アスパルテームの効果とその作用

アスパルテームは人工的に開発された甘味料の一種です。砂糖の200倍の甘味を持つことから低カロリー食品の添加物として利用されますが、研究では効果や副作用についてさまざまな議論がされています。
ここではアスパルテームの特徴や効果、作用を、科学的な根拠とともにまとめました。専門家の見解も合わせて掲載しています。

アスパルテームとはどのような成分か

アスパルテームはフェニルアラニンとアスパラギン酸という2つのアミノ酸を化学合成させた人工甘味料です。[※1][※2]カロリーは1gあたり4kcalで、砂糖の約200倍の甘さを持っているのが特徴。そのため、少量でも甘みを得やすくなっています。

使用量が砂糖の200分の1で済む[※1]ので低カロリー。摂取したアスパルテームは体内でアミノ酸として代謝されるため、ほとんど糖として吸収されず血糖値にも影響しないことがわかっています。

アステルパームの摂取基準は、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品規格委員会が決めた基準を使用し、健康に影響しないとされる「1日許容摂取量(ADI)」を定めています。[※3]

ダイエット食品やゼロカロリー飲料などに入っており、アセスルファムKやスクラロースなどほかの人工甘味料と一緒に使われています。

アスパルテームの効果・効能

アスパルテームには以下の効果があるとされています。

■摂取カロリーの減少

アスパルテームのカロリーは砂糖と同じ4kcalですが、甘味の強さは砂糖の200倍なので使用量を減らし、摂取カロリーを減少させることができます。継続的に摂取カロリーを抑えることで、体重減少の効果も期待できます。[※1][※4]

■血糖値の上昇を抑える

アスパルテームは体内でアミノ酸として吸収・代謝されるので、血液中の糖代謝に影響しません。血糖値の急な上昇が抑えられ、インスリンの分泌増加が起こらなくなるため、糖尿病のリスクが低減します。[※2]

■虫歯になりにくい

アスパルテームは虫歯になりにくい甘味料として知られています。アミノ酸を化学合成した成分なので、普通の砂糖と違い虫歯をつくるミュータンス菌の栄養になりません。[※5]

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるのか

アスパルテームはフェニルアラニンとアスパラギン酸を化学合成してつくられていることから、アミノ酸分解酵素によって分解できます。

アスパルテームは小腸でエステラーゼという酵素によって、90%のアスパラギン酸/フェニルアラニンと10%のメタノールに分解され、体内の分解酵素・ペプチダーゼでアスパラギン酸塩とフェニルアラニンに分かれます。[※2]

小腸からジペプチド輸送系というアミノ酸の輸送ルートを通り、血管に入っていきます。血管に入った後はメタノールとアミノ酸に分かれ、糖代謝にかかわることなく代謝・排泄されます。[※2]

アミノ酸として代謝されるため、甘味料でも血糖値を上げることがありません。

メタノールは体に有害な成分ですが、アスパルテームの分解で生産されるメタノールは非常に少ない量です。たとえばダイエットコカコーラ330mlを飲んで生産されるメタノールは18mg。バナナ1本が入ったスムージーを飲んで生産されるメタノールは21mgもあります。

牛乳とバナナを摂取しても体に害はないため、アスパルテームからできるメタノールも安全性に問題はないと考えられています。[※2]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

アスパルテームは砂糖に比べて使用量が抑えられることから、カロリーを気にしているダイエット中の人や、糖尿病の人におすすめできる成分です。

アミノ酸として分解され血糖値を上げることがないため、糖質制限をしている糖尿病の食事療法にも活用できます。

また少ない量で強い甘味を得られる[※1]ので、砂糖の代わりに活用。ダイエット中でもカロリーを気にせず甘いものが食べられます。

さらにアスパルテーム虫歯菌のエサにもならないことから、虫歯の治療中でも安心して摂取できるでしょう。

アスパルテームの摂取目安量・上限摂取量

厚生労働省が定めたアスパルテームの摂取許容量(ADI)は、1日当たり2,344mgとなっています。[※3]許容摂取量とは健康に影響せず摂取できる量のことで、すべての食品添加物で調査済みです。

WHOが策定しているアスパルテームの「1日摂取許容量(ADI)」は体重1kg当たり40mg(ADIの上限は58.6kg)[※3]とされており、これ以上過剰に摂取しなければ安全だといわれています。

最近の調査ではこの上限値を超えて摂取しているケースはあまりない、という報告が上がっているそうです。

アスパルテームのエビデンス(科学的根拠)

アステルパームは効果や副作用についてのエビデンスが多く報告されています。

Steinert et al.らが行った実験では、被験者にグルコースおよび各種人工甘味料を投与し、糖代謝への影響を比べています。

その結果、グルコースは血糖値やインスリン濃度などを明確に増加させましたが、アスパルテームを始めとする人工甘味料では変化が見られなかったことがわかりました。このことから、人工甘味料が血糖値を変化させず、糖代謝にも影響しないというエビデンスが示されています。[※6]

