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にんにく卵黄の効果とその作用

昔から多くの人に利用されているにんにく卵黄は、毎日元気に過ごしたいという方々から支持されています。にんにくは、古くから野菜や香辛料としてだけでなく、健康維持や多くの疾病予防、治療にも有効であるとされています。

また卵黄のレシチンは血行を改善する働きがあるとされています。このように体の中から働きかける成分が多く含まれています。

にんにく卵黄とはどのような成分か

現在、「にんにく卵黄」は健康食品として知られていますが、実はその歴史は古く、江戸時代から九州の南部で、「にんにく」と「卵黄」を加熱しながら混ぜ合わせて作る伝統的食品として利用されていました。

この伝統的製法で作るにんにく卵黄は、粉末で利便性には優れていましたが、匂いが非常に強かったため、消費者のニーズに応えるのは困難でした。

そこで各メーカーが工夫をこらし、伝統製法を守り続けながらも、ソフトカプセル化にすることにより、利便性と匂いの低減化を図った商品が、現在、各社から販売されているにんにく卵黄のサプリメントです。

また世界中でにんにくは活用され、欧米ではハーブサプリメントとして分類され、脂質異常症や高血圧症に対する効果が示されています。またガンなど疾病にも効果が期待できるというエビデンスがあります。

にんにく卵黄の効果・効能

にんにく卵黄には、次のような効果・効能があると言われています。

■滋養強壮

アリシンは有機化合物である硫化アリルの一種で、にんにくやニラなどの独特な刺激臭や辛味などの元となっている成分です。特にニンニクに多く含まれ、疲労回復や病気から体を守る成分として知られています。

■動脈硬化の予防や改善効果

動脈硬化は動脈が弾力を失い、硬くひび割れ、もろくなった状態をいいます。血管内にLDL-コレステロールが溜まって、血管内が狭くなると血流が滞り、血栓が詰まったり、血管が破れたりするなど、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などさまざまな病気を引き起こします。

にんにくオイルにメチルアリルトリスルフィド(MATS)という成分が含まれており、血栓の凝集を抑える効果があります。[※]

血小板凝集抑制作用の研究よると、にんにくを食べた後、顕著に血液検査にあらわれると発表されています。

血栓の凝集を抑えることは、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの予防に期待できます。

■脂質異常症の改善効果

脂質異常症とは血液中のLDL(悪玉)コレステロール値や中性脂肪値が高い、又はHDL(善玉)コレステロール値が低い状態をいい、一般的に自覚症状はありませんが、生活習慣病であり、動脈硬化をすすめます。

にんにくに含まれる「ジアリルジスルフィド」と「ジアリルトリスルフィド」にはLDL(悪玉)コレステロールを減らす働きやコレステロールの合成を抑える働きがあります。

実際に、にんにくを4~6ヶ月食べ続けると、体内のLDL-コレステロールの酸化物が約30%減ったという結果も出ています。

しかし、にんにくの摂取をやめてしまうと、コレステロール値が数か月後には高い状態に戻ってしまうため 、継続が重要です。

■高血圧を改善する効果

血圧とは、心臓が血液を全身に送り出しますが、この血液の流れが、動脈の壁にかける圧力のことです。高血圧の状態が続くと、血管がもろくなり、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などの原因となります。

にんにくに含まれる3種類の成分の働きによって血圧が下がるといわれています。

にんにくの臭いのもとであるアリシンは、コレステロール値の上昇を抑えるほか、血液中にある脂肪の燃焼を促す働きがあり、血行を促進してくれます。そのため、血流がよくなることで、血圧低下に影響すると考えられています。

また硫黄化合物であるスルフィド類は血小板凝集作用があり、血液の流れをよくして、血圧を下げる働きがあります。

さらに硫化水素は、にんにくを食べた後にカラダの中で作られますが、硫化水素が血管に入ると血液中に酸素を多く取りこもうとし、血管を広げます。そのため血圧が下がるということです。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

