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リンデンの効果とその作用

西洋菩提樹(シナノキ)ともいわれるリンデンですが、お釈迦様が悟りを開いたとされる「菩提樹」とは別の種類です。

花や葉を乾燥させたリンデンフラワーや木部を乾燥させたリンデンウッドは、主にハーブティーとして利用され、精神的リラックス効果をはじめ、むくみを改善したりする効果が報告されています。

リンデンとはどのような成分か

ヨーロッパに広く分布している植物で、まっすぐ空に向かって伸びている樹木です。西洋菩提樹、西洋シナノキとも呼ばれています。

リンデンの葉や花にはタンニン、フラボノイド、ケンフロール配糖体、フェノール類などが含まれ、緊張を緩和する働きがあるといわれます。主にリンデンフワラーという名前でハーブティーとして親しまれています。 [※1]

ヨーロッパの植物療法では古くからインフルエンザや風邪の予防に用いられてきた植物で、ドイツでも風邪のひきはじめに小児科などでリンデンとペパーミーントをブレンドしたハーブティーが処方されるといいます。[※6]

リンデンの効果・効能

リンデンフラワーには以下のような効果・効能があると報告されています。

■風邪の予防、ひきはじめに

リンデンの葉はヨーロッパにおいて古くから植物療法に利用されてきた歴史があります。風邪やインフルエンザなどにも効果があるとされ、ドイツでは小児科でハーブティーとして処方されています。

鎮静、発汗、などの効果が風邪の予防やひきはじめに効果的であると考えられています。[※6]

■不眠に対する効果

不眠に対しても効果が期待できるとされています。これは含まれる精油成分が甘い香りを発することで、興奮や不安を鎮めるからだと考えられています。[※6]

リンデンフラワーは花と葉を乾燥させたもので、木の部分を使っているものがリンデンウッドといい、区別されています。

リンデンウッドは見た目も木のチップのような感じで、こちらもハーブティーとして使用されます。リンデンウッドの方が、利尿効果があるとされますが、科学的データは不十分な状態です。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

リンデンフラワーには鎮静、発汗、利尿作用があります。英国ハーブ薬局方では、鎮静鎮痙、発汗、高圧、エモリエント作用、収れん作用が報告されています。されにドイツのコミッションEでは、風邪や咳にも効能があるとされています。[※2]

リンデンフラワーには神経の高ぶりを鎮めて心身の緊張をやわらげ、リラックスさせる働き(香り)がありますが、これはファネルソールをはじめとするリンデンの芳香成分が放つ甘い香りによるものと考えられています。[※2]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

一般的な用途としてはハーブティーとして摂取するので、ほっと一息入れたいとき、リラックスしたいとき、就寝前、カフェインの摂取を控えたい時におすすめです。

特に、風邪をひきそうだな、と感じた時や、眠れないな、と感じた時にぴったりのハーブティーです。リンデンの鎮静作用が緊張を解くのに役立ちます。

また、ハーブティー全般に利尿効果が期待できますが、リンデンウッドはむくみによいとされるハーブティのひとつです。

むくみが気になる人は、リンデンフラワーとリンデンウッド、それ以外にもむくみによいとされる幾つかのハーブをブレンドして摂取するとよいでしょう。

またリンデンフラワーを浮かべたハーバルバスもリラクゼーションに役立つとされています。

リンデンの摂取目安量・上限摂取量

天然植物由来成分のリンデンは安全な成分とされています。そのため、上限摂取量や目安などは特にありません。ハーブティーの中には禁忌のものもありますが、リンデンは誰でも安心して摂取できるものです。

しかし、安心だからといって、ハーブティーも飲みすぎれば胃腸に負担がかかります。特に冷たいハーブティーは血流を悪くしてしまうので、温かいものを、こまめに飲むようにしましょう。

また、リンデンには医薬品との相互作用がある場合もあるので、医薬品を服用している場合は医師に相談してから摂取するようにしましょう。

リンデンのエビデンス(科学的根拠)

リンデンは民間療法、植物療法として主にヨーロッパで長く利用されてきていますが、最新の研究でリンデンの花に含まれる成分に、変形性関節症の予防に効果的である可能性がある、ということが報告されています。この報告は2010年に日本メナード化粧品株式会社によって発表されたものです。

変形性関節症は、加齢などが原因で膝などの関節にある軟骨に弾力がなくなることで、摩擦が生じ、軟骨が削られ関節が変形してしまう疾患です。

軟骨は弾力性を持つことで、クッションの代わりになり、動く際に衝撃をやわらげてくれるものです。軟骨がなくなると、炎症や痛みを伴うため、心身ともにダメージを受ける人も多いです。

