレルギー性鼻炎の緩和について、小川香料株式会社素材研究所の井上俊夫氏、岡山大学薬学部の亀井千晃教授、名古屋工業大学の増田秀樹教授は、ペパーミントから抽出したフラボノイドの一種ルテオリン-7-0-ルチノシドを100及び300mg/kg投与すると、アレルギー反応を阻害する効果があるという実験結果を得ました。この結果は、ルテオリン-7-0-ルチノシドがアレルギー性鼻炎の鼻症状を緩和するのに有用である可能性を示しました。[※9]

消化器症状の改善について、小林香料株式会社機能研究所の上野壽夫氏らは、ストレス潰瘍および胃の不快症状に対するペパーミント熱水抽出物(PE)の効果をマウスによる実験と健常者へのアンケート調査を行い検討しました。

この結果、予めPE300mg/kgを投与されたマウスの潰瘍面積が、他のハーブの熱水抽出物を与えたマウスよりも14%~48%減少し、アンケート調査では、PE300mgを2週間摂ったグループは胃もたれ症状が改善したが、PEを摂らなかったグループは症状が悪くなるという結果が得られました。

この実験で用いられたPEは揮発しない成分であるロスマリン酸やルテオリンなどのポリフェノールを使用。これらの成分が消化器症状の改善に効果がある可能性が示されました。[※10]

病原性大腸菌O-157に対する抗菌効果について、昭和薬科大学の笹津備規助教授、新井武利博士とロッテ中央研究所の大澤謙二氏、佐伯貴央氏、安田英之氏は、病原性大腸菌O-157の培養液にペパーミント精油をいろいろな濃度で混ぜ菌の増え方を測定し、0.04%以上の濃度で完全に殺菌できることがわかりました。[※6]

ペパーミントの歴史(歴史・背景)

ペパーミントの名が文献に登場するのは17世紀で、イギリスの植物学者ジョン・レイの『植物誌』に、ペッパー(胡椒)の味がするミントとして紹介されました。それ以前は、スペアミントなどほかの品種との区別はされていなかったようです。

紀元前3000年ごろの古代エジプト第一王朝時代にはお香として利用されていました。人々は太陽神ラーを信仰し、神殿では神々のためにお香がたかれました。このお香はキフィと呼ばれ、ペパーミントをはじめジュニパー、レモングラス、ショウブ、シナモンなど数種類のハーブを混ぜて作られたもので、香りの強さから薬としての効果や浄化の方法として広まっていきました。

古代ローマ時代には、除菌や香料として利用され、テーブルをペパーミントの葉でこすっていい香りを漂わせ、客をもてなしたとされています。

中世に、イギリスの修道院でハーブが栽培されるようになると、教会の床にペパーミントを含むハーブを敷きつめて踏み、香りを出して消臭や抗菌に利用しました。当時流行した疫病への対策にもなりました。

近世になると、ヨーロッパからアメリカ大陸へ運ばれて商品にするための栽培が始まり、ペパーミントガムが発売され、ガムの味の基本となりました。

日本では、紀元前60年ごろから和ハッカの栽培がされていた記録がありますが、ペパーミントが伝わったのは江戸時代だといわれています。

現在も、アロマテラピーや自然療法で取り入れられ、日常生活のいろいろな場面で活用され、愛されています。

[※1]

専門家の見解(監修者のコメント)

日本アロマ環境学会の常任理事である熊谷千津氏は、「小学生の計算力と気分に与える精油の影響」の研究結果について、以下のようにコメントしています。

「本研究におけるVASの結果から、ペパーミント油は、頭がスッキリする、元気が出るなどの気分を向上させ、集中力を高める可能性があることが示唆された」(原著論文『小学生の計算力と気分に与える精油の影響』熊谷千津、永山香織/アロマテラピー学雑誌 Vol.16, No.1, 2015 より引用)[※11]

※VASとは視覚的アナログスケールのこと。ペパーミントの香りを吸入した後の気分の変化について8項目の質問をし、それぞれ0mm~100mmの直線上で当てはまる位置に線を引いてもらい、気分の変化を調べた

ペパーミントのリフレッシュ効果が、子供の気分に好影響を与え、計算ミスが減少する傾向にあるようです。

日本メディカルハーブ協会認定ハーバルセラピストの小田ゆきさんは、ペパーミントについて、

「清涼感あるスッキリとした香りで親しみやすいだけでなく、精神的にも肉体的にも多くの効果が期待できる」(小田ゆき主宰「AROMA LIFESTYLE/ペパーミントの効果・効能とおすすめの使い方」より引用)[※12]

と、ペパーミントには幅広い効果があり、さまざまなシーンで利用できることを紹介しています。また、

「ペパーミントには冷却作用があり、肌に触れるとひんやりした感触をもたらすため、発汗、日焼けによる炎症やかゆみ、ほてりなどに有効です」(小田ゆき主宰「AROMA LIFESTYLE/ペパーミントの効果・効能とおすすめの使い方」より引用)[※12]