Raben Aらの実験では、短期間に食事に含まれるショ糖(砂糖)を人工甘味料に変化させる介入研究(医療行為を研究として実施すること)も行いました。

ショ糖を人工甘味料に変更、エネルギーの摂取量がショ糖のままの食事より低下することを突き止めました。体重や脂肪量、血圧なども下がったことが報告されています。[※6]

また、Sorensen et al.らの実験では、肥満とされる過体重者41名に10週間人工甘味料食を与え、体重やトランスフェリン濃度(血しょうに含まれるたんぱく質の一種)などをチェックしています。

実験後、対象者の体重やエネルギー摂取量、トランスフェリン濃度が有意に減少したことから、人工甘味料による体重減少の効果が示唆されました。[※6]

さまざまな研究が進むアスパルテームは専門家の議論も活発に行われていることから、今後も最新の研究に注目していくべき成分です。

アスパルテームの歴史

アスパルテームは低カロリー甘味料をつくることを目的として開発された人工甘味料です。フェニルアラニンとアスパラギン酸から合成された成分で、1983年に厚生労働省から食品添加物の指定を受けています。[※8]

また、1996年には医薬品添加物規格追補版に収載され、医薬品への添加も問題ないことが認められています。[※8]

世界では現在30か国以上で使用が認められており、アスパルテームを配合した甘味料や炭酸飲料、デザートなどの商品が増え、加工食品への応用が進んでいます。

日本でも研究が行われていて、現在は卓上甘味料や炭酸飲料以外への利用も検討中ということです。

専門家の見解(監修者のコメント)

現在はアスパルテームが発がんリスクの増加や神経学的問題を引き起こすという情報もあります。しかし、毒性学者として名前が知られているBernadene Magnuson氏はアステルパームが安全だとコメントしています。

「アスパルテームは安全です。アスパルテームを摂取すると毒性症状、発がんリスクの増加、神経学的問題などの悪影響が出るという疑いは、エビデンスによって否定されています。」(コカ・コーラ「アスパルテームについて、医療と栄養の専門家が知っておくべきこと。: The Coca-Cola Company」より引用)[※2]

毒性症状や発がんリスクなどの悪影響はエビデンスによって否定されています。数々の研究によって安全性が証明されているため、問題なく使える甘味料ということがわかっていると主張。

さらにBernadene Magnuson氏はアステルパームの利用法について、こうも述べています。

「アスパルテームは、カロリーが制限された食事をよりおいしくし、長期間にわたり体重を維持するのに役立ちます。」(コカ・コーラ「アスパルテームについて、医療と栄養の専門家が知っておくべきこと。: The Coca-Cola Company」より引用)[※2]

砂糖の200倍の甘味を持つため、通常の食事に比べてカロリーを抑えることができるアステルパーム。糖質制限やカロリー制限が必要な人にとって有用な食品添加物でるといえます。

専門家のコメントを見る限り、基本的に安全性の高い成分といえます。

ただし、アステルパームを始めとする人工甘味料は、副作用があるとする研究も複数報告されているため、不安を感じる人は摂取を控えるようにしましょう。

アスパルテームを含む食べ物

アスパルテームは飲料やデザート、チューインガムなど、さまざまな食品に添加物として利用されています。食品中ではアセスルファムKやスクラロースといった他の人工甘味料と組み合わせて使われることが多い成分です。

近年は健康ブームによりローカロリーやゼロカロリーの食品が多く開発されており、低カロリー甘味料のアスパルテームが使用される製品が年々増えています。普及率は非常に高く、全世界で1万品目もの食品にアスパルテームが添加されていることがわかっています。

アスパルテームが入った代表的な食品は、甘味料の「パルスイート」。砂糖の代わりとして料理やコーヒーなどで使用できる製品です。

相乗効果を発揮する成分

強い甘味を示すアスパルテームは、アセスルファムKと併用することでより整った甘味を感じられます。[※7]

アセスルファムKはマイルドな甘さの成分なので、ほかの甘味料と併用することで食べやすい味になるのが特徴。アスパルテームとアセスルファムKを一緒に配合した飲料や食品も年々増加傾向にあります。

アスパルテームに副作用はあるのか

WHO(世界保健機関)で定められたアスパルテームのADI値(摂取許容量/日)は40mg/kg。[※3]過剰摂取しない限り、安全性に問題はないとされています。

食品化学委員会(SCF)では「アスパルテームは自然の食品と同じ成分からできているという点が、ほかの甘味料にない特性である」との報告が挙がっています。[※1]

ただし最近の研究ではアスパルテームの危険性を指摘する研究も多々あります。アスパルテームを多く摂取した場合の副作用としては、目の痛みや頭痛、下痢などが報告されています。

副作用や危険性については専門家も議論していますが、詳しいことはまだわかっていません。どうしても不安な人は、アスパルテーム入りの飲料や食品を摂らないようにしましょう。

また、フェニルアラニンを体内で分解できないフェニルケトン尿症の人は、フェニルアラニンの上限摂取量を超えないように使用量が制限されています。

フェニルケトン尿症の人が誤って口にしないよう、アステルパームを含む製品は法律によって「L-フェニルアラニン化合物」を含む旨を載せることが義務付けられています。[※8]