アルブミンの効果とその作用

アルブミンは、乳中や卵白など動物・植物に含まれている可溶性たんぱく質の総称で、血液中の栄養素や老廃物などの運搬、浸透圧の維持といった作用をもつ成分です。ここでは、アルブミンのもつ効果・効能をはじめ、副作用やエビデンス、研究背景などについて詳しく解説しています。

アルブミンとはどのような成分か

動物や植物などに含まれる可溶性たんぱく質の総称であるアルブミン。代表的なものとしては、乳中のラクトアルブミン、卵白に含まれるオボアルブミン、健康食品の素材としては小麦アルブミンなどがあります。[※1]

また、アルブミンは生体内の血液中に多く存在している成分。アミノ酸を原料に主に肝臓で生成され、血液の液体成分のひとつである、血しょう(血漿)のなかに多く含まれています。

アルブミンは、血管のなかの血液量や体内の水分量を調整する作用、栄養素や老廃物を運搬する働きがあるのが特徴です。[※2]

血液中のアルブミンが不足してしまうと、血管内の血液量が減少。血管のなかで保たれていた水分が血管の外側に漏れ出し、むくみや腹水などの症状を引き起こすおそれがあります。

重要な役割を担うアルブミンは栄養状態の目安とされており、血液検査の際にアルブミン値が正常な値4.0よりも低い場合は、栄養不足や病気などが考えられます。[※3]

アルブミンの効果・効能

アルブミンには、以下のような効果・効能があるといわれています。

■物質との結合と運搬

さまざまな物質と結合して、その物質を目的地に運搬する働きがあります。[※4]

■血管の浸透圧を維持する

体内の水分量や血管中の血液量を調整する働きがあります。[※2][※3]

■体内組織や器官の新陳代謝に役立つ

アミノ酸の供給源としての働きがあるので、体内組織や器官の新陳代謝などをサポートしてくれます。[※5]

■活性酸素を中和・抑制する

活性酸素の中和や生成を抑制する働きをもっているため、老化の防止に効果があります。

アルブミンには、医療用医薬品としてアルブミン製剤があります。アルブミン製剤は以下のような症状に効果があります。[※6]

  • 出血性ショック
  • アルブミンの喪失(ネフローゼ症候群、熱傷など)
  • アルブミン合成低下(肝硬変症によるもの)

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるのか

アルブミンは血液中に含まれるたんぱく質の約6割を占めている成分[※7]で、血管の浸透圧を維持する働きをもっています。その働きによって血管中の血液の水分を保持しつつ、正常に血液を循環させています。[※5]

万が一アルブミンの量が低下して浸透圧が下がってしまうと、重度の場合、一定の浸透圧をキープするために、血液中の水分が血管の外へと漏出。その漏れでた水分によってお腹や肺に水が溜まったり、顔や足にむくみが生じたりします。[※8]

ほかにも、アルブミンには物質と結合し運搬する働きがあります。亜鉛やカルシウムといった微量元素、酵素、ホルモンなどさまざまな物質と結合する性質をもっており、その物質を保持したまま必要としている目的地まで運搬してくれます。[※5]

毒素とも結合するアルブミンですが、毒素の場合は毒を中和する働きももっています。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

アルブミンは、血清アルブミン値が低い人や低栄養になりやすい高齢者に適した成分です。

アルブミン値が下がってしまう代表的な病気として、肝硬変やネフローゼ症候群があげられます。もともとアルブミンは魚や肉などから摂取したたんぱく質をもとに肝臓で生成されますが、肝臓の働きが低下する肝硬変の場合、十分にアルブミンを生成できなくなってしまうのです。ネフローゼ症候群の場合は、体に必要なたんぱく質が尿として排出されるため体内のアルブミン値が低下してしまいます。[※9][※10]

また、個人差はありますが、年齢を重ねるとアルブミンを生成する力が徐々に弱まる傾向に。[※11]アルブミンの減少が加速すると老化が早まるとされており、さまざまな病気を引き起こす原因となってしまいます。そのため、高齢者も意識してたんぱく質を摂取する必要があるのです。