と、夏の暑さ対策としても利用でき、日常生活に取り入れやすい親しみやすいハーブだと紹介しています。

ペパーミントの上手な使い方

ペパーミントのもつ幅広い効果は、日常生活のいろいろな場面で活用することができます。その中からいくつかご紹介します。

ハーブティーにして飲む

食後にゆっくり飲むと、胃腸の不調を改善します。就寝前に飲むとリラックス効果により、良い眠りを得られます。

■ハーブティーのいれ方(1人分)

  1. ティーポットにペパーミント(ドライ)をティースプーン山盛り1杯入れる。
  2. 熱湯150~180ccを注いで、約3分おく。
  3. 茶こしを使ってカップに注ぐ。

除菌スプレー

殺菌・抗菌効果を活かし、掃除に利用できる除菌スプレーを作っておくと便利です。台所の流し台や調理台、トイレなどにさっと吹きかけたり、洗濯機の洗濯槽に精油を数滴加えて洗濯すると、洗濯物と洗濯槽両方の除菌に使うことができます。

■除菌スプレーのつくり方(50mlのスプレーボトル)

  1. スプレー容器に無水エタノールを10ml入れる
  2. ペパーミント精油を10滴加える
  3. 精製水を40ml加えよく混ぜる

使う前によく振りましょう。火気のそばではスプレーしないようにします。

芳香浴

入浴するとき浴槽のお湯に精油を1~5滴入れ、よく混ぜて入浴するとペパーミントのリラックス効果やリフレッシュ効果を効果的にえられます。湯気を吸いこむことで風邪やアレルギーによる鼻づまりにも効き目があります。

シャワーのみで入浴する場合も、浴室の床に精油を1滴落とししておくと、ペパーミントのさわやかな香りが立ち上り、気分がスッキリします。二日酔いのむかつきにもよいでしょう。

浴槽に精油を入れる場合は、肌に直接精油が触れないように注意が必要です。敏感肌で気になる場合は、ホホバオイルなどの植物油に混ぜてからお湯に入れるようにします。

相乗効果を発揮する成分

ペパーミントとジャーマンカモミールのブレンドは、両方にリラックス効果があり相乗効果が期待できます。寝る前や休憩時間にハーブティーを飲むとよいでしょう。

また、ペパーミントのさわやかな香りは、ティートゥリーやユーカリなどのミントと同じハーバル系の香り、オレンジやレモンなどの柑橘系の香りと相性がよく、ラベンダーやゼラニウムなどのフローラル系ともよく合います。ハーブティーや芳香浴をするときのブレンドに利用するとよいでしょう[※12]

ペパーミントに副作用はあるのか

ペパーミントを利用する際、特に精油を使う場合はいくつかの注意が必要です。[※1]

  • 妊娠中、授乳中、乳幼児、てんかんの患者は使用禁止。
  • 高濃度での使用は避け、1%以下の濃度になるよう、オイルや精製水などで薄めてから使用する。
  • 精油そのものを飲まない。

体温を下げることがあるので、広範囲に使用しないようにし、皮膚や粘膜が赤くなったり、刺激を感じるときは使用を中止します。[※8]

ミントは種類が多く、品種によって効果に違いがありますので、学名を確認してから購入・使用するようにします。

参照・引用サイトおよび文献

  1. ジャパンハーブソサエティー著『ハーブのすべてがわかる事典』(2018年4月 株式会社ナツメ社 発行)
  2. 渡邊聡子監修『アロマテラピーのきほん事典』(2010年10月 東西社 発行 )
  3. 榊田千佳子、渡邊聡子監修『いちばんわかりやすいハーブティー大事典』(2011年5月 株式会社ナツメ社 発行)
  4. 佐々木薫著『心と体に効くハーブ読本 あなたにぴったりの使い方が見つかる!』(2010年11月 株式会社PHP研究所 発行)
  5. 日本薬学会 環境・衛星部会「環境・衛星薬学トピックス/科学の目から見たアロマテラピー~ペパーミントの効能を例に~」
  6. 弘前大学農学生命科学部畜産学研究室「畜産 最近の話題」
  7. わかさの秘密「ペパーミント」
  8. 重松浩子監修『わかりやすい!覚えやすい!アロマテラピー基本講座』(2012年11月成美堂出版 発行)P97
  9. Biol Pharm Bull 2002 Feb;25(2):256-9「Antiallergic effect of flavonoid glycosides obtained from Mentha piperita L.」
  10. 【PDF】 日本食品科学工学会誌 第61巻 第7号 2014年7月「ペパーミントの胃保護作用」
  11. 【PDF】 アロマテラピー学雑誌 Vol.16, No.1, 2015「小学生の計算力と気分に与える精油の影響」
  12. 小野ゆき「AROMA LIFESTYLE/ペパーミントの効果・効能とおすすめの使い方」