にんにくやねぎ、ニラなどの臭いのもとになっている香気成分であるアリシン(硫化アリル)はファイトケミカルの一種で植物由来の抗酸化栄養素を含んでいます。

この他にもにんにくには、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン、有機ゲルマニウム、セレン、葉酸を含むビタミンB群、リジン、アルギニン酸、アスパラギン酸、ニンニクレクチン、モリブデンといった、非常に多くの栄養素を含んでいます。

アメリカ国立ガン研究所を中心としてスタートした「デザイナーフーズ計画」では、にんにくが、そのピラミッドの一番上に位置づけられています。

アリシンはナチュラルキラー細胞(NK細胞)を活性化して免疫力を高め、がん予防にも有効です。

アリシンが分解される過程でできる含硫アミノ酸にも、体内の有害金属や発がん物質を取り除く働きがあります。

調理でにんにくを切るなどすると、にんにくに含まれるにんにくの細胞が傷つけられます。別々の細胞内にあるアリインという化合物とアリイナーゼという酵素が出会い、アリインがアリイナーゼによって加水分解されてアリシンという物質に変化します。

このアリシンには強力な殺菌作用があり、サルモネラ菌や病原性のカビ、チフス菌、コレラ菌、寄生虫の駆除などに効果を発揮し、臨床応用もされてきた物質です。滋養強壮や疲労回復はもちろんのこと、老化防止や美容効果、免疫力のアップなどさまざまな効果が期待される成分です。

ただしアリシンは非常に不安定な物質で、熱に弱く揮発性が高いため、水に溶け出しやすいという性質を持っています。高い熱で調理したり、切ったにんにくを水にさらしたりすると、アリシンを効率よく体内に取り込むことができません。

ただ、にんにくをすり潰すとアリシンとビタミンB1が結合してアリチアミンという安定した成分に変化して、熱に強く腸内での吸収率も高まります。もともとビタミンB1は水溶性なので体外に排出されやすいのですが、アリチアミンになると脂溶性の物質になるため、体内にとどまる時間が長くなり、糖質を代謝してエネルギーをより効率よく発生できるようになります。

そのため、疲労回復や滋養強壮を目的としたサプリメントやドリンクには、にんにくを使用したものが多いのです。他にも油で調理することによってアリシンの成分そのものが壊れにくくなることもわかっています。

また、卵黄に含まれるタンパク質は、アミノ酸バランスが整っており、カラダに必要な必須アミノ酸を効率よく摂取できるほか、代謝に必要なビタミンB1、ビタミンA(レチノール)、ビタミンDなどが豊富に含まれます。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

疲れがとれない人、体力が落ちてきた人、風邪をひきやすくなってきた人に向いています。

また高血圧、動脈硬化、脂質異常症などの生活習慣病が気になる人にも期待できます。

にんにく卵黄の摂取目安量・上限摂取量

通常の食材に由来する成分であり、一般的に問題となる健康被害や副作用は知られていません。

健康食品やサプリメントを利用する際は、製品に記載されている、用法、用量を守りましょう。

また1度に大量に摂取したからといって効果が出るものではありません。継続していくことが大切です。

ただし何らかの医薬品を服用中の場合には、相互作用が想定されるため、主治医や薬剤師に相談しましょう。

にんにく卵黄のエビデンス(科学的根拠)

試験製品と方法

生にんにくをすり潰し、有精卵の卵黄と80:20の比率で混和して低温化で長時間練り合わせ、粉末状にした後、菜種油、ミツロウなどを加えてこれをソフトカプセル化(7.5オバール)に充填したものが「伝統にんにく卵黄」の市販製品です。ソフトカプセル化にすることで、匂いと胃腸への影響が軽減されています。

1カプセル中には、にんにく卵黄粉末が188mg含有されており、1日2カプセル(にんにく卵黄として376mg)が通常用量です。この市販製品2粒を用い、対照となるプラセボには、にんにく卵黄粉末の代わりにデキストリンを用いて作製しました。

各ヒト試験においては、「伝統にんにく卵黄」通常用量を試験食品とし、それを摂取させた被験者群(試験群)と同量のプラセボ群との間で二重盲検並行群間比較試験が実施しました。[※]

