名前から探す

豆乳の効果とその作用

豆乳の効果・効能について学ぶサイトです。豆乳は高たんぱく低カロリーでダイエットに効果的とされ、女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンが含まれます。これらの成分が効果を発揮するメカニズムや、副作用の有無をご紹介します。大豆製品に関する官公庁の見解や豆乳の効果的な摂取方法、レシピも掲載しています。

豆乳とはどのような食品か

豆乳とは、大豆に水を加えて作る乳状の飲料です。豆乳ににがりを加えると豆腐になります。

豆乳には、低カロリーな植物性たんぱく質である大豆たんぱくや、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボン、抗酸化作用のあるサポニン、脳の老化防止になるレシチンなど、健康効果のある成分が豊富に含まれています。[※1]

豆乳の作り方は、最初に大豆を水に浸します。その後大豆をすり潰し、さらに水を加えて煮詰め、こします。こうしてできた乳状の液体を(無調整)豆乳といいます。

無調整豆乳には独特の豆臭さや渋みがあるため、飲みやすくするために砂糖や果汁などを加えた飲料が数多く販売されています。

豆乳の種類

日本農林規格(JAS)の定義では、豆乳は(1)(無調整)豆乳(2)調製豆乳(3)豆乳飲料の3種類に分かれます。[※2]

(1)無調整豆乳は、大豆を煮詰めて濾した、乳状の液そのままの状態の豆乳のことをいいます。JASでは大豆固形分が8%以上のものを豆乳と定義しています。これを大豆たんぱくに換算すると、3.8%以上となります。

(2)無調整豆乳に、砂糖や塩を加え飲みやすくしたものを調製豆乳といいます。JASにおける定義では、大豆固形分が6%以上のものがこれにあたります。大豆たんぱくに換算すると、3.0%以上となります。

(3)調製豆乳に、さらに果汁や紅茶などのフレーバーを加えたものが豆乳飲料です。JASの定義では、果汁系の豆乳飲料の場合、大豆固形分2%以上(大豆たんぱく換算0.9%以上)、それ以外の場合、大豆固形分4%以上(大豆たんぱく換算1.8%以上)となっています。

豆乳の効果・効能

豆乳の主な効果や効能としては、以下のものが挙げられます。

■肥満の予防・改善効果

大豆たんぱくは、動物性のたんぱく質に比べて低カロリーなため、ダイエットに効果があるとされています。[※1]

■女性の更年期障害、がん、骨粗しょう症予防

大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをします。更年期障害や乳がん、骨粗しょう症の予防に役立ちます。

■抗酸化作用

サポニン、フィチン酸、ビタミンEといった成分は、人体にとって有害な活性酸素を除去する抗酸化作用を持っています。

■血流改善効果

大豆たんぱくやサポニンには血流を改善し、血液をサラサラにする効果があるとされています。

■腸内環境の改善、便秘解消

豆乳に含まれるサポニンやオリゴ糖には、腸内環境を改善し、腸を刺激し、便通を良くする効果が期待できます。

■認知症予防

レシチン、ビタミンB群、マグネシウムといった成分は脳の老化を防止し、認知症を予防する効果が期待できます。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

■肥満の予防・改善効果

タンパク質は筋肉・皮膚・髪などを作る、身体に欠かせない栄養素です。健康で効果的なダイエットのためには、低カロリーで質の良いたんぱく質を摂り、運動することが大切です。

低カロリーという点については、豆乳にも脂質が含まれますが、不飽和脂肪酸であるリノール酸が多く、コレステロールをあまり含まないのが特徴です。[※3]

また、質のよさという点につき、たんぱく質の栄養価を評価する方法として、アミノ酸スコアというものが存在します。大豆たんぱくは満点の100と評価されています。[※4]

また、体内での吸収率も95%以上と高く、効率的に利用できるたんぱく質です。

また、大豆たんぱくは、動物性たんぱくに比べるとゆっくりと分解・吸収される性質があり、満腹中枢を刺激することもわかっています。そのため、豆乳は間食予防の効果も期待できます。

■女性のがん予防、骨粗しょう症予防

大豆イソフラボンはポリフェノールの一種です。植物エストロゲンとも呼ばれており、女性ホルモンとよく似た働きをします。

エストロゲンは女性に月経をもたらすほか、女性らしい体つきや美しい肌を保ち、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えます。[※5]

一方で、イソフラボンは、エストロゲンが体内に過剰にある状態のときは、エストロゲンの受容体に結合し、エストロゲンの働きを抑えます。抗女性ホルモンとしても作用するのです。

イソフラボンは、エストロゲンが少なくなることで発生する更年期障害の症状を緩和します。また、過剰なエストロゲンの分泌による乳がんなどのホルモン依存型のがんを予防する効果も期待できます。

■抗酸化作用、血流改善効果

人体の中で、活性酸素がたんぱく質やDNA、脂肪といった物質と、酸化して老化や病気の原因となります。

また、偏った食生活や、油の多い食事を続けることにより、コレステロールや中性脂肪が増加します。これらの物質が酸化すると過酸化脂質となり、動脈硬化や高血圧の原因となります。[※6]

豆乳に含まれるサポニン、フィチン酸、ビタミンEといった成分には抗酸化作用があり、過酸化脂質の発生を防ぎます。

■認知症予防

レシチンは体内に吸収されると、脳の神経細胞の原料となります。また、レシチンは腸内で分解されコリンという物質になります。[※3]

コリンは脳に運ばれて、アセチルコリンという情報伝達物質に変化します。これらの成分により、脳の老化を防止し、認知症を予防する効果が期待できます。

また、ビタミンB群には脳の機能を維持する働きがあります。これに加え、マグネシウムには、アルツハイマーの原因となるとされているアルミニウムが脳内に取り込まれるのを防ぐ働きがあります。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

健康的なダイエットをしたい人、また、スポーツをしていて丈夫な身体や筋肉を作りたい人に向いています。[※4]

また、食生活が乱れがちで、油の多い食事を摂ることが多いため、低カロリーかつ高タンパクな栄養を気軽に摂りたい人に効果的です。

女性で、更年期障害の症状や骨粗しょう症を予防・改善したい方、また乳がんなどの女性ホルモン依存型のがんを予防したい方にもおすすめです。

脳の機能を活性化したい方、認知症の予防や改善をしたい方にも向いています。

豆乳の摂取目安量・上限摂取量

豆乳の摂取目安量としては、一日あたり200mlを1~3本程度といわれています。[※2]

閉経後の骨粗しょう症の予防のための摂取目安としては、独立行政法人国立健康・栄養研究所の石見佳子先生の「大豆製品の有効性」によれば、中高年女性には1日40~100mgの大豆イソフラボンの摂取が勧められています。[※7]

同「大豆製品の有効性」によれば、豆乳200mlで45~65mlの大豆イソフラボンが摂取できますので、2~3本飲めばいいことになります。

上限摂取量については、大豆イソフラボンがエストロゲンと類似の働きをすることから、イソフラボンの過剰摂取により、乳がん発症や再発のリスクを高めることがないかについても研究がされています。

豆乳をはじめとする大豆製品の安全性につき、農林水産省のサイトでは、日常の食生活において大豆製品を食べることに問題はないとし、大豆食品の摂取を推奨しています。[※8]

豆乳に関しても、日常的に飲用する程度の量であれば、上限摂取量を気にする必要はないでしょう。

食品安全委員会のサイトによれば、食事に加えてサプリメントで大豆イソフラボンを摂取する場合、安全な一日上乗せ摂取量の上限値を30mg(大豆イソフラボンアグリコン換算)としています。[※9]

豆乳のエビデンス(科学的根拠)

国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センターの、予防研究グループによる多目的コホート研究において、大豆製品と乳がんに関する大規模な研究が行われています。[※10]

40から59歳の日本人女性約2万人を10 年間追跡した結果、1日3杯以上みそ汁を飲んでいる場合、乳がん発生率が40%減少するという結果が得られました。

また、アンケートを実施し、みそ汁、大豆、豆腐、油揚、納豆の各項目から、食事による大豆イソフラボンの摂取量を計算しました。これによると、イソフラボンを多くとった人のほうが乳がんになりにくいことがわかりました。

特にアンケート回答時に閉経していた人に関しては、イソフラボンを多く摂るほど、乳がんなりにくい傾向がはっきりと確認されました。

この研究で、乳がん予防効果が確認できた大豆製品はみそ汁のみですが、国立がん研究センターは

「みそ汁だけでなく、イソフラボンを含む大豆製品一般に、その予防効果があると考えるのが自然です」[※10]

としています。

研究のきっかけ(歴史・背景)

豆腐は今から2200年前、漢高祖の時代に准南王劉安によって発明されたと伝えられています。豆腐を作る前の段階で発生する豆乳も、この頃から存在したと考えられています。[※11]

日本へは、奈良時代に唐から豆腐の製造法が伝えられました。

現代においては、昭和57年、58年ごろ豆乳がブームとなり、高たんぱく低カロリーの健康食品として広く認知されるようになりました。

専門家の見解(監修者のコメント)

NHK(BSプレミアム)で2018年4月17日に放送された「美女のヒミツは骨にあり」という番組において、国立健康栄養研究所シニアアドバイザーの石見佳子先生は、以下のように語っています。

「最近わかってきたのが、弱い女性ホルモン作用がある、大豆に含まれるイソフラボンという成分。納豆とか油揚げとか豆乳、大豆製品を食べていただくと骨に非常にいいということがわかっています。」[※12]

女性ホルモンのバランスを整えるのみならず、骨にもいいことがわかってきた大豆イソフラボン。積極的にとって、健康な体の基盤である、丈夫な骨を作りましょう。

豆乳の効果的な飲み方・レシピ

大豆イソフラボンは、腸で吸収される際、そのままのかたちである「ダイゼイン」という成分として吸収される人と、「エクオール」という成分として吸収される人がいます。エクオールのほうがより高いエストロゲン活性を発揮します。[※13]

エクオールは、「エクオール産生菌」という腸内細菌により生産されます。日本人の場合、約半数の人がエクオールを作れますが、食生活の変化により、エクオールを作れない若い人が増えてきています。

エクオールを作るためには、日頃から大豆製品を摂取することが大切です。

そのため、みそ汁・納豆・豆腐など、大豆製品を毎日食べるようにしましょう。そのなかでも豆乳飲料は、忙しいときや体調の悪いときにも気軽に飲め、忙しい現代人にピッタリの大豆製品といえます。

豆乳を手軽に美味しく食べられるレシピとしては、豆乳鍋があります。調製豆乳500mlを水5カップの割合で薄め、昆布などの出汁を加えて具材を煮込みます。とろっとした汁は豆乳臭さも気にならず、味に深みもでて美味しくいただけます。[※14]

また、牛乳の代わりに豆乳を使って、パンやホットケーキ、お菓子を作るのもおすすめです。カロリー控えめで栄養豊富なスイーツになります。

相乗効果を発揮する食品

国立健康栄養研究所の石見佳子先生によれば、キウイフルーツと大豆イソフラボンを組み合わせると、骨に良いことがわかっています。[※12]

大豆イソフラボンとキウイを合わせて食べることで、骨が15%もしなやかになるそうです。キウイのビタミンKが重要な役割を果たしていると考えられています。

豆乳に副作用はあるのか

農林水産省のサイトでは、大豆製品の安全性につき、以下のように述べられています。

「日本人は、豆腐、納豆、煮豆、みそなどの「伝統的な大豆食品」について、日常の食生活における長い食経験があり、これらの大豆食品を食べることによる大豆イソフラボンの健康への有害な影響は、現時点では確認されていません。」[※8]

ただし、大豆にアレルギーのある人は飲用を避けてください。また、若い女性、妊娠している女性は、豆乳のとりすぎに注意してください。[※7]