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カフェインの効果とその作用|サプリメント大学

カフェインは身近な成分ですが、近年、カフェインが多く含まれるエナジードリンクなどが流行し、カフェインの副作用にも注目されました。カフェイン摂取は、メリット・デメリットがあり、効能・副作用などを含め説明をしていきます。

カフェインとはどのような成分か

カフェインとは、メチルキサンチン類のアルカロイドという化合物の一種で、植物に含まれる苦味成分です。コーヒー豆、カカオ豆、茶葉、ココア、コーラ飲料、栄養ドリンク、エナジードリンクなどに含まれ、食品では、眠気防止のガムやチョコレートに含まれている成分で、コーヒーから分離されたので、「カフェイン」と名付けられたといわれています。[※1]

日本薬局では鎮痛剤・神経興奮物質としても登録され、薬品としての作用は「中枢神経興奮作用、頭痛緩解作用、眠気除去」などの効果があるとして使用されています。[※2]

カフェインの効果・効能

カフェインには次のような効果があるといわれています。

■むくみ予防・改善

体内の水分は、一定の水分バランスを保ちながら存在しています。バランスを崩すと水分が細胞間などにたまり、「むくみ」を引き起こします。

一時的なむくみ、慢性なむくみがありますが、一時的なむくみの原因としては、塩分やアルコールの過剰摂取で、1日ほどで解消されます。慢性的なむくみの原因は心臓や腎臓の病気などにより発症していることが多いといわれています。

■眠気防止作用

理想の睡眠時間としては6~8時間といわれます。しっかり睡眠していても疲労や血糖値の急上昇により眠気を感じることがあります。

カフェインには、神経伝達物質の抑制を抑え、興奮状態を引き起こす作用があるため、の眠気をさましたい時などに、適量摂取することが効果的とされています。
[※4]

どのような作用があるのか

カフェインの摂取により、神経伝達物質の抑制を抑えるため、間接的に興奮状態になります。

カフェインは摂取後、血流に入り、全身にいきわたります。カフェインの特徴としては、他の化学物質が通過できない場所、「脳関門」を通過します。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

眠気を覚ましたい人、むくみを防止したい人におすすめです。

胎児への影響は確定していませんが、妊娠中の高濃度のカフェイン飲料の過剰摂取は、胎盤を通じ胎児へと送られ、肝臓や代謝機能が未熟なため負担がかかるといわれ、早産や流産の危険が高まる可能性があるとされ、世界保健機関(WHO)は注意を呼びかけています。授乳期も母乳を通じて新生児に与えるので過剰摂取は控えるほうがよいでしょう。[※5]

カフェインの摂取目安量・上限摂取量

日本での上限摂取量は発表されていませんが、厚生労働省や農林水産省にカフェインの過剰摂取などの注意点や海外では上限摂取量などを発表しています。

■米国の保健福祉省(DHHS)、農務省(USDA)によると、健康な大人ではカフェイン1日400㎎、までが適正とされています。
またアルコールと一緒には摂取しないとしています。[※5]

カフェインのエビデンス(科学的根拠)

■米国男性のコホート研究では、カフェイン入りコーヒーは胆石病の予防に期待できると考えられています。[※7]

米国で、1986年に40~75歳までの男性46008名を対象としたコホート研究にて、「カフェインの摂取量と胆石病の関連性」を調べる試験が実施されました。

胆石病の既往歴がない人を対象に行われ、カフェイン入りコーヒー摂取量の増加に伴い、胆石病のリスクが低下し、対照的にカフェインを含まないコーヒーはリスクと関与しないという結果がでました。

■カフェインが認知機能に関与していることが考えられます。アメリカで高齢者のコーヒー摂取量と認知機能の関連性についての研究が行われています。

期間は1988年~1992年、平均年齢72.6歳の890名の女性と、平均年齢73.3歳の638名の男性を対象としたコホート研究では、12の標準化された試験により評価され、コーヒー摂取量はアンケートにより得られたデータをもとにしました。

その結果、80歳以上の女性はカフェイン入りコーヒー摂取量が多いほど認知機能の成績が良好だったという結果が出ました。[※8]

研究のきっかけ(歴史・背景)

カフェインは、コーヒーから発見されました。コーヒーは13世紀エチオピアでコーヒー豆を煎り粉にして飲む習慣がはじまり、その後アラビア諸国に伝わったとされます。

19世紀、ルンゲが「カフェイン」を発見。コーヒーから単離に成功し、カフェインと命名されました。[※4]

専門家の見解(監修者のコメント)

