ガラナの効果とその作用

エナジードリンクの覚醒作用をもたらす成分として利用されるガラナは、集中力や注意力を高めるのに役立ちます。強壮効果や疲労軽減作用など多くの効果を持っており、仕事やスポーツ以外にもさまざまなことに活用できるのが特徴。ここではガラナの効果・効能について説明しています。

ガラナとはどのような成分か

ガラナはムクロジ科ガラナ属のつる植物です。南米のアマゾン川流域が原産地で、7月~8月頃に花が咲き、房状に赤い果実がなります。種子は8mmほどの大きさで、光沢がある黒い表面が特徴です。

種子にはカフェインが含まれており、覚醒効果や強壮効果が期待できます。かつては民間薬として、興奮剤や頭痛の改善、疲労回復のために使われていたようです。

ガラナの有効成分はグァラニンという成分だといわれていましたが、その後の研究でカフェインであることが判明しました。

ガラナは含まれるカフェインの量が非常に多いため、エナジードリンクやガム、タブレットなどさまざまなカフェイン含有製品に用いられています。

ガラナの効果・効能

ガラナには以下の効果・効能が知られています。

■覚醒作用・心身の強壮

中枢神経を刺激し、覚醒作用や心身の強壮作用をもたらします。[※1][※2]

■疲労を和らげる

研究から、ガラナを継続的に摂取することで倦怠感や疲労感を和らげる効果がわかっています。[※1][※4]

■鎮痛効果

ガラナは頭痛や神経痛などに対して鎮痛作用を示すことが明らかになっています。[※1][※2]

■高血圧やむくみの改善

ガラナに含まれる利尿作用により余分な水分を排出し、高血圧やむくみを改善することが可能です。[※1]

■生活習慣病の予防

ガラナには糖の代謝や脂質異常症を改善し、生活習慣病を防いでくれる効果が期待できます。[※5]

■アルツハイマーの予防に役立つ

ガラナを摂ることで認知機能が向上し、アルツハイマーの改善に役立つことが示唆されています。[※6]

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるのか

ガラナに含まれるカフェインやテオフィリン、テオブロミンは複数の作用を持っていることがわかっています。

これらはホルモンのはたらきを調整し、中枢神経でホルモンを受け取る受容体を阻害することで、全身にある中枢神経系で興奮状態を引き起こします。[※3]そのため、頭がスッキリしたり敏捷性を高めたりといった効果が得られます。

また、テオフィリンやテオブロミンには利尿作用があることも知られています。

腎臓の血流量を増やし、尿細管で再び吸収されることを抑えてくれるので、余剰水分を体内に溜め込むことなく、尿酸などの毒素とともに体外に排出できます。

近年ではガラナの強壮効果や疲労防止効果を期待した、ガラナエキス入りのエナジードリンクも販売されています。

ガラナ飲料1杯(180ml)には200~400mgのカフェインが含まれており、本来であれば過剰な量のカフェインを1度に摂っている計算になります。でもじつはガラナ飲料を1杯摂取しても、頭痛や不安感といったカフェインの副作用が出ることはほとんどありません、

その理由は、ガラナに含まれるタンニンです。カフェインとタンニンは結合した複合体として存在しているため、カフェインの刺激はゆるやかに持続します。[※1]

そのため、ほかの刺激性物質と一緒に服用しない限り問題ないようです。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

ガラナには優れた強壮作用があることから、スポーツをする人が運動の前にガラナを含む飲料を飲むと、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。

疲れにくくなる効果もわかっているので、仕事や運動で疲れがたまりやすい人は事前に摂取するのがおすすめです。

また、高血圧やむくみなどの症状が出やすい人にもガラナは効果を発揮します。

利尿作用で余剰な水分を排出してくれるため、立ち仕事で足がむくみやすい、通常時の血圧が高いという場合はガラナが含まれる食品を食べてみてはいかがでしょうか。

ガラナの摂取目安量・上限摂取量

ガラナの摂取目安量および上限摂取量ははっきりとわかっていません。しかし、カフェインが多く含まれているため、過剰摂取は禁物です。

カフェインにも1日の摂取目安量(ADI)は設定されていませんが、一部の国や国際機関では妊婦や子どもなどリスクが高いとされる人に対し、摂取しても問題が起こらないとされる目安量を設定しています。[※7] [※8][※9]

■健康に悪影響を与えないカフェインの摂取量[※7]

妊婦
300mg/日(オーストラリア保健・食品安全局、カナダ保健省)200mg/日(英国食品基準庁)
子ども
2.5mg/kg体重/日(カナダ保健省)
健康な成人
400mg/日(カナダ保健省)

