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フラクトオリゴ糖の効果とその作用

フラクトオリゴ糖はお腹の調子を整え、腸から健康を作り出す成分です。1993年に特定保健用食品の認可を取得し、現在では世界中でその効果が認められています。

便通改善や腸の消化機能をアップさせる働きもあり、摂取することで健康に対して幅広い効果が期待できます。

フラクトオリゴ糖とはどのような成分か

フラクトオリゴ糖はアスパラガスやゴボウ、タマネギといった食品に含まれているオリゴ糖の一種[※1]です。普通の糖分とは異なり、胃で消化されることなく腸まで届き、ビフィズス菌や乳酸菌といった腸の善玉菌を増やす作用があります。

フラクトオリゴ糖は1979年に研究・開発が始まった成分で、1993年には特定保健用食品(トクホ)の第一号として認可を取得しました。その後、2000年にはアメリカでGRAS(一般的に安全と認められる食品)の認証を取得。現在では世界中で使用されています。

善玉菌を増やしお腹の調子を整えるフラクトオリゴ糖は、免疫力の改善や健康な便通、高血糖の予防、脂質代謝の改善といった幅広い健康効果が期待できます。

フラクトオリゴ糖の効果・効能

フラクトオリゴ糖には以下のような効果・効能が報告されています。

■腸内環境を整える作用

フラクトオリゴ糖には整腸作用が期待できます。また、ビフィズス菌や乳酸菌といった腸内の有用菌を増やし、腸内環境を荒らす悪玉菌を減らすため、摂取を継続すれば腸内フローラを良い状態に保つことにも役立ちます。[※2]

ちなみに、お腹の調子を整える成分には、乳酸菌をはじめとしたその他の成分も知られていますが、消化されることなく生きて腸まで届くのがフラクトオリゴ糖の特徴です。さらに、腸内でビフィズス菌や乳酸菌を増やす働きがあり、他の成分より高い整腸作用が期待できます。

■血糖値の急激な上昇を抑える

フラクトオリゴ糖は他の糖分と比べても消化されにくいのも特筆すべき点です。消化されずに腸に届くため、血糖値が上がらず体への負担が少なく、体内でエネルギーに変換されにくいので、低カロリーな甘味としても人気があるのです。

■ミネラルの吸収を助ける

フラクトオリゴ糖には特にカルシウムの吸収を促進させる作用があることが報告されています。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

フラクトオリゴ糖は腸内の善玉菌の栄養源となる成分です。善玉菌は、人間の腸内に存在する細菌のうち、名前の通り健康維持のために働いてくれる働きを持つものを指します。

細菌には大きく分けて善玉菌と悪玉菌の2種類があり、このうち悪玉菌は腸内に腐敗物を貯め込み、体に悪影響を及ぼす有害物質を発生させます。同時に善玉菌の働きを抑制し、腸内環境を悪化させてしまうのです。

悪玉菌が増え続けると体の免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなってしまいます。[※3]これを防ぐためには、善玉菌を増やすことが必要です。

善玉菌は、悪玉菌と逆に、増えることで悪玉菌の働きを抑制し、腸内環境を改善する働きを持つ腸内細菌です。[※4]

善玉菌を増やす方法は様々ですが、フラクトオリゴ糖は、元々存在する善玉菌の栄養源となり、その数を増やす作用があります。そのため、摂取し続けることで腸内の善玉菌を確実に増やすことが期待できます。

善玉菌は、便通の改善だけでなく、病原菌の感染予防やビオチンやステロイドホルモンといった成分の合成、免疫機能の強化などが働きとして知られます。さらに、なかには発がん性物質の分解や無毒化といった働きを持つ善玉菌もあり、これらの活動を活発化させることで、健康を保ちやすくなるでしょう。[※4]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

フラクトオリゴ糖は便通に悩んでいる方の助けになる成分です。善玉菌の栄養となり、腸内環境の継続的な改善が期待できるため、現在便通で悩んでいる方はもちろん、お腹の調子が悪くならないように予防する効果も期待できます。

腸内にある善玉菌と悪玉菌は生まれた時から存在するものです。生まれてから離乳食になるころは、善玉菌の代表的な細菌であるビフィズス菌が90%を占めています。しかし、離乳期を過ぎると善玉菌は徐々に減り始めていき、加齢とともに悪玉菌の数が増えていってしまいます。

増えていく悪玉菌を抑制するためには、説明した通り善玉菌を増やすことが必要です。食生活や生活習慣などにより、善玉菌や栄養となる成分を摂取したりすることでコントロールができます。[※4]

近年では、善玉菌の働きが一般的に認知されるようになり、善玉菌を増やすサプリメントやヨーグルトといった商品が増えています。しかし、サプリメントには他の成分も含有されているので安全性が気になる、ヨーグルトはカロリーや糖分が気になる、といった方も少なくありません。

その点、フラクトオリゴ糖は特定保健用食品に認定されているため安全性もあり、消化されにくいという特性により低カロリーで血糖値を上げないので、体への負担を気にすることなくお腹の調子を整えることができます。

フラクトオリゴ糖の摂取目安量・上限摂取量

フラクトオリゴ糖は低カロリーで血糖値の上昇に影響が出ないという利点がありますが、過剰に摂取するとお腹が緩くなり下痢になる可能性もあるので、摂取量には注意が必要です。[※5]

フラクトオリゴ糖の一日の摂取量の目安は、3~8gとされています。ただし、他の食品にもオリゴ糖は含まれているので、それらの量も考慮して目安内の摂取をするようにしましょう。[※6]

