オレイン酸の効果とその作用

オレイン酸はLDL(悪玉)コレステロールを減少させる効果がある成分です。植物油や肉類に多く含まれており、毎日の食事から摂取することができます。酸化しにくいことから、長期保存できるのが特徴。体の老化やがんの原因となる過酸化脂質の生成を防ぐ生理機能を持っていることから、注目が集まっています。

オレイン酸とはどのような成分か

オレイン酸は、植物油や肉類、ナッツ類などに多く含まれている脂肪酸です。不飽和脂肪酸の中でも酸化しにくい一価不飽和脂肪酸なので、長期保存や加熱調理に向いています。[※1]

オレイン酸は食品から摂取できますが、体内で合成することも可能です。

肉類には飽和脂肪酸も含まれているので、必要なオレイン酸を肉類だけで補おうとすると、悪玉コレステロール値や中性脂肪値が上昇します。[※1]

そのため、肉類だけでなく植物油などほかの食品を組み合わせてバランスよく摂取することが必要です。

皮脂とつくりが似ていることから、オレイン酸を多く含むオリーブオイルは美容効果がある成分としても認知されています。

オレイン酸の効果・効能

■動脈硬化や心疾患の予防

LDL(悪玉)コレステロールを減らす作用があるため、動脈硬化や高血圧などの症状を予防してくれます。[※1][※2][※3][※5]

■糖尿病予防

オレイン酸を多く摂取することで、糖尿病にかかるリスクが低減する作用が期待できます。[※6]

■便通を良くする

オレイン酸は大腸で排便を促す効果があるといわれています。[※7]

■老化やがんの予防

酸化しにくいことから、酸化が原因で起こる老化やがんの予防が期待できます。[※1][※4]

■美容効果

皮脂に近い構造をしており、角質の潤いを保つセラミドの働きを助けると考えられています。[※1]

どのような作用があるのか

オレイン酸はいろいろな作用を持つ成分で、健康維持に役立つ効果が得られます。

オレイン酸は、植物油やナッツ類、肉類に多く含まれ、血中のコレステロールを正常にする働きがあります。

血中には動脈硬化を防ぐHDL(善玉)コレステロールと、高血圧や疾病の原因となるLDL(悪玉)コレステロールが存在します。

オレイン酸を摂取することで、動脈硬化や心臓病の原因となるLDL(悪玉)コレステロールを減少させることが可能です。[※3]

植物油に含まれるリノール酸にも同じ効果がありますが、オレイン酸は動脈硬化を防ぐHDL(善玉)コレステロールに影響を与えない[※2][※3]ため、より疾病予防に役立つと考えられています。

また、国内の研究によって、糖代謝を正常に保つ作用が報告されています。

魚油や肉、植物油などに分けて調べたところ、オレイン酸・リノール酸・α-リノレン酸を豊富に含む「植物油」での摂取がもっとも糖代謝異常の予防に役立つことがわかりました。[※6]

これを踏まえると、オレイン酸やリノール酸を植物油から摂ることで、糖尿病のリスクを下げられるといえます。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

LDL(悪玉)コレステロールを減らす効果があるため、脂質が多い食事を日常的に食べている人、血中コレステロールが気になる人におすすめです。

HDL(善玉)コレステロールをそのままに、LDL(悪玉)コレステロールだけを減らしてくれるので、健康診断でコレステロール値が引っかかった方はオレイン酸を摂取してみると良いでしょう。

糖尿病のリスクを下げる効果が期待できるため、甘いものを食べすぎる傾向がある方にも適しています。

オレイン酸の摂取目安量・上限摂取量

オレイン酸の摂取目安量は特に決められていません。疾病に関する研究や論文などはありますが、報告結果が一致していないため、今のところ目安量は設定されていないようです。[※5]

ただしオレイン酸の過剰摂取は冠動脈疾患や肥満のリスクを高めることが報告されています。そのため、摂り過ぎは禁物です。

成人で1日に必要なエネルギーの20~30%は、脂質として摂るのが良いとされています。飽和脂肪酸やオレイン酸、リノール酸などで摂取しましょう。

ただし、摂取する際はバランスを考えないと、健康を害してしまう可能性があるので注意が必要です。

ベストなバランスは、飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸を3:4:3で摂取すること。オレイン酸をはじめとする一価不飽和脂肪酸を、脂質全体に対して40%摂ることで健康維持につながります。[※1]

オレイン酸のエビデンス(科学的根拠)

オレイン酸の研究として、ヒト臨床試験やモルモット実験による血中コレステロール減少のエビデンスが報告されています。

オハイオ州にある大学Division of Medical DieteticsのWardlaw GMらは、エネルギー消費が多い20名の男性を対象に、高オレイン酸を含むひまわり油、トウモロコシ油、バターをメインにした食事を与える観察実験を行いました。

20名は2週間のバターメインのダイエット期間のあとにオレイン酸を多く含むひまわり油ベースのダイエット期間を5週間設け、その後休憩期間を経てトウモロコシ油ベースの食事期間へ移行。

このとき、バターメインの食事をした期間に比べて、オレイン酸を多く含むひまわり油ベースの食事の食事をした期間では、血清総コレステロールが21%、LDL(悪玉)コレステロールが最大26%減ったことがわかっています。