ガラナのエビデンス(科学的根拠)

ガラナはさまざまな研究で用いられており、倦怠感の改善や肥満を防ぐ効果などがわかっています。

ABC School of Medicineに所属するde Oliveira Campos MPらは、全身化学療法を受けている乳がんの患者の倦怠感や疲労感などのアンケートを実施。

75名のうち32名にガラナ50mgを1日2回摂取してもらい、残りの43名にはプラセボ(偽薬)を同じ量摂ってもらいました。

21日間実験を行い、7日間の休止期間を入れた後にプラセボとガラナのグループを交換して、実験を続けました。

実験後の自己評価から、ガラナを摂取した時期はプラセボを摂取した時期と比べて倦怠感や疲労感が改善されていることがわかりました。

加えて化学療法で起こりやすい睡眠の質の低下や不安感、抑うつを引き起こさなかったことから、ガラナには全身化学療法を受けているがん患者に対し、疲労改善効果があることが示されました。[※4]

また、New York Obesity Research CenterのBoozer CNらは、肥満と診断された67名を対象に、ガラナとほかのハーブを含むサプリメントを投与し、体重の変化を測定しました。

67名をランダムにサプリメントを摂取するグループとプラセボを摂取するグループに分け、8週間実験を行いました。

実験の結果、各種ハーブを摂取したグループはプラセボよりも体重と体脂肪が顕著に減少したことがわかっています。

このことから、体重減少や肥満予防の効果が期待できます。[※5]

ほかにも国内で行われた研究では、ガラナから抽出したエキスが海馬のはたらきを高め、学習能力を上げることが明らかになっています。

鈴鹿医療科学大学大学院の高木康之氏は、ラットを使った実験で片方のラットにはガラナエキスを入れたエサを与え、もう一方のラットには水と普通のエサを与えたうえで、水で満たした迷路の道順を記憶できるか実験しています。

15日間の実験で、ガラナエキスを与えたラットは迷路の道順を覚え、泳ぐ時間が少なくなったことがわかりました。

このことから、ガラナエキスには学習能力を向上させる作用があることが示唆されています。[※6]

研究のきっかけ(歴史・背景)

ガラナは1660年代に発見された植物です。しかし、18~19世紀まで、欧米諸国で利用されることはありませんでした。

ガラナが研究されるようになったのは1940年代。主に興奮作用や体内で熱を発生させる効果を期待し、フランスやドイツで使用されました。ほかにもアメリカで精神にかかわるはたらきやスタミナ・耐久力の促進に利用されていたといわれています。

ブラジルでは疲労回復や肥満・老化防止に、ペルーでは種が下痢・心臓病・神経痛の改善に使われていたことが明らかになっています。

もともとは現地の住民が植物療法として使っていたガラナはサプリメントとして利用されはじめ、その後は栄養ドリンクの成分として世界中に知られるようになったのです。

現在はガラナを用いたソフトドリンク飲料が世界中に輸出されるようになりました。日本でもガラナを使った飲料が販売されており、特に北海道ではガラナ炭酸飲料が古くから親しまれています。

専門家の見解(監修者のコメント)

ガラナは仕事や勉強の効率を上げる効果が多くありますが、ガラナ単体についての見解を述べている専門家はあまりいません。

ただし、ガラナの成分については肯定的な意見を述べている研究者や医師もいます。

NPO法人国際エコヘルス研究会の理事を務める栗原久先生は、ガラナに含まれるカフェインの効果について以下のように述べています。

「カフェインには注意力・集中力を向上させる作用があります。カフェイン摂取直後に認知機能テストを実施すると反応時間が短縮し、注意力や集中力などの認知機能が高くなります」

「まだ科学的根拠レベルは限定的とする評価もありますが、認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病について、コーヒー摂取者は発症リスクが低下するという報告もあります。アルツハイマー病と並ぶ神経変性疾患であるパーキンソン病のリスクは、カフェイン摂取により低下することも示唆されています」

(ネスレ日本株式会社「コーヒーと健康~カフェインと脳の働き~」より引用)[※10]

カフェインには注意力・集中力を向上させる作用はもちろん、アルツハイマーの発症リスクを防ぐ効果もあるとして、注目されています。ただし、科学的根拠のレベルは限定的とする意見もあるようなので「効果が期待できる」くらいの認識に留めておくといいかもしれません。

ガラナエキスを含む食品

ガラナは清涼飲料水やガム、タブレットなどの製品に配合される成分です。ガラナに含まれるカフェインやテオフィリンなどの効果を期待して、エナジードリンクや栄養ドリンクにガラナエキスを配合しているメーカーもあります。

