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ガルシニアの効果とその作用

ガルシニアは肥満予防効果が期待される成分として研究が進んでおり、サプリメントや健康食品などに配合されている成分です。ここでは古くから香辛料や民間薬として親しまれてきたガルシニアについて、効果・効能をまとめました。効果や作用について、科学的根拠となる研究論文や専門家の見解も掲載しています。

ガルシニアとはどのような成分か

ガルシニアとは南・東南アジアに自生しているオトギリソウ科の植物です。スパイスや保存料として利用され、インドの伝統医学アーユルヴェーダでは民間薬として使われています。

果皮には脂肪の代謝を抑制できるヒドロキシクエン酸が豊富に含まれており、肥満予防に役立つ成分として期待が高まっています。[※1][※2]そのため、アメリカではダイエット食品の原料として利用されています。

近年はガルシニアに、余分な糖が脂肪に合成される経路を阻害する作用がわかってきました。脂肪の抑制だけでなく減量や抗がん作用などの効果も期待されており、現在も高い有用性を持つ成分として研究されています。

ガルシニアの効果・効能

ガルシニアには、以下の効果があるといわれています。

■肥満予防効果

食事から摂取した糖はエネルギーとして利用され、余ったものは体内でグリコーゲンに変換されるか、脂肪の合成に使われます。ガルシニアには脂肪の合成を阻害する働きがあるため、体脂肪の増加を抑制すると考えられています。

また、ガルシニアを運動前に摂取することによりエネルギーとして必要な脂肪酸が合成できず、すでにある体脂肪を利用することになり、脂肪燃焼効果が見込めます。[※2][※3]

ほかにもガルシニアの摂取によりグリコーゲンの生産量を増やし、空腹時の血糖値を一定に保つことが可能。血糖値が安定化するため空腹感を抑える働きが期待できます。[※1][※2][※3]脂肪の合成抑制と脂肪燃焼、空腹感を抑える作用から、肥満の予防効果が示されています。

■コレステロール値を下げる効果

研究により、ガルシニアが血液中のコレステロール濃度を減少させる働きがわかっています。[※5]

コレステロールは細胞を作る脂質ですが、バターやラードといった動物性脂肪が多く含まれる食品を摂りすぎると血中のコレステロール濃度が増加、脂質異常症や動脈硬化などの病気を引き起こす原因となります。

ガルシニアを摂取すると、コレステロールを下げて病気のリスクを低減させることが可能です。[※2]

また、ガルシニアに含まれるヒドロキシクエン酸(HCA)には、研究から以下の効果が示唆されています。

■脂肪燃焼効果[※4]

■グリコーゲンの回復促進[※4]

■抗がん作用[※7]

どのような作用があるのか

食事から吸収した糖はエネルギー源となりますが、食事量が多く余った糖はグリコーゲンとして貯蔵されるほか、脂肪の合成素材になります。

このとき、合成に使われるATPクエン酸リアーゼの働きを阻害することで、余った糖が脂肪の合成に使われるのを阻止。[※3][※7]変換されないクエン酸を増やし、余った糖をすべてグリコーゲンに変換します。そのため体内の脂肪が増えることなく、エネルギーを貯蔵できるのです。

また、グリコーゲンが増えることにより血中のグルコース濃度が安定し、血糖値が一定に保たれます。その作用により、空腹感を抑えて過食を予防してくれます。[※3][※7]

他にも、ATPクエン酸リアーゼを阻害することで脂肪の合成を減らすだけでなく、がん細胞の増殖抑制が可能です。がん細胞は酸素を使わないATP経路でエネルギーを作り出すため、生産に関わるATPクエン酸リアーゼを阻害することで、細胞のがん化進行を抑制します。[※7]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

体内の脂肪を減らす効果が期待できるガルシニアは、コレステロール値を気にしている方や食べ過ぎる傾向がある方におすすめ。

ガルシニアは脂肪の合成を防ぎコレステロールを下げることから、普段からコレステロールが高い人は摂るべき成分です。

また、血糖値を一定に保ち空腹を感じにくくするため満足感を得やすく、食べ過ぎてしまうことが減ります。ご飯やおやつを食べ過ぎてしまう人にとって、ガルシニアは強い味方といえるでしょう。

ガルシニアの摂取目安量・上限摂取量

厚生労働省が定めているガルシニア抽出物の計測摂取における摂取目安量は、1日当たり0.5~1.5g程度です。[※8] [※9]

ラットを使った実験では、ヒドロキシクエン酸として摂取した場合462.6mg/kg/日の無毒性レベルが設定されています。無毒性レベルとは体に影響を及ぼさないことがわかっている摂取量のことです。

