岩本町医院 山縣 英晴先生

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「○○ではない」と診断するのも医師としての大事な役割

岩本町医院 院長 山縣 英晴先生

経歴

新潟大学医学部卒業。東京女子医科大学大学院博士課程修了後、同大学消化器病センターおよび成人医学センターで消化器、肝臓疾患の診療・研究に従事。その後都内医療機関に内科医長として赴任。内科・皮膚科・外科のプライマリーケアおよび在宅医療に関わる。1996年、岩本町医院開設。

インタビュー

地域密着型の医師として、内科・皮膚科・外科のプライマリーケアに注力する岩本町医院の山縣 英晴院長。プライマリーケアとは「身近にあって、何でも相談にのってくれる統合的な医療」のことであるが、こういったいわゆる「かかりつけ医」と日頃からコミュニケーションを図っておくことも病気予防の1つの方法であろう。

クリニックのコンセプトと主に行っている
診療内容について教えてください。

当院は地域密着型の小さな医院ですから、ご近所の方や近隣にお務めの方がいらっしゃいます。内科的なことを中心にどんな小さな事でも「何となく不調」と感じることをご相談いただければ、ある程度のことは対応できます。検査全般にも対応していますから必要があれば行い、もっと必要があれば連携医療機関にご紹介させていただきますが、ここで完了するケースがほとんどです。当院だけでなく、日本は診療所レベルでも大概のことに対応できるような環境が整っていますから、皆さんも気になることがあればまずは近隣の内科に相談されると良いでしょう。

最近の患者さんの傾向があれば教えてください。
どんな病気が多く、どんな患者さんが多いと感じますか?

多いのは生活習慣病の相談で、これは増加傾向にあると感じます。社会的にはストレス性の疾病が増えていますが、都心には診療内科やメンタルヘルスケア専門医が増えているので、当院にはそういった問題を抱える患者さんより生活習慣病の患者さんが増えているようです。もう一つ面白いことに、近年は若い人のほうがちょっとしたことでも相談に来る傾向が強いと感じます。

悪くなる前に……と、ある意味効率的に考える人が増えているのかもしれません。逆に50代前後の方は忙しい、病院が苦手、何を言われるか怖い、といった理由でぎりぎりまで来ない人が多いです。「こんなことを相談していいかわかりませんが」と切り出す人も多いですが、病気発見のきっかけはほんの小さなことにありますので、遠慮せずに相談することが大切です。

確かに「いつどんな時に病院に行けばいいのか」難しいと感じます。

一番望ましくないことは「自己判断」です。病気には一過性のものから、継続して治療しなければいけないものまでいろいろあります。それを自己判断するのはやはり危険です。最近はネットで調べて結論を出す人も多いですが、怪しい情報もありますし、自分には当てはまらないこともあります。判断は専門家に委ねた方がよいでしょう。そのためにもコミュニケーションのとれる医師と出会うことが大事です。体の相談について聞いてはいけないこと、言ってはいけないことなどありません。患者さんが言う必要がないと思っていることに大事な情報があることも多いのです。

先生はサプリメントについてもアドバイスされるのですか?

患者さんに相談されればアドバイスすることもあります。もちろん補助的なものですが、生活習慣病などの場合には食事や生活習慣の改善に加え、サプリメントで補助する余地は十分にあると感じます。

医薬品と食品の境界は法的に明確ですが、科学的には難しいのです。例えばビタミンCはサプリメントでも買えますが、薬としても処方できます。海外では医薬品として使用されているのに、日本では認められていないものもあります。患者さんに必要なものが日本ではたまたまサプリメントの場合、おすすめすることが必要な場合もあります。

最後に読者へメッセージをお願いします。

サプリメント選びに一番大事なことは「安全性」です。アレルギーの問題に気をつけ、信頼できるメーカーの信頼できる商品をあくまで補助として活用すると良いでしょう。問題なのはブーム。ブームが起こると原材料や含有量もおかしいものが登場し、それが去れば成分の科学的検証さえ行われなくなります。セルフメディケーションのアドバイスとしては「リズムを保つこと」。食事・睡眠・運動のいずれも極端に走らず継続できることを一定のペースで保ち続けることが秘訣です。そして小さなことでも信頼できる医師に気軽に相談すること。私は医師として自信を持って「○○ではない」「様子を見ていい」「安心していい」と言ってあげることも大事だと思っています。薬や継続治療が必要ない場合はそれをきちんと伝える、それも医師の役割です。

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