ガラナの原産地であるブラジルではガラナソーダが販売されており、人気商品となっています。

日本でも北海道のメーカーがガラナを含む炭酸飲料を発売しており、北海道ではメジャーな飲みものとして知られているようです。

一緒に摂るべき成分

ガラナは強壮作用や疲労の軽減などさまざまな効果が期待できる食品ですが、カフェインが多く含まれています。

カフェインは過剰摂取すると頭痛・不安感・胃の不快感などを引き起こすことが知られている成分です。[※7]そのため、単体で摂るのは推奨されていません。

カフェインの作用を抑えるためには、タンニンを一緒に摂るのがおすすめです。カフェインだけでは強い刺激も、タンニンを合わせて摂取することで抑えられます。[※11]

ガラナに副作用はあるのか

ガラナに含まれている成分はカフェインとタンニンがくっついているため、刺激作用が緩やかで持続しやすいといわれています。ほかの刺激を与える物質と一緒に摂らなければ、安全といえるでしょう。[※1]

ただカフェインが含まれているため、人によっては緊張や心拍数の増加、吐き気などをもよおす可能性があります。

カフェインは過剰摂取した場合、頭痛や不安感・不整脈・胃のけいれんなどの症状を引き起こすことも。[※7][※9]影響を受けやすい人は少な目に摂取するのが良いでしょう。

定期的にカフェインを摂っている人は耐性がついているため、急に減らすと頭痛や集中力の低下などの離脱症状が起こるおそれがあります。

また、ガラナの成分は中枢神経系に作用することから、糖尿病・心臓疾患・高血圧・不安感・緑内障・骨粗鬆症・出血性の症状を悪化させることが考えられます。上記の症状が出ている場合は摂取しないようにしてください。

妊娠中、子どもの授乳期も安全性が確認されていないため、使わないようにしましょう。

注意すべき相互作用

ガラナは降圧剤や血液凝固剤などと併用すると効果を弱める可能性があります。以下の成分・物質と合わせて摂取すると、相乗効果で体に悪影響を及ぼす可能性があるため、併用は止めましょう。[※1]

  • アデノシン
  • ジピリダモール
  • アルコール
  • エストロゲン(卵胞ホルモン)製剤
  • エフェドリン塩酸塩
  • クロザピン
  • コカイン塩酸塩
  • ジスルフィラム
  • シメチジン
  • テオフィリン
  • テルビナフィン塩酸塩
  • ニコチン
  • フルコナゾール
  • フルボキサミンマレイン酸塩
  • ベラパミル塩酸塩
  • ペントバルビタールカルシウム
  • メキシレチン塩酸塩
  • リルゾール
  • 避妊薬(経口避妊薬)
  • キノロン系抗菌薬
  • 血液凝固を抑制する医薬品(抗凝固薬/抗血小板薬)
  • 炭酸リチウム
  • 糖尿病治療薬

参照・引用サイトおよび文献

  1. 田中平三ほか『健康食品・サプリメント[成分]のすべて 2017 ナチュラルメディシン・データベース』(株式会社同文書院 2017年1月発行)
  2. 伊藤進吾、シャンカール・ノグチ監修『世界で使われる256種 ハーブ&スパイス事典』(誠文堂新光社 2013年12月発行 p42)
  3. Nam H Nguyen著『エッセンシャル18000メディカル語日本語辞書: Essential 18000 Medical Words Dictionary in Japanese』(2018年2月発行 No.8142)
  4. de Oliveira Campos MP 「Guarana (Paullinia cupana) improves fatigue in breast cancer patients undergoing systemic chemotherapy.」 PubMed-J Altern Complement Med. 2011 Jun;17(6):505-12. doi: 10.1089/acm.2010.0571. Epub 2011 May 25.
  5. Boozer CN「An herbal supplement containing Ma Huang-Guarana for weight loss: a randomized, double-blind trial.」PubMed-Int J Obes Relat Metab Disord. 2001 Mar;25(3):316-24
  6. 【PDF】高木 康之「ガラナ水抽出物の水迷路学習能」(鈴鹿医療科学大学大学院 修士論文要旨)
  7. 【PDF】内閣府食品安全委員会「特集 食品中のカフェインについて|食品安全」(2017年7月号 p2-3)
  8. 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
  9. 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
  10. 【PDF】ネスレ日本株式会社「コーヒーと健康~カフェインと脳の働き~」
  11. 伊藤園「テアニン摂取による中枢神経興奮作用緩和を確認 | ニュースリリース」