たとえば体重が50kgの方なら1日当たり約23g。無毒性レベルは健康食品の摂取目安量の約10倍に設定されており、市販の健康食品でもこの値を超えなければ問題ないとされています。[※8] [※9]

ただし、現時点ではデータが不十分なことから、上限摂取量は定められていません。そのため、ダイエット効果を期待して大量摂取するのは避けましょう。

ガルシニアのエビデンス(科学的根拠)

ガルシニアは主に肥満の予防効果について多く研究されています。脂肪の抑制やコレステロールの減少について研究したエビデンスとして、以下の報告が挙がっています。

Vasques CAらの実験では、肥満と診断された成人男女58名(BMI:30.0~39.9)を対象にコレステロール値の変化を調べています。対象者には、偽薬とガルシニア+コンニャク抽出物を1日3回食事前に投与。それを12週間継続しました。

12週間後、ガルシニア+コンニャク抽出物を摂取したグループではもともとの総コレステロール値から32.0mg/dL低下、およびLDL(悪玉)コレステロール値は28.7mg/dL低下したという結果が出ています。この結果から、ガルシニアを摂取することで抗コレステロール作用が得られるという結果が示されました。[※5]

BMI25以上の成人男女40名を対象にした速水耕介らの実験では、ガルシニアエキスに内臓脂肪を減らす効果があることが実証されています。

ガルシニアエキスを1日3回に分けて8週間摂取させたところ、内臓脂肪の面積が90 cm²の被験者で、内臓脂肪・皮下脂肪の面積減少が見られました。プラセボを摂取したグループと比べて明確に減少が見られたことから、内臓脂肪の減少と肥満に起因する生活習慣病の予防が期待されています。[※10]

澤田玄道らはラクトン型のヒドロキシクエン酸を含む水溶性ガルシニアパウダーと液体のガルシニアエキスを作り、カルシウム型のガルシニアパウダーと比較。ラット及びヒトでの体重の変化を観察しました。

比較実験の結果、ラットにエサとガルシニアを同時に与える条件では、ラットの体重増加を抑える効果が証明されています。
また、ガルシニアパウダーおよびガルシニアエキスはすべてで脂肪の蓄積抑制を示したことから、ヒトの体重減少にも有効性が期待されています。[※11]

肥満の予防効果以外にも、体内で起こる酸化的損傷を抑える研究が発表されています。

同志社大学アンチエイジング医学研究センターでは、軽度肥満とされる健康体のヒト35名に、標準的な医療検査及びホルモン年齢の評価、健康評価のための共通QOLアンケートを行いました。

対象者にはL-カルニチンおよびガルシニアカンボジア抽出物を含む栄養補助食品を摂取させ、身体への影響を調査。その結果、栄養補助食品の摂取により、酸化的損傷を減らす効果が期待されています。ただしQOL(生活の質)への影響は十分に確認されていません。[※7]

ガルシニアは現在も研究が進められているため、今後も新たな効果が見つかる可能性があります。

研究のきっかけ(歴史・背景)

長年スパイスとして利用されてきたガルシニアは、インドで消化を助け食欲を抑制する民間薬として重宝されてきました。

研究が進み、この効能がガルシニアの果皮に含まれるヒドロキシクエン酸の働きによるものだと明らかとなり、スイスの製薬会社によって肥満の予防薬として研究・開発が始まります。

製薬会社による特許が切れると、肥満防止効果のある成分としてアメリカで注目を集め、ダイエット食品やサプリメントとして使われるようになりました。[※2][※4]

専門家の見解(監修者のコメント)

ガルシニアは古くから研究されており、効果についての科学的根拠が豊富にあります。そのため、効果に対して肯定的な研究者がほとんど。サプリメント研究を行っている医学博士の蒲原聖可氏も、ガルシニアの効果についてこのように述べています。

「ガルシニアサプリメントによる減量は,劇的な効果ではないものの,一定の効果は期待できると考えていいでしょう。」(DHC「ガルシニアの減量効果|医学博士 蒲原聖可ブログ|DHC Dr.ブログ」より引用)[※12]

一気に体重が減ったりすることはないものの、一定の減量効果は期待できるという医学的見解を述べています。

ガルシニアについて分析された研究は、5,000報を超える研究論文・学会抄録などがあります。そんな文献のひとつで蒲原氏は安全性についても言及しています。

「基礎研究では,多彩な作用メカニズムが知られており,多くの臨床研究によって,有効性と安全性が確立しているサプリメントです」(DHC「ガルシニアの減量効果|医学博士 蒲原聖可ブログ|DHC Dr.ブログ」より引用)[※12]

