アスパラガスの効果とその作用

春に旬をむかえ食卓を彩るアスパラガスは、美味しいだけではなく、美容面や健康面でも優れた効果を発揮する野菜です。ビタミン・ミネラルなどの豊富な栄養素はもちろん、疲労回復に役立つアスパラギン酸や血管を丈夫にするルチンなどの健康成分が注目されています。

アスパラガスとは

4月から6月に旬を迎える春の野菜として、食卓に彩りを添えるアスパラガス。豊富な栄養素を含むことでも知られていて、アスパラギン酸をはじめとした注目の成分がメディアなどでも取り上げられています。

アスパラガスはユリ科の多年草植物です。原産はヨーロッパで、古くから食用または観賞用として親しまれてきました。日本では大正時代になってから本格的に栽培が始まったそうです。現在は日本でもスーパーマーケットなどに並ぶ一般的な食材として親しまれています。食用として利用されるのはおもに若い茎の部分。まわりについている「はかま」と呼ばれる三角形の部分は葉にあたります。

冷涼な気候を好み、日本では長野県、北海道、長崎県、佐賀県などで栽培され、オーストラリアやメキシコなどからの輸入品もみられます。

アスパラガスといえば日本では緑色をイメージする人が多いのですが、ヨーロッパではホワイトアスパラガスが好まれています。この色の違いは栽培方法の違いによるもので、ホワイトアスパラガスは日光に当てないように栽培するため白いまま育ちます。アスパラガスの種類には、グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガスのほかにも、細く小さなミニアスパラガス、アントシアニンなどのポリフェノールを含む紫アスパラガスなどがあります。[※1]

アスパラガスの効果・効能

アスパラガスには豊富な栄養素があり、その効果・効能は多岐にわたります。アスパラガスの効果・効能は主に以下のものが報告されています。

■疲労回復効果

アスパラガスに含まれるアスパラギン酸は、疲労の原因となる乳酸を分解する作用があり、疲労回復効果があるといわれています。

■デトックス効果

アスパラギン酸には利尿作用があるとされ、体内の毒素を排出してくれます。そのため新陳代謝が活発になり、美肌効果やむくみの解消にも効果が期待できます。

■美肌効果

アスパラガスには抗酸化作用の高いビタミンCやビタミンEを豊富に含み、ハリのある若々しい美肌づくりに効果的です。

■生活習慣病の予防効果

アスパラガスに含まれるポリフェノールのルチンには、毛細血管をしなやかにする作用があり、動脈硬化の予防につながります。
また、最近の研究によりアスパラガスに含まれるアスパラプチンという成分に、血圧を下げる作用があることが認められました。[※2]
さらに、アスパラガスにはコレステロール値や中性脂肪を減らす効果があることもわかっています。[※3]

■ストレスを軽減させる効果

人がストレスを受けると、体を守るために体内でヒートショックプロテイン(HSP)がつくられます。紫外線や気温の急激な変化などで強いストレスを受けると、たんぱく質が傷つき正常に働かなくなりますが、それを補修してくれるのがヒートショックプロテインです。
アスパラガスを食べるとヒートショックプロテインが多く分泌され、ストレスから体を守ってくれる効果があるとされています。[※4]

■不眠症の予防効果

アスパラガスには睡眠の質を高める効果も期待されています。[※5]

■免疫力をアップさせる効果

アスパラガスにはサルササポゲニングリコシドという成分が含まれています。サルササポゲニングリコシドは免疫機能に大きく作用する免疫細胞T細胞を活性化させ、免疫力を向上させてくれる効果がある[※6]といわれる成分です。

風邪などの病気にかかりにくい丈夫な体づくりにも、アスパラガスは役立ってくれます。

アスパラガスに含まれる栄養素は

グリーンアスパラガスには、

  • カリウム
  • β-カロテン
  • ビタミンA
  • ビタミンB1、B2
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • カルシウム
  • 食物繊維
  • 葉酸

などの豊富な栄養素が含まれています。[※7]
アスパラガスにはいくつかの種類がありますが、ホワイトアスパラガスはグリーンアスパラガスに比べて、日光に当たっていない分ビタミンなどの含有量が少なくなり、紫アスパラガスにはポリフェノールのアントシアニンやビタミンCがほかのアスパラガスより豊富に含まれるなどの特徴があります。