血清アルブミン値は栄養状態を指すとされており、値が低ければ「低栄養」とみなされます。低栄養を改善するにはたんぱく質の摂取が必要。バランスのとれた食事を心がけながら、たんぱく質を積極的に摂取するようにしましょう。ただし、腎臓病の患者はたんぱく質制限が必要な場合があるため、担当医師に相談しましょう。[※12]

アルブミンの生成量

成人の場合、肝臓で1日6g~12gほど生成されて血液中に入り、体重1kgあたり4~5gのアルブミンが体内に貯蔵されます。

その貯蔵されたアルブミンのうち約4割が血管内、残りの6割が細胞や組織間液中の血管外に分けられます。血管内・外のアルブミンは交換されながらバランスをキープし、血しょう中のアルブミン濃度を正常値に維持しています。体内で約14~18日働き役割を終えたあとは、皮膚や筋肉で分解されます。[※3]

アルブミンのエビデンス(科学的根拠)

アルブミンの研究が進められ、肝障害時に起こるアルブミン値の低下は、PTBというRNA結合タンパクがアルブミンの合成を抑制しているからではないかと示唆されています。研究内容の全貌を発表しているのは、京都府立大学大学院生命環境科学研究科に所属する桑波田雅士氏です。[※8]

桑田氏がアルブミンについてまとめた学会誌の内容によると、肝障害のラットを用いた研究でPTBとアルブミンの相互作用が確認されました。そして絶食状態のラットを用いた実験では、絶食群のアルブミンmRNAとPTBの結合体が増大し、アルブミン合成の抑制が見いだされたと報告されています。

これらの研究結果から、肝障害時にアルブミン値が低下するのは、肝障害によってアルブミン合成が阻害されているのではなく、低栄養状態時に応答したPTBがアルブミン合成を抑制するのではないかと考えられています。

また、聖マリアンナ医科大学難病治療研究センターによって、肝硬変患者を対象とするアルブミン製剤の有用性についての調査が実施されました。[※13]

調査では、腹水を伴う肝硬変患者28名をAとBの2つのグループにわけ、Aグループには最初の1週間は一般療法、2週目には10~20g/日のアルブミン製剤を投与、3週目以降には任意でアルブミンを使用した治療を行いました。

一方のBグループには最初の2週間は一般療法、3週目以降はAと同様、アルブミンを使用した治療を行いました。

4週間にわたる調査の結果、Aグループの患者の多くは、アルブミンを投与した1~2週目に血液中のアルブミン濃度が上がるとともに並行して体重が減少。腹水も軽快したという調査結果がでました。

これまで腹水を伴う肝硬変の場合、一般療法で治療が可能だと思われていましたが、今回の調査により、一般療法で初期反応が不十分な場合はアルブミンの投与が望ましいことがわかりました。

研究のきっかけ(歴史・背景)

アルブミン製剤の誕生は第二次世界大戦中(1939~1945)のアメリカでした。異国の地で負傷し血液を必要としている兵士たちのために、長い時間運んでも使える輸血液の開発をするなかで生まれたのです。[※14]

1941年にハーバード大学で行われた研究により「コーンの低温アルコール分画法」という、後の工業生産法の基礎がつくられました。

この方法は、純度98%の液状アルブミンの生成を可能にした画期的なもので、傷付いた兵士たちの救命に使われたのです。

しかし、安全とされていたアルコールを使ったアルブミン製剤にはウイルスが混入しており、輸注を受けた負傷者は肝炎を引き起こしていたことが後々明らかになったのです。これを受けて、改良のための研究が実施され、低温殺菌法を用いた方法が取り入れられました。

低温殺菌法を取り入れたアルブミン製剤は、第二次世界大戦後に起きた朝鮮戦争にて使用されましたが、輸注を受けた負傷者に肝炎の発症が見られませんでした。この結果により、低温殺菌法を取り入れたアルブミン製剤の安全性が実証されたのです。

それ以降、難治性の浮腫やショック患者への使用による安全性と有効性が確認されたことから、全世界でアルブミン製剤が利用されるようになりました。[※15]

また、近年ではアルブミン製剤に関する研究結果が多く報告されており、さまざまな見解が発表されています。

専門家の見解(監修者のコメント)

高齢者栄養に関する研究を行っている人間総合科学大学教授の熊谷修先生は、栄養状態と老化の関係についての調査結果から、以下のように述べています。

「高齢者の栄養状態は医学的基準で評価すべきではないのです。すなわち、可能な限りからだの栄養状態を高める食生活の手立てが求められることになります」(人間総合科学大学/老化を遅らせる(アンチエイジング)食生活 より引用)[※16]

また、福岡市内の病院で内科医として勤務する酒井健司医師は、以下のようにコメントしています。

「低アルブミン血症を伴う低栄養にはたんぱく質の摂取が勧められています(腎臓病の患者さんはたんぱく制限が必要なことがありますので主治医と相談してください)。点滴ではなく口から食べます。肉類や牛乳・乳製品を推奨する医学者もいますが、苦手なら魚介類でも大豆製品でもいいと思います。食が細い人は栄養補助食品を使ってもいいでしょう」(毎日新聞DIGITAL/年をとったら好きなものを食べよう より引用)[※12]

どちらの専門家も、アルブミン値を高め低栄養を改善するには食事による栄養の摂取が必要だと述べています。アルブミンはたんぱく質の摂取で生成を促せるためたんぱく質の摂取はもちろんのこと、ほかの栄養素もきちんと摂取することで、体の栄養状態を高めることができます。

アルブミンを多く含む食べ物

たんぱく質をもとに肝臓で生成されるアルブミン。生成するためには、たんぱく質を多く含んでいる食品を摂取する必要があります。

たんぱく質を多く含む食品[※17]として、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、納豆や豆腐といった大豆製品、卵、牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類があげられます。

ただし、たんぱく質だけでなく、アルブミン合成に必要なミネラルやビタミン類、糖質などを含む食品もまんべんなく摂取することも重要です。栄養をバランスよく摂取することで、血清アルブミン値を上昇させることができます。[※5]

一緒に摂るべき成分

たんぱく質を含む食材から摂取できるアルブミンですが、アルブミン合成の調整においては、たんぱく質やアミノ酸の摂取が強く影響していることがわかっています。[※8]

効率よくアルブミンを合成するなら、たんぱく質やアミノ酸を豊富に含む食品を食べるようにすると良いですね。

アルブミンに副作用はあるのか

アルブミンの低下症状を改善するために製造されたアルブミン製剤ですが、副作用が生じる場合があります。

アルブミン製剤の重大な副作用としては、ショックやアナフィラキシーなどがあげられます。また、発熱や顔面紅潮、悪寒、腰痛、じんましん、血圧低下などを発症するおそれもあります。ただし、これらの副作用の発現率は低いとされています。[※18]

参照・引用サイトおよび文献

  1. 『フードサイエンス:新しい食品学総論』(大森正司、辻美保子、豊沢功、中川昌平、堀口恵子、宮川金二郎 株式会社化学同人 1997年2月 p47)
  2. healthクリック「アルブミン」
  3. 一般社団法人日本血液製剤協会「アルブミンについて」
  4. 一般社団法人日本血液製剤協会「アルブミンの働き」
  5. エルピス健康情報 56号「アルブミン」 (2015年12月10日発行)【PDF】
  6. KEGG MEDICUS「医療用医薬品:アルブミン」
  7. よくわかる!肝機能ナビ「総たんぱく、アルブミン」
  8. 日本栄養・食糧学会誌 第64巻(2011) 第4号「栄養状態によるアルブミン合成の調整機構に関する研究」【PDF】
  9. 一般社団法人日本血液製剤協会「アルブミンの低下 肝硬変」
  10. 一般社団法人日本血液製剤協会「アルブミンの低下 ネフローゼ症候群」
  11. 財団法人 日本食肉消費総合センター「肥満と栄養について考える」【PDF】
  12. 朝日新聞DIGITAL「年をとったら好きなものを食べよう」
  13. Japanese Journal of Transfusion Medicine, Vol.40.No.5「c.肝硬変に対するアルブミン投与の効果」 【PDF】
  14. 一般社団法人日本血液製剤協会「アルブミン製剤の開発の経緯」
  15. 日集中医誌 2017;24:613-7.「総説 アルブミンの最新情報」【PDF】
  16. 人間総合科学大学「老化を遅らせる(アンチエイジング)食生活」
  17. 江崎グリコ株式会社「たんぱく質」
  18. 一般社団法人日本血液製剤協会「アルブミン製剤の安全性と有効性」