ガルシニアは多くの研究から安全性や有効性がわかっている成分なので、安全に使用できます。摂る際は摂取量や使い方に気を付けて、継続的な摂取を心がけるのが良いでしょう。

ガルシニアの効率的な摂取方法とは

ガルシニアは脂肪の合成を抑える効果があります。運動前に摂ると新たな脂肪を作らず、体内の脂肪酸をエネルギーに変えて消費。そのため、効率的に体脂肪を減らす効果が得られます。[※4]

また、ガルシニアに含まれているヒドロキシクエン酸は、グリコーゲンの回復を促す作用があります。実験で運動後にヒドロキシクエン酸を摂取した被験者は、摂取していない被験者よりも筋グリコーゲンの回復が早かったことがわかっています。[※4]

ヒドロキシクエン酸を摂ることで消費されたグリコーゲンを回復しやすい状態になるため、次の日に疲れを残さず活動できる効果が期待できます。

一緒に摂るべき成分

ガルシニアと一緒に摂るべき成分としてあげられるのは、ビタミン様物質であるαリポ酸です。αリポ酸はエネルギーの産生に深く関わっており、糖代謝促進や抗酸化作用を持つ成分です。

ガルシニアとαリポ酸を合わせて摂ることで脂肪の増加抑制と同時に糖の代謝が進み、体脂肪を減らす効果が得られます。[※7]そのため、より高いダイエット効果が期待できます。

また、ガルシニアとαリポ酸にはがん細胞への増殖抑制効果が示唆されています。ガルシニアとαリポ酸がATPクエン酸リアーゼの活性を阻害すると、脂肪の合成が阻害されてがん細胞の増殖を抑えられます。 TCAサイクルが正常化することで、アポトーシス(がん細胞の自死)が起こりやすくなると考えられています。[※7]

αリポ酸は牛・豚のレバーや心臓、ほうれん草、ブロッコリーなどに含まれていますが、その量はごくわずか。効果が感じられるだけの量を摂取する場合は、高濃度のαリポ酸が摂れるサプリメントを活用しましょう。

ガルシニアに副作用はあるのか

ガルシニアの摂取で知られる副作用としては、精巣への悪影響があります。5.0%のガルシニア粉末(1日当たり2,460.9mg/kg)をラットのエサに混ぜたところ、1年間の長期摂取で精巣機能への影響が見られました。[※8][※9]

ガルシニアパウダーの健康に影響しない摂取量は462.6mg/kg/日となっていますが[※8][※9]、この数字を見る限り、非常に多い量を摂取しない限り、副作用は出ないといえます。

したがって、健康食品やサプリメントなどでガルシニアを摂取する場合に副作用は起こりにくいと考えて良いと思います。

参照・引用サイトおよび文献

  1. これは効く!食べて治す 最新栄養成分事典(主婦の友社 2017年9月発行)
  2. わかさ生活「ガルシニア | 成分情報 | わかさの秘密」
  3. 北海道医療大学薬学部衛生薬学講座(衛生化学)和田研究室ホームページ「ガルシニア(garcinia)」
  4. 日本新薬「マラソンで自己ベストを更新するために|FoodLabo 日本新薬 機能食品カンパニー」
  5. Evaluation of the pharmacotherapeutic efficacy of Garcinia cambogia plus Amorphophallus konjac for the treatment of obesity. PubMed-Phytother Res. 2008 Sep;22(9):1135-40. doi: 10.1002/ptr.2323.
  6. Effects on the Human Body of a Dietary Supplement Containing L-Carnitine and Garcinia cambogia Extract: A Study using Double-blind Tests. PubMed-J Clin Biochem Nutr. 2008 Mar;42(2):89-103. doi: 10.3164/jcbn.2008014.
  7. 銀座東京クリニック「ヒドロキシクエン酸の抗がん作用」
  8. 厚生労働省医薬局食品保健部「ガルシニア抽出物を継続的に摂取する健康食品に関する情報提供について」
  9. 大阪府公式ホームページ「健康食品ガルシニアについて」
  10. Effects of Long-term Administration of Garcinia cambogia extract on Visceral Fat Accumulation in Humans: A Placebo-controlled Double Blind Trial(Volume 50 (2001) Issue 10 Pages 805-812)【PDF】
  11. 液体ガルシニアエキス及び水溶性ガルシニアパウダーの体重変化に及ぼす影響(日本油化学会誌 46 巻 (1997) 12 号 p. 1467-1474 1997)【PDF】
  12. DHC「ガルシニアの減量効果|医学博士 蒲原聖可ブログ|DHC Dr.ブログ」