軟骨の主成分はコラーゲンとプロテオグリカンですが、変形性関節症を予防するには、コラーゲンとプロテオグリカンの分解を抑制することが有効とされています。

日本メナード化粧品株式会社は、リンデンの花のエキスが、コラーゲンがプロテオグリカンを分解する酵素の生成を抑えるとともに、炎症を悪化させる物質の生成を抑える、という関節炎モデル細胞による研究結果を発表しています。

研究では、関節炎モデル細胞にリンデンの花のエキスを添加。その結果、コラーゲンを分解する酵素「MMP-13」の生成を抑える効果、プロテオグリカンを分解する酵素「ADAMTS4」および「ADAMTS5」の生成を抑える効果が確認できたと報告しています。

さらに、リンデンの花に炎症を悪化させる「PGE2」、「IL-6」の生成を抑える効果があることも確認しているのです。[※3]

今後の研究成果が期待されますし、リンデンの花エキスを活用した膝痛対策の商品が誕生するかもしれません。

研究のきっかけ(歴史・背景)

リンデンは、古代から神聖な木として親しまれてきました。シューベルトの「リンデンバウム」でもよく知られる木で、リンデンの花ことばは「夫婦愛」です。

恋愛の木としても知られるリンデンですが、その由来はギリシャ神話からきているそうです。ハーブティーとして古くから愛飲されてきたリンデンの花からは、ハチミツも採取されます。

採取されるハチミツは貴重品で、ドリンクやリキュールなどに使用されてきました。ヨーロッパではリンデンが植物療法に利用され、神経と体の緊張をやわらげ、リラクゼーションや不眠の改善に役立っています。

フランスなどでは、興奮しやすい子どもに飲ませるのが習慣となっているそうです。[※4]

専門家の見解(監修者のコメント)

リンデンはPMSにも効果があるそうです。医師が監修している健康サイトでは、PMS緩和にハーブが役立つとしています。PMSにハーブが効果的と言われる理由が下記になります。

「ハーブは植物の中で、人の暮らしに役立つものをさします。ハーブは自然由来の効果で、穏やかに体や心に作用します。ハーブには筋肉の緊張をとり、リラックスさせる効果や、精神を安定させる効果などもあります。

また薬と違って、副作用の心配もほとんどありません。ですから、薬より安全にPMS症状を緩和できる場合があります。」[※5]

PMSに効果があるハーブとして、レモンバームやカモミール、ダンデライオンの葉、ラズベリーリーフ、チェストベリー、セントジョーンズワート、そしてリンデンを挙げられています。

リンデンを多く含む食べ物

リンデンを摂取したい場合は、ハーブ専門店などでリンデンフラワーかリンデンウッドを購入するか、あるいはリンデンが含まれたブレンドハーブティーを購入します。

リラックス系のブレンドティーや、むくみ対策などのブレンドティーにリンデンが含まれている場合も多いです。

相乗効果を発揮する成分

ハーブティーとして利用されることの多いリンデンは、さまざまなハーブとのブレンドで相乗効果を得られます。

リンデンフラワーは明るく前向きな気分になれるレモンバームや、安眠ハーブとも言われるカモミールとのブレンドにより、不眠改善効果が高まると言われています。不安な気持ちを取り除いてくれるオレンジピールなどもおすすめです。

また、リンデンに含まれるビオフラボイドにはビタミンCの吸収を高める作用があります。ビタミンCが豊富なハイビスカスやローズヒップとブレンドすると、美白などの美肌効果が期待できるでしょう。

リンデンウッドはほぼ香りがないため、さまざまなハーブとブレンドできます。特に脂肪燃焼効果をアップするにはアーティチョーク、デトックス効果を高めるには利尿作用や発汗作用があるジュニパーベリー、新陳代謝を高めるにはレモングラスなどがおすすめです。

アーティチョークにはコレステロール値や中性脂肪値を下げる働きがあると言われています。血流改善にもつながり、むくみも解消されるでしょう。

また、抗炎症作用や抗ウイルス作用があるリコリスとブレンドすると体が温まり、風邪予防になります。

リンデンに副作用はあるのか

ハーブの中には妊娠中には飲まない方がいいと言われる種類もあります。また、高血圧の人や肝臓疾患を持つ人、婦人科系の疾患を持つ人などは注意すべきハーブもあります。

さらに、過度な摂取や長期間飲み続けることに注意が必要なものもあります。しかし、リンデンはそのような種類のハーブではありません。

安全で安心して摂取できるハーブとされています。ただし医薬品を摂取している人や、妊娠中の人は医師に相談してから摂取するようにしましょう。