実験後に血清HDL(善玉)コレステロールに変化が見られなかったことから、オレイン酸を多く含むひまわり油に高血圧や動脈硬化の原因となるLDL(悪玉)コレステロールだけを減少させる効果が示唆されました。[※8]

ほかにもお茶の水女子大学生活科学部の藤原洋子教授らは、植物油に含まれるオレイン酸とリノール酸含量が増減した場合の影響を調べています。

人とリポタンパク質の構造が近いモルモットを使い、オレイン酸を80%以上含むひまわり油で実験。オレイン酸が多い場合とリノール酸が多い場合のコレステロールの変化を比較しました。

結果として、オレイン酸はリノール酸に比べてHDL(善玉)コレステロールを下げずにLDL(悪玉)コレステロールを減少させることが明らかになっています。[※9]

オレイン酸が属する脂肪酸に関して、糖尿病との関係を調べた報告もあります。

国立循環器疫センターの黒谷佳代らは脂肪酸の摂取と糖代謝の関係について、1065名の会社員対象にした疫学調査を行いました。

各脂肪酸の摂取量や糖尿病の履歴、抗糖尿病薬の服用などを調べた結果、オレイン酸をはじめとする植物性の脂肪酸を多く摂っている方は糖代謝異常が少ないことが示されています。

このことから、植物性の脂肪酸を摂取することで糖尿病のリスクを下げられるという結果がわかりました。[※6]

オレイン酸の歴史

オレイン酸は、オリーブオイルから発見された成分です。

1960年代に行われた世界各国の食生活と病気に関する調査では、地中海沿岸地方は心臓疾患による死亡率が低いことが明らかになりました。[※1]

さらに調べた結果、地中海地方で食事にオリーブオイルを多用する習慣があることがわかり、オリーブオイルの成分であるオレイン酸が注目を集めました。

その後研究が進み、オレイン酸のコレステロール減少効果を発見。今では健康成分のひとつとして知られるようになりました。

専門家の見解(監修者のコメント)

オレイン酸の有用性については、医師や栄養士がそれぞれの見解を述べています。

小西統合医療内科で栄養外来を担当している関由佳先生は

「オレイン酸は、海外の論文でもLDLコレステロールを下げる効果は認められていますね」(江崎グリコ株式会社「美容と健康に効果の高いアーモンドの秘密」より引用)[※10]

とコメントしています。

海外の研究でもコレステロールの低下作用が認められていることから、関先生も動脈硬化の予防に効果的だと考えているのがわかります。

また、オレイン酸は酸化しにくい油として知られており、その抗酸化性について紹介している方もいます。

アンチエイジングレストラン「ル・リール」代表の堀知佐子氏は、管理栄養士の視点からオレイン酸についてこう述べています。

「オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、二重結合が1つの一価不飽和脂肪酸です。そのため、不飽和脂肪酸の中では酸化されにくいという特徴があります」(株式会社リンクアンドコミュニケーション&株式会社J-オイルミルズ「オレイン酸のチカラ②〜酸化されにくい抗酸化効果〜 | Olive Oil Life オリーブオイルライフ」より引用)[※4]

安定性が高い不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、酸化しにくく過酸化脂質の生成が抑えられます。そのため、オレイン酸の摂取によって酸化による不調や病気などを予防できるのです。

オレイン酸はさまざまな観点から高く評価されており、今後もいろいろな見解が出てくることが予想されます。

オレイン酸を多く含む食べ物

オレイン酸はオリーブオイルやひまわり油、サフラワー(紅花)油などの植物油に多く含まれています。そのため、普段の食事から摂取しやすいのが特徴。植物油を料理やドレッシングなどに使うことで、十分な量を補えるでしょう。

また、ナッツ類にもオレイン酸が豊富に入っています。ヘーゼルナッツ10粒に8100mg、マカダミアナッツ8粒で6720mgのオレイン酸を摂ることが可能。[※1]オレイン酸を摂取するなら、ナッツ類を日頃のおやつとして食べるのがおすすめです。

肉類にもオレイン酸は含まれていますが、植物油やナッツ類に比べると含有量が少ない傾向があります。

一緒に摂るべき成分

植物油や肉類、ナッツ類にはオレイン酸以外の脂肪酸も含まれており、それぞれが組み合わさることで相乗効果を発揮していると考えられています。そのため、脂肪酸がバランスよく含まれる食品で摂るのが理想的。

特にリノール酸はオレイン酸と同じくLDL(悪玉)コレステロールを下げるため、バランス良く摂取することで高い効果が期待できます。[※1][※2]

ただしリノール酸の量が多くなるとHDL(善玉)コレステロールも減ってしまう[※1]ため、HDL(善玉)コレステロールの増加作用が期待できる「オメガ3脂肪酸」を一緒に摂るのが望ましいとされています。

オレイン酸に副作用はあるのか

オレイン酸の副作用について、詳しいことはまだわかっていません。

欧米で行われた研究では、オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸を大量に摂取することで冠動脈疾患にかかる人が増えたという結果が報告されました。

また、エネルギー制限をせず自由に食べ物を食べてもらう実験では、一価不飽和脂肪酸を摂り過ぎると肥満の傾向があるという見解も発表されています。[※5]

しかし、冠動脈疾患や肥満のリスクの研究に関しては反対の結果も報告されており、今のところ病気との関連性は明らかになっていません。

過剰摂取で冠動脈疾患や肥満のリスクを高める可能性もゼロではないため、大量に摂るのは控えましょう。