2014年、米国の国立健康統計センターが2~22歳の米国人2万2000人のカフェイン摂取量を調査し、カフェイン摂取量の推移を報告しました。

特に、アメリカでは、子供のカフェイン摂取量が増えているとの調査結果が出ました。近年のコーヒーは生クリームやチョコレートがトッピングされた商品が増え、飲みやすく、子供でもスイーツかわりに飲める状況になっています。米国の小児10代の約73%がカフェインを毎日摂取していることがわかりました。

さらに、「エナジードリンク」の流行により、カフェイン飲料が気軽に手に入るようになり、カフェインの摂取量が問題視されています。[※9]

東京福祉大学 医学博士神経行動薬理学の栗原 久 教授によると

「コーヒーは嗜好品ですが、社会生活上のメリットが大きいため、摂取が続けられてきました。摂取経験が豊富な上、近年膨大な数の疫学調査が実施され、高いエビデンスレベルを持ってその安全性が確認されています。コーヒーなどの嗜好品として摂取されるカフェインと賢くつきあうことが大切です」

と話しています。[※4](ネスレインタビュー記事「コーヒーと健康」より引用)

効能もあり、適量では問題ないですが、過剰摂取や内服薬の副作用がないか理解したうえで、カフェイン入り飲料やコーヒーを摂取することが大切です。

特に、摂取量の管理が難しい子供には、カフェインの作用について理解させることも必要です。

カフェインを多く含む食べ物

カフェインはコーヒー豆やカカオ豆(チョコレート)、茶葉などに含まれている天然成分です。特にカフェイン含有量の多い食品は、コーヒー60㎎/100ml 、インスタントコーヒー57㎎/100ml 、紅茶30㎎/100ml 、煎茶20㎎/100mlとされます。

注意したい飲料は、2016年ごろから日本でも流行したエナジードリンクです。100ml中に含まれるカフェイン量は40~50mgでコーヒーより少ない量ですが、1缶(355ml)飲むと142mg摂取することになります。短時間に大量摂取は副作用などの危険があり控えましょう。[※10]

また、購入時、栄養表記などを確認してから使用をおすすめします。海外製造の栄養ドリンクは日本の成分表記との違いがあるため、カフェインの含有量も異なります。摂取前に確認をおすすめします。

一緒に摂らない方がよい成分

眠気防止剤とエナジードリンクの服用は避けましょう。眠気防止剤、エナジードリンクの主な成分はカフェインです。1回の服用でコーヒー約2~3杯分のカフェインが含まれ、エナジードリンクと一緒に摂取することで、短時間でカフェインの大量摂取となり、カフェイン中毒を引き起こす原因になります。

そのほか、アルコールと合わせることで、中毒へつながるリスクや、薬と同時に服用することで、薬効が阻害される、助長されるなど正常効果を妨げる可能性もありますので、避けたほうが良いでしょう。

カフェインに副作用はあるのか

カフェインの副作用として不眠症、頭痛、不整脈、嘔吐などがあり、カフェイン中毒もあるので、短時間に大量摂取は控えましょう。

2015年~2017年ごろから日本でもカフェインが多く含む「エナジードリンク」が大流行し、海外では死亡例が報告されていました。日本でもカフェイン中毒で2011年から5年間に約100名救急搬送され、そのうち3名が死亡したことがわかっています。[※11]

全国的に調査が行われ、救急搬送されたうち、97名が「眠気防止薬」を服用し、さらにエナジードリンクを一緒に飲んでいた調査結果がでました。

上條吉人・埼玉医大教授によると

「カフェイン中毒の危険性が一般の人には十分知られておらず、行政も実態を把握できていない。一度に購入できる眠気防止薬の量を制限すべきだ」

(日本経済新聞 引用[※11])と話しています。
眠気止め薬は、いろいろなメーカーで発売され、「カフェイン含有医薬品」として手軽に購入できるので、注意が必要です。

カフェインの大量摂取より、被害事例が多数報告されています。

コーヒーによるカフェイン大量摂取による事例
■台湾で44歳女性がカフェイン565㎎含むブラックコーヒーを1リットル摂取したところ、6時間後に筋痙攣や吐き気、動悸などの症状で医療機関を受診。カフェイン過剰により横紋筋融解症と診断されました。[※12]

また、医薬品の種類により、吸収を阻害し、さまざまな危険があるとされています。カフェイン量が適度であれば、影響は少ないと考えられますが、カフェインの錠剤とエナジードリンクの服用は避けましょう。[※13]