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リンゴ酢の効果とその作用

アメリカで人気のあるリンゴ酢は、さまざまな健康効果があります。日本でも手に入りやすく、そのまま飲むだけでなく料理につかわれることも。
高血圧の改善や便秘予防など、生活習慣病の予防のほか、クエン酸の疲労回復作用などが期待されています。

リンゴ酢とはどのような食品か

リンゴ酢は、果実酢の一種で、酢1リットル中300g以上リンゴ果汁が使われているもののことです。[※1]アップルビネガー、シードルビネガー、シダービネガーともよばれることがあります。

一般的にはリンゴ果汁にアルコールを加えてアルコール発酵・酢酸発酵させて作りますが、リンゴ果汁を熟成・発酵させて作ることもあります。

甘酸っぱくフルーティーな口当たりで、飲むお酢として人気があります。

リンゴ酢の効果・効能

疲労回復作用

クエン酸が含まれるため、疲労物質である乳酸の生成をおさえます。そのため、疲労回復を助け、筋肉痛を解消します。

高血圧の予防

リンゴ酢は原料に穀物を使わないため、アミノ酸が少なく、カリウムが多く含まれます。[※1]

カリウムは、血圧を上げるナトリウムを体外に出すはたらきがあるので、高血圧の改善が期待されます。また、むくみの改善にもなります。

生活習慣病予防効果

内臓脂肪を減らしメタボリックシンドロームの予防が期待できます。中性脂肪、体重、BMI、腹囲がリンゴ酢を継続的に摂取することで下がることがわかっています。[※2]

脂肪燃焼作用・代謝アップ効果

リンゴ酸に含まれるミネラルは、エネルギー代謝を促します。余分なエネルギーとして蓄積される脂肪を燃焼させるので、ダイエットにも効果的です。食前に飲むと、血糖の急激な上昇を抑えるはたらきをします。

整腸作用

リンゴ酢に含まれるペクチンは、食物繊維のひとつであり、善玉菌のエサとなり、腸のはたらきを整え、便秘を解消する効果があります。

美肌効果

ビタミンCを破壊する酵素のはたらきを弱め、ビタミンCの吸収を高めるので、美肌効果が期待できます。リンゴ酸はフルーツ酸の一種なので、古い角質を取り除き、毛穴の代採れを落として毛穴を引き締めます。

殺菌・抗菌効果

薄めてスプレーすると消臭剤がわりになります。

息のニオイが気になる場合は、リンゴ酢でうがいをしたり、体臭が気になる場合はリンゴ酢で拭くなどの方法がおすすめです。
足のニオイが気になる人は、リンゴ酢を浸したタオルで拭く、または、お湯にリンゴ酢を入れて足湯をすると消臭効果が期待できます。また、殺菌効果はニキビの改善にも力を発揮します。

どのような種類と作用(作用機序・メカニズム)があるか

酢には、醸造酢と合成酒があり、それぞれ作り方や用途が異なります。[※3]特徴や用途を知って、それに合わせた使い方をお勧めします。醸造酢はさらに穀物酢と果実酢に分けられます。

穀物酢は原料によって、米酢、米黒酢、穀物酢があります。

米酢

米の使用量が1リットルあたり40g以上使われているものです。酸味が強く、寿司、酢の物、マリネ、ドレッシングなどに合いますが、加熱料理にはむきません。

米黒酢

米・小麦・大麦の使用量が1リットルあたり180g以上使われているものです。黒褐色で、まろやかな味わいがあり、料理の味付けなどにおすすめです。

穀物酢

原料に穀物を使った酢の総称です。小麦、米、酒かす、とうもろこしなど、複数の穀物を1リットル当たり40g以上使われているものをさします。米酢、米黒酢に分類されないものや、さまざまな穀物をブレンドした酢も含み、一般的な酢はこの穀物酢をさすことが多いようです。さっぱりとした味で、どのような料理にも合う万能酢です。果実酢は、酢1リットルに対し、果汁を300g以上含むものをさします。リンゴ酢、ブドウ酢、バルサミコ酢などがあります。

リンゴ酢

酢1リットル当たりリンゴのしぼり汁300g以上をふくみます。水で薄めて飲むことが多く、健康酢として注目されました。リンゴの風味が飲みやすいため、長く続けることが可能となります。

ブドウ酢

酢1リットル当たりブドウのしぼり汁300g以上をふくみます。ワインビネガーともよばれ、ドレッシング、マリネ、煮込み料理などに使われます。ワインと同じように、白と赤があります。

バルサミコ酢

原料はブドウですが、ブドウ酢とは製造方法やブドウの種類が異なります。酸味が少なく、濃厚な香りと味が特徴的。料理だけでなく、デザートに使われることもあります。

リンゴ酢の製造方法には3種類あります。[※6]

1つ目は、リンゴの果実を発酵させて酢にする方法です。リンゴに含まれる等の一種であるペクチンが発酵して酸にかわる性質を利用したものです。糖度が高いものだと発酵しやすい特徴があります。