その結果、左手の手背部、右手の手背部、両手中指先端の指腹部、および両足の足背部に有意な血流量の増加がみられ、末梢血行促進作用を示したと判断できました。[※]

研究のきっかけ(歴史・背景)

近年、にんにくの活性成分の研究が進み、その機能性や定量化が解明されたことで、にんにくには、特徴的な薬理学的活性をもつ成分が複数存在することがわかってきました。

しかし、加工過程や利用方法の違いにより質的変化や量的変化を受ける結果、それぞれのにんにく加工製品はその機能に大きな違いを生じます。

これは特定のにんにく加工製品について得られた有効性の結果が、ほかのにんにく加工製品では異なる結果となる可能性を意味します。[※]

今回は、「伝統にんにく卵黄」製品でヒト試験を実施した結果、中高年女性に対する有益な機能として「末梢血行促進作用」と「更年期周辺女性の気分プロフィールに対する影響」で低減効果、改善効果が期待できることが示唆されました。

このことから「伝統にんにく卵黄」の摂取は恒常性機能の改善に有用と考えらえられます。

専門家の見解(監修者のコメント)

にんにくは、古くから野菜や香辛料としてだけでなく、健康維持や多くの疾病予防、治療に有効であることが経験的に知られており、様々な形で利用されています。

今後の課題は、そのほかの有益な作用について探索的研究を進めるとともに、確認された作用に主たる役割を担う化学成分の特定とそのメカニズムの解明にあり、この面の研究の進展が期待されます

にんにくを使ったレシピ

にんにく醤油

材料

  • にんにく 50g
  • しょうゆ 100cc
  • みりん 大さじ1
  • 酒 大さじ1
  • 昆布(2cm角)3g

【作り方】

  1. しょうゆ、みりん、酒を鍋に入れ沸騰させ、火を止める。
  2. 熱湯消毒した瓶に、皮をむき、半分に切ったにんにく、2cm角に切った昆布を入れ、1を注ぎ入れ、冷蔵庫に保存する。
  3. 半日ほど寝かしてから、使用する。

【使い方】

酢や油と混ぜ合わせ、ドレッシングやたれに使用したり、炒め物などの味付けとしても便利です。

相乗効果を発揮する成分

にんにくと卵黄を組み合わせた理由は、その相乗効果にあります。卵黄に含まれるビタミンB1は、にんにくの代表的有効成分のアリシンと結合することで、吸収性が向上し、アリチアミンという成分に変性します。

一般的に、持続型ビタミンB1と呼ばれるアリチアミンは、血液中に長時間とどまることができ、またアリチアミンは、血中に長くとどまり、効果を持続することができます。通常ビタミンB1は体内への吸収率が低いのですが、活性持続型ビタミンB1ともいわれるアリチアミンのかたちになると、その吸収率が100%近くにもなるといわれています。

あのアリナミンに含まれる成分や「にんにく注射」にも、このアリチアミンの類似成分が配合されています。代謝が活性化されることにより、疲労物質がたまりにくいカラダになり、エネルギーの産生能力もアップすると考えられています。[※]

にんにく卵黄に副作用はあるのか

にんにく卵黄には、にんにく特有の有効成分であるイオウ化合物など多数の機能性成分が含まれていますが、効能があるからといって一度に大量摂取することは控えるべきです。

たとえば、にんにくの有効成分には殺菌作用があることがわかっていますが、摂取目安量を無視してたくさん摂ってしまうことで、腸内に存在する有用菌を減らす可能性や、胃壁が荒れたり、腸への刺激が強すぎて軟便になったりと、健康に悪影響を及ぼすケースもあります。[※]

ひとくちに「にんにく卵黄」といっても、ソフトカプセルタイプや、丸薬のようなタイプなどの形状もさまざまです。製造工程の違いによって含まれる成分も変わってくるため、一概にはいえませんが、もともと胃腸の弱い方などは、メーカーの提示する摂取目安量よりも少なめに摂るなどの調整が必要です。

にんにく卵黄は、食後の摂取が推奨されていますが、これは、胃腸への負担を軽減するためです。

参照・引用サイトおよび文献

  1. 循環器病情報センター:[61] 高血圧治療の最新事情