また、いつも同じ量を摂取していても、その日の体調によりお腹が緩くなってしまう場合もあります。体質によってもフラクトオリゴ糖の影響は異なるので、摂取量には十分に注意するようにしましょう。

フラクトオリゴ糖のエビデンス(科学的根拠)

フラクトオリゴ糖の整腸に関する効果は国内外でも認められており、1993年には特定健康保険食の認可取得、2000年にはアメリカでGRAS(一般に安全と認められる食品)の認可取得が認められました。現在では世界的に健康性と安全性のある成分として認知される成分です。

国内明治フードマテリアでは、健康な成人27名を3グループに分け、フラクトオリゴ糖を1g,3g,5gとそれぞれに2週間連続で摂取してもらう実験を行っています。

この結果、1g摂取、3g摂取、5g摂取の3つのグループで善玉菌の数が増え、悪玉菌の数が減少することがわかりました。

さらに、排便回数では、下痢傾向のある方も便秘傾向の方も摂取中に改善、さらに摂取中止後にも一定の効果が認められています。

また、フラクトオリゴ糖により、ビフィズス菌の増殖を促した結果、大腸内のpH値が低下し酸性となることもわかっています。腸内が酸性になるとミネラルの溶解度が高まるため、カルシウムやマグネシウムの吸収促進作用があることが認められました。

さらに、難消化性で、血糖値の上昇やインスリン分泌への影響もなく、安心して摂取できることも証明済みです。

研究のきっかけ(歴史・背景)

フラクトオリゴ糖は「医食同源」の考えをもとにして、当初は、虫歯にならず、砂糖に代わる甘味料を作ることを目的として1979年に開発が始められました。

しかし、次第に善玉菌の栄養源となり腸内環境を整える働きが明らかになり、1993年に特定保健用食品の第一号として認可を受けます。

2000年にはアメリカでも認可を受け、翌年の2001年には、フラクトオリゴ糖の国際シンポジウムが開催され、世界的に認められる成分となりました。

オリゴ糖にはいくつか種類がありますが、機能性オリゴ糖はフラクトオリゴ糖が世界で初めての成分で、その高い効果が多くの研究者たちの注目を集めています。

国内では、フラクトオリゴ糖を使用した商品が販売されており、効果が期待しやすい成分ながら、一般的にも手に入れやすいです。

専門家の見解(監修者のコメント)

整腸作用を認める文献の多くに、フラクトオリゴ糖は登場し、その効果は実証されています。

「scFOSがヒトに及ぼす生理機能としては、腸内細菌叢の改善作用、整腸効果、腸内環境の改善作用(腐敗産物の産生抑制作用)、ミネラル吸収促進作用、骨密度増加作用、血清脂質改善作用、アレルギー予防効果などが報告されている」(深澤朝幸 「短鎖フラクトオリゴ糖の生理機能とそのバイオマーカーに関する研究」から引用)[※7]という見解は一般的な認識で、フラクトオリゴ糖の効果を前提とした研究も行われています。[※8]soFOSは「short chain-fructooligosaccharide」の略称で、フラクトオリゴ糖のことを指しています。

ただし、様々な研究で健康的な効果が認められているフラクトオリゴ糖ですが、あくまでオリゴ糖の一種で、食品の一つです。医薬品とは異なり、短期間で劇的な効果が見られるものではないと念頭に置いておきましょう。

フラクトオリゴ糖を多く含む食べ物

フラクトオリゴ糖自体は自然に元々存在する成分で、ハーブの一種であるチコリの根の他に、アスパラガスやごぼう、タマネギに含まれています。[※1]

しかし、これらの食品に含まれているフラクトオリゴ糖は少量なので、食品からの摂取で効果を得ようとするのは現実的ではありません。このため、フラクトオリゴ糖は工業的な生産により作られたサプリメントその他を摂取するのが一般的です。

フラクトオリゴ糖の工業的な生産は、砂糖に酵素を作用させて作られています。[※1]

相乗効果を発揮する成分

フラクトオリゴ糖は整腸作用が認められている成分です。摂取することで腸内の善玉菌を増やし、便通改善に効果が期待できます。同じような効果が認められる成分として、食物繊維が挙げられます。

食物繊維には水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維の2種類があります。このうち、不溶性食物繊維は腸を刺激して蠕動運動を活発化させる働きがあり、これにより自然な便通を促します。[※9]

善玉菌の栄養源となり腸内環境を整えるフラクトオリゴ糖と、腸の働きをサポートする不溶性食物繊維は、一緒に摂取することで相乗効果が期待できます。

また、水溶性食物繊維は、粘着性があり糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。[※9]これはフラクトオリゴ糖の働きの一つである、血糖値の上昇抑制と同様の働きです。一緒に摂取することでさらに効果が期待できます。

フラクトオリゴ糖に副作用はあるのか

フラクトオリゴ糖は国内外で安全性が認可されている成分ですが、場合によってはお腹が緩くなるという副作用が起こる可能性があります。[※5]

商品ごとの摂取量目安は、安全性に基づき定められていますが、この摂取量目安を超えた量を使用すると、お腹が緩くなり下痢気味になるかもしれませんので注意しましょう。

また、今まで同じ量を摂取していて副作用が出ていない場合でも、その日の体調によっては副作用が出る恐れがあります。

ただし、フラクトオリゴ糖はその有用性や安全性が様々な研究により保証されている成分 [※7]なので、その他のリスクは心配する必要はなさそうです。副作用が出た場合は使用を控え、気になる場合は医師に相談してみましょう。