2つ目は、醸造酢にリンゴの果実を漬け込む方法です。リンゴの種類、酢の種類によって出来上がったリンゴ酢の味や風味は異なります。

リンゴの種類はふじ、紅玉、王林、つがるなど、酢は米酢、黒酢、黒糖酢など。

砂糖は白砂糖、黒糖、三温糖など。これらを組み合わせて、自分の好きな風味のリンゴ酢を作ることが可能です。

3つ目は、リンゴのエキスを酢にまぜる方法です。

リンゴ酢の主成分の酢酸は、脂肪の合成を抑制し、脂肪の分解を促すはたらきをもちます。それにより、内臓脂肪の解消や生活習慣病の予防への期待が高まります。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

血圧を下げるはたらき、ダイエット効果などがあるので、高血圧が気になる人や減量したい人は積極的に摂りたい食品です。

リンゴ酢の摂取目安量・上限摂取量

厚生労働省の定める食事摂取基準では、リンゴ酢の摂取目安量や上限摂取量は決められていません。

目安量としては、日本人の食酢の平均摂取量が約10mlであるうち、食酢の摂取量は、約5mlとされています。生活習慣病のリスク低減を目的とした場合、1日当たりの摂取量を15mlにすることがよいとされています。[※5]

食品から適切量摂取する場合は、安全であるとの報告[※9]もありますが、妊婦・授乳婦に対しては、十分なエビデンスが確認できないため、サプリメントなどから大量摂取することは控えましょう。

リンゴ酢のエビデンス(科学的根拠)

酢の健康効果については、さまざまな研究が行われています。

研究のきっかけ(歴史・背景)

酢の起源は、紀元前5000年頃までさかのぼります。中東で、ナツメヤシや干しブドウを原料とした酢が作られていたとされています

紀元前4000年頃には、ギリシャの医学者ヒポクラテスが、酢を病気の治療に使ったという記録がのこされています。

日本における酢の発祥は、4~5世紀頃に中国から酒造りの技術とともに米酢の醸造技術として伝えられたようです。[※9]

専門家の見解(監修者のコメント)

食酢の研究に長年携わっている広島修道大学の多山 賢二氏は、「生活習慣病に及ぼす食酢の効果」の中で、「食品である食酢の長所は、使用実績が数百年~数千年に及び、普通に使用する限りにおいて医薬品のような副作用を心配する必要がないこと、簡単に手に入れることができ比較的安価であること、保存性も極めて高いことなどがあげられる」。今後、各方面での食酢の有効活用が望まれる」と記載しており、日常の食事で適量摂取することをすすめています。[※5]

リンゴ酢の摂り方

リンゴ酢として

コップ1杯にスプーン1~2杯程度のリンゴ酢を混ぜて飲みます。たくさん飲めば効果がたくさん得られるというものではないため、毎日少しずつが基本です。

サワードリンクとして

リンゴ酢+フルーツジュースでフルーツサワードリンク[※1]

リンゴ酢+豆乳+はちみつをミキサーにかけたらソイサワーミルクができます。[※1]

空腹時に飲む場合、リンゴ酢+牛乳という飲み方もあります。

ドレッシングとして

ドレッシングやソースなどの料理に、ドレッシング代わりにリンゴ酢を使うのがおすすめです。

料理に

リンゴ酢にきゅうりやニンジンなどを漬けてピクルスにすることもおすすめです。マリネ液を作って、魚などを漬けこんでもおいしくなります。

自家製リンゴ酢の作り方

1・リンゴの果実を発酵させたリンゴ酢

皮をつけて、芯をとったリンゴをすりおろします。リンゴ酢を作る瓶にリンゴとドライイーストを加えて、ガーゼでふたをして発酵するまでおきます。

1週間ほどたったら、瓶の液をガーゼなどで漉し、液だけ瓶に戻し、さらに2か月ほどねかせるとリンゴ酢のできあがりです。

2・醸造酢にリンゴを漬け込むリンゴ酢

リンゴを洗って切り、水分を拭きとります。

黒糖を粉上にして、リンゴと酢1を混ぜ合わせ、電子レンジで30秒ほど温めます。ふたをして、一日そのままにしておくと発酵がすすんでリンゴ酢になります。また、リンゴ酢は数年寝かせると黒酢になっていきます。

相乗効果を発揮する成分

リンゴ酸の効果を高めるためには、リンゴ酸と糖分を一緒にとるとよいでしょう。[※6]

体を動かすエネルギー源は、肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンです。疲労回復にはこのグリコーゲンを補給する事が重要ですが。筋肉中のグリコーゲンは糖の補給で回復します。ところが腎臓のグリコーゲンは糖だけではほとんど回復せず、糖とお酢を同時に摂ることで補給されます。

リンゴ酢に副作用はあるのか

副作用は報告されていませんが、空腹時に摂取すると刺激を強く感じることがあります。空腹時に飲むと、胃の粘膜を傷つけたり、食欲を増進させてしまうことがあるため、消化器系に疾患のある方は、医師に相談しましょう。[※10]