シトラスの効果とその作用

シトラスとは、日本語訳すると柑橘類です。シトラスと聞くと「ビタミンC!」がいちばんに思い浮かぶと思います。種類によっては思ったほどビタミンCがない場合もあります。しかし、シトラスに含まれる成分はビタミンCだけではなのです!そのほかの成分は、βークリプトキサンチン、ヘスペリジン、ノビレチン、クロロゲン酸といった生活習慣病の予防などに効果がある成分も含まれている栄養価の高い果実群です。

シトラスとはどのような成分か

シトラスに含まれている成分は多彩にあり、その代表的な成分がカロテノイド類のβークリプトキサンチン、フラボノイド類のヘスペリジン、ノビレチン、そのほかではクロロゲン酸、ペクチンなどです。そして、一般的に広く知られているビタミンC、クエン酸です。

これらの成分は疲労回復や感染症の予防、老化防止など、βークリプトキサンチンやヘスペリジンには発がん抑制効果がある成分として研究されています。

シトラスはひとつの呼称ではなく、いわゆる柑橘類のグループ。柑橘類には多くの種類の果物があります。その中でも、日本人が好んで食べるシトラスの代表格は「ウンシュウミカン」です。ウンシュウミカンには、上記にあげた成分がほぼ含まれています。[※1]

シトラスの効果・効能

「三ケ日みかん」が機能性表示食品として届出されていることからもわかるように、シトラスには多くの効果・効能があるといわれています。

■抗酸化作用

人は常に呼吸し酸素を体内に取り入れています。酸素を体内に取り入れるということは、体内はつねに酸化ストレスにさらされ、体内に活性酸素が産生されます。

活性酸素は、体内を傷つけ生理機能などを低下させる作用があります。その働きを防止するが抗酸化物質になります。

活性酸素を完全なくすことはできないため、少しでも活性酸素の量を抑える必要があります。抗酸化作用のあるシトラスを摂ることで、活性酸素を生み出すサイクルを抑止することができます。

シトラスに含まれるクロロゲン酸、β―クリプトキサンチン、ビタミンCはすべて有効成分ですが、特にβークリプトキサンチンには、抗酸化活性があることが確認されています。

また、効率よく摂ることでアンチエイジングにもつながると考えられます。

■エネルギー代謝の促進

人は生きていくうえで常に体内でエネルギーを産生しなければなりません。体内にはクエン酸回路というエネルギー代謝経路があります。

これは細胞内のミトコンドリアでおこなわれるエネルギー代謝でありクエン酸が不可欠です。クエン酸があることで、休むことなくエネルギーが産生され人は活動することができます。

■コラーゲンの産生

コラーゲンと聞いて、すぐに頭に浮かぶのは、肌の構成成分、美肌の元ということでしょう。でもじつは、コラーゲンは人の体のなかのいたるところで必要とされています。骨の形成、関節の腱、爪、髪などをつくる材料になっているのです。

コラーゲンはたんぱく質から生成されるのですが、生成するときにビタミンCが必要になります。したがってシトラスを日常的に摂取することは、健康と美容の両方にプラスの効果をもらたします。

ただしビタミンCは水溶性ビタミンに分類されるため、水に溶けやすい性質をもっています。体内から汗や尿などで排泄されてしまい、体内に貯蔵することができません。

したがって毎日の食事でしっかりと摂ることが大切なのです。

■発ガン抑制効果

ガンは国民病とよばれる三大疾病のひとつです。「生涯でガンで死亡する確率は、男性25%(4人に1人)、女性16%(6人に1人)」(『国立がん研究センター 最新がん統計』より引用)[※2]です。2人に1人ががんともいわれています。

シトラスの成分であるノビレチン、ペクチン、βークリプトキサンチンには、このやっかいなガンを予防する可能性があることがわかっています。

それぞれの成分の効果は、マウスやラットの動物実験により抑制する効果が認められている[※1]ため、ヒトにも効果があると期待できるでしょう。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるのか

次にシトラスがどのようにして作用するのか、見て行きましょう。

シトラスには、ビタミンCやカロテノイド類(β―クリプトキサンチン)などの抗酸化物質以外にフラボノイド類が多く含まれています。シトラスでは、たとえば、ヘスペリジンやナリンギンなどです。

「これらのフラボノイド類の循環器系疾患に対する予防効果についての疫学研究や、また実験動物や培養細胞を用いた脂質代謝改善効果に関する報告が数多くある。」(『食品機能性の科学-Science of Functional Foods-』より引用)[※3]

欧米を中心とする疫学研究結果から、果物や野菜の摂取が心血管系疾患のリスクを低下させることが明らかになっています。そのなかでも、果物のシトラスを多く摂取していたグループでは脳梗塞のリスクが低下していることも報告されています。

またβ―クリプトキサンチンをはじめとするカロテノイドには、生活習慣病を予防する作用が確認されています。10年間の追跡調査により糖尿病のリスクが57%、脂質異常症のリスクが34%も低下したというころがわかりました。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

抗酸化作用をもつ成分が多いことからも、日頃から活動量の多い人、細かい作業をする人、精神的・肉体的ストレスを強く感じる人、喫煙者、屋外で長時間作業する人、飲酒する人などが摂るべき成分のひとつです。