注目される成分としては

  • アスパラギン酸
  • ルチン
  • アスパラプチン
  • サルササポゲニングリコシド

などが挙げられます。
非必須アミノ酸のひとつであるアスパラギン酸は、アスパラガスから発見された成分です。アスパラガス特有のほろ苦い味をつくるもとにもなっていて、疲労回復効果や利尿作用などが知られています。
ポリフェノールのルチンには血管を強くしなやかにする作用、サルササポゲニングリコシドには免疫細胞T細胞を活性化する作用が注目されています。

また、2015年にアスパラガスから新しく発見された成分に、アスパラプチンがあります。アスパラプチンには血圧を下げる作用が認められ[※2]、高血圧などの生活習慣病の予防効果などが期待されています。
アスパラギン酸やルチンなどはとくに穂先に多く含まれていますので、積極的に食べるとよいでしょう。もちろん茎や根の近くにもビタミンやミネラルなどの栄養素がたっぷりと含まれているので、一本まるごと美味しくいただいて健康維持に役立てましょう。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

アスパラガスは健康維持に役立つさまざまな栄養素を含んでいるので、お年寄りから子供まで、誰でもが積極的に摂取したい食材です。アスパラガスの豊富な栄養は食事のバランスを高めてくれます。
抗酸化作用による美肌効果や利尿作用によるデトックス効果が期待できるので、美容やアンチエイジングが気になる人にもおすすめです。
また、アスパラガスが含有するさまざまな成分により、疲労回復や不眠・ストレスの解消、免疫力を高める効果なども報告されています。ストレスを強く感じやすい人や、風邪を引きやすい人、最近調子が優れないなと感じる人にとっても、アスパラガスはおすすめの食材だといえます。

アスパラガスの摂取目安量・上限摂取量

アスパラガスの明確な摂取量の目安などは発表されていませんが、食事はバランスよく摂ることが大切です。
アスパラガスは緑黄色野菜に分類されます。日本人の食事摂取基準では、1日350gの野菜摂取が推奨されています。しかし、実際の野菜の摂取量の調査は、成人男性では約290g、女性では約270gとの結果です。[※8]
野菜のさまざまな健康効果はいうまでもありませんが、脂質の高い欧米型の食生活や外食中心の生活では、意識しないと推奨量350gを摂るのは難しいというのが現実です。アスパラガスは栄養価が高く、豊な香りと特有の苦味などが舌も楽しませてくれます。アスパラガスを美味しく摂取することは、野菜不足解消にもつながります。

アスパラガスのエビデンス(科学的根拠)

アスパラガスには健康に役立つさまざまな成分があり、それを裏付けるエビデンスも提示されています。アスパラガスに関係する臨床試験例はとても多いため、以下にその一部を紹介します。

まず、アスパラガスの健康成分で有名なものに、アスパラギン酸があります。アスパラギン酸は疲労回復に役立つとして栄養ドリンクなどにも利用されている成分です。スイスで行われた動物実験では、ラットに激しい運動をさせる前にアスパラギン酸を摂取させたところ、運動疲労の改善効果が認められたということです。[※9]

睡眠に関係する試験データもあります。日生バイオ株式会社がおこなった臨床試験によると、睡眠に不満を感じている40歳以上69歳以下の男性10名にアスパラガス擬葉(※)乾燥粉末を2週間摂取させたところ、睡眠改善効果が認められたということです。[※5]

ストレスを緩和する効果については、健康食品製造のアミノアップ化学が動物実験の結果を発表しています。アスパラガスから抽出されたエキスを、不眠によるストレスを抱えたマウスに飲ませたところ、ストレスから体を守るヒートショックプロテイン量が増え、血液中のストレスホルモンの減少が確認されたということです。[※4]

肥満改善やコレステロール値の低下への作用では、以前からラットにおける実験で効果が認められていましたが、北海道大学がおこなった人への試験でも、男女計10名にアスパラガスの擬葉(※)乾燥粉末を摂取させたところ、総コレステロールや脂肪蓄積抑制効果が示されました。[※3]

アスパラガスの持つさまざまな成分がもたらす効果・効能は、多くの試験データからも明らかにされつつあります。

※擬葉(ぎよう)とは、アスパラガスが生長して出てくる、松葉に似た細かな葉のようなもの。本来は茎の部分にあたるが、葉に似ているため擬葉と呼ばれる。

研究のきっかけ(歴史・背景)

アスパラガスが日本に入ってきたのは江戸時代です。当初は野菜ではなく、おもに鑑賞用とされてきました。その後、明治から大正にかけて食用としての栽培がされるようになり、スーパーマーケットなどにも並ぶポピュラーな春野菜として浸透していきます。[※10]
アスパラガスが含む成分の研究の歴史は古く、1806年にはアスパラガスからアスパラギン酸が発見されました。最近でも2015年にアスパラプチンという血圧の上昇を抑える作用のある成分が発見される[※2]など、アスパラガスの研究は今も進められています。
アスパラガスは疲労回復やストレスの緩和効果、不眠症の改善など、疲れを感じやすい現代人の生活に役立つ食材として、メディアなどでもたびたび特集が組まれるなど、注目されています。

専門家の見解(監修者のコメント)

2008年に開催された「アスパラガスフォーラム」において、アスパラガスは次のように説明されています。

「アスパラガスは、指定野菜14品目には入っていないが、近年、外国産野菜に押されている野菜の多い中、国産の力で跳ね返した数少ない作物である。比較的若年層に人気があり、疲労回復効果のあるアスパラギンなど優れた機能性をもつほか、最近はホワイトアスパラガスや紫アスパラガスの品種に人気が出始めており、注目する野菜といえる。」
(NPO法人 野菜と文化のフォーラム 理事 川口 和雄 「アスパラガスフォーラム 2008」より から引用)[※11]

豊富な栄養素と機能性が研究され、さらに食材としても魅力的なアスパラガス。日本人のアスパラの年間消費量は海外と比べてもまだ低く、伸びる余地があるといいます。紫アスパラガス、ミニアスパラガスなど、種類も多様化していて、今後の市場のますますの活性化が期待されています。

アスパラガスの選び方と保存方法

新鮮で美味しいアスパラガスを選ぶポイントは、以下の3点です。

  • 全体的に濃い緑色
  • 根元のあたりまでハリがあり、太さが均一
  • 穂先がピンとしていて穂がしっかりしまっている

逆に切り口が乾いて変色していたり、シワあったりするものは避けましょう。

アスパラガスは種類によって特色が異なるので、料理や好みによって使い分けも楽しめます。
ヨーロッパで人気のホワイトアスパラガスは、うまみが強く、まろやかな味と柔らかな食感が特徴。ゆでてサラダにすることが多く、缶詰にも多く利用されています。紫アスパラガスは甘みが強く、加熱すると濃い緑色になります。

アスパラガスは乾燥を防ぐため、冷蔵庫に保存するときはビニール袋などに入れましょう。横にすると鮮度が落ちやすくなってしまうので、保存する場合は、立てておくようにしてください。さっとゆでてから冷凍で保存するのもおすすめです。[※10]

相乗効果を発揮する成分

アスパラガスにはビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンEは脂溶性のビタミンです。油と一緒に摂ることで吸収効率が高まるので、アスパラガスの調理には油を使うのがおすすめです。新鮮なアスパラガスはオリーブオイルと塩コショウなどでシンプルにソテーするだけでもじゅうぶん美味しく味わえます。

さらにビタミンEはビタミンCと相性がよく、一緒に摂取することで相乗効果を発揮し、抗酸化力が強まります。ビタミンCは赤ピーマンやブロッコリーなどの野菜にも豊富に含まれているので、アスパラガスとこれらの野菜を一緒にサラダでいただくのもよいでしょう。ドレッシングにオイルを加えれば、ビタミンEの吸収も高まります。

またアスパラガスは疲労回復に効果的ですが、良質なたんぱく質を摂取して代謝を活発にすることも疲労の回復には欠かせません。チーズにはたんぱく質が多く含まれているので、チーズや生ハムを使った前菜などにもアスパラガスはおすすめ。生ハムの豚肉には同じく疲労回復に効果的なビタミンB1も含まれているので、疲れに負けない体づくりにぴったりです。

アスパラガスに副作用はあるのか

通常食品として摂取するアスパラガスの副作用などは今のところ報告されていません。ただしユリ科の植物にアレルギーのある人は、アナフィラキシー反応を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

アスパラガスの抽出物を使用したサプリメントや健康食品は、妊娠中や授乳中の安全性が確認されていないので使用は控えましょう。