ほかには、血糖値上昇抑止効果(ノビレチン)、食物繊維の働きをする(ペクチン)、毛細血管の強化作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用(ヘスペリジン)などのさまざまな作用があります。[※1]

普段の生活習慣を振り返りストレスが強いと感じた場合は1日の食生活のなかに柑橘類を取り入れる、たとえば朝食にみかんやオレンジを食べる食習慣をつけることをおすすめします。

シトラスの摂取目安量・上限摂取量

シトラスとしての摂取目安量や上限摂取量の設定はありません。しかし、成分のひとつであるビタミンCについては摂取目安量が設定されています。日本人の食事摂取基準2015年版では、15歳以上のビタミンCの推奨量は1日100mgです。

ビタミンCの摂取不足でおこる壊血病(疲労倦怠、いらいらする、顔色が悪いなど)は、成人であれば1日6~12mg摂取していれば発症しません。この摂取量は、Mサイズのみかん1つ食べれば摂ることができます。

また、過剰に摂取した場合、尿から排泄されるため、「みかんなら何個まで」といった制限は特にありません。

1日100mgのビタミンCを摂取するための目安は以下のとおり。

  • Mサイズのみかんであれば4個で約96mg
  • ・ネーブルオレンジであれば1個半で約117mg
  • バレンシアオレンジであれば2個で約96mg

シトラスのエビデンス(科学的根拠)

厚生労働省研究班による多目的コホート研究により、柑橘類摂取が多いほど循環器疾患リスクが低くなるというデータが発表されています。[※5]

男女約8万人対象に、野菜と果物の1日あたりの摂取量を算出し、約6年の追跡期間中に果物を多く摂取したほうが、循環器疾患リスクが低くなることがわかった。

今まで記述してきた以外の項目での研究内容ですが、今後有効成分についての研究開発が進められていくと考えられます。

研究のきっかけ(歴史・背景)

「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 カンキツ研究領域」によれば、日本人の果物摂取量は欧米の1/2から1/3以下。

欧米では生活習慣病の予防や健康維持増進のために、シトラスを含む果実類の消費量が伸びているのに対し、日本ではそのような傾向はありませんでした。

欧米のように果物を健康維持に役立ててもらうためのエビデンスが必要であると考え、「国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所 カンキツ研究領域」が国産果物の代表であるみかんに多く含まれているβ―クリプトキサンチンの研究を始めました。[※6]

専門家の見解(監修者のコメント)

現在、日本の医療のなかで問題になっている生活習慣病が、シトラスの成分の1つであるβークリプトキサンチンとの関連性の研究がされています。

前項でも取り上げた、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所カンキツ研究領域主任研究員の杉浦実氏が研究をされています。

「それぞれのカロテノイドと疾患リスクとに特徴的な関連がみられた」「β-クリプトキサンチンは他のカロテノイドにはない優れた生体調節機能を有することが考えられる」(『J‐STAGE/オレオサイエス/12巻(2012)10号』より引用)[※7]

と杉浦氏はまとめています。抗酸化作用のある成分は、今まであれば老化防止などのアンチエイジングや風邪予防などに効果があると考えていたが、一番の課題である生活習慣病にも効果があるということは、より今後の研究に期待できます。

シトラスの上手な活用法

シトラスはじつは果実の中身だけでなく、皮にもたくさんの栄養が含まれています。ただ皮を使用する場合は、農薬等が付着していることがあるので、しっかりと洗い落としてから使用しましょう。

料理の香りつけには柑橘類の皮をで使用することが多いと思います。特に柚子はお吸い物やお寿司、煮物のアクセントになります。料理に使う際は、直前に切ると香りをより楽しむことができます。

香りはリラックス効果を促す作用もあるので、ゆったりとした気持ちで美味しく食事をいただくことができます。リラックスした気持ちで食事ができると副交感神経が優位にたち消化吸収を助けるとされています。[※8]

相乗効果を発揮する成分

シトラスのなかのフラボノイド類のノビレチンはDHAと一緒に摂ることで神経細胞の活性化作用が高まることがわかりました。

ノビレチンは神経細胞の神経突起伸長活性があります。DHAと一緒に摂取ることで、神経細胞の神経突起伸長活性が約2倍近く高まりした。

また、血液脳関門の透過性もよいことから、脳の神経の健康を高めることができるのでは考えられます。[※10]

シトラスに副作用はあるのか

シトラスやニンジンなどをかなり多く摂った場合に、皮膚が黄色くなることがあります。柑皮症といいます。黄疸とは違うので、食べすぎなければ、皮膚の色は元に戻ります。[※11]

シトラスには薬を分解する酵素を抑える作用があります。摂り過ぎてしまうと薬の分解がうまくいかず、体内に蓄積してしまう可能性があります。[※12]

例として挙げると、たとえば高血圧症の薬では血圧がさがり過ぎるというリスクがあります。降圧剤で治療をしている人は、グレープフルーツの相互作用には気をつけましょう。

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類(苦味成分)が作用するのですが、グレープフルーツジュースコップ1杯でも副作用がおこる可能性があります。摂取した場合は3~4日間、グレープフルーツの効力は続いてしまうといわれています。

グレープフルーツ以外では、スウィーティー、ブンタン、ハッサク、甘夏みかんなどが同じフラノクマリン類を含むので摂取は控えるようにしましょう。[※13]

薬を服用している人は医師や管理栄養士の指